小栗旬&松坂桃李&池松壮亮&窪塚洋介が映画『フロントライン』で考えた、役者としての真実との向き合い方

小栗旬&松坂桃李&池松壮亮&窪塚洋介が映画『フロントライン』で考えた、役者としての真実との向き合い方

「あの時世界を救ってくれた医療従事者の方々に心を込めて感謝と敬意を表すことができる」(池松)

映画ではそれぞれの立場で決断や選択に迫られる場面もたくさん登場する。作品を通して「とにかくいろいろなことを考えた」と口にした4人は、本作を通して役者として、本人としてどのようなことを考えたのだろうか。役としても役者としても考え、悩むことが多かった小栗は「正義はそれぞれにあるものだから定義するのは難しい」としながらも「シンプルに医者という仕事においてのある種の矜持を見させてもらったと思います」と尊敬を言葉にする。また、真実や事実を知ること、見極めることの大切さも痛感。情報をそのまま受け入れるのではなく時には自分のものの見方や判断力なども疑うことが大事だということを作品を通して何度も考えたと明かした。

報道のあり方、情報との向き合い方について考えるきっかけにも
報道のあり方、情報との向き合い方について考えるきっかけにも[c]2025「フロントライン」製作委員会

松坂も真実を知ることの大切さについて考えたそう。「時代は繰り返すもの。誰もが予想しなかった未曽有の出来事、パンデミックはきっとこの先も繰り返し起こる可能性のあることだと思います。だからこそ、違う事態が起こったとしても周りの情報に流されず、自分の目で見て耳で聞いて、自分のなかで咀嚼して判断し決断していくことができる。そんな考え方を教えてもらった作品です」と自身に芽生えた意識にも触れ、「次に備える、ではないけれど、『もしも…』があった時に、心強さのようなものを作品からもらうことができた気がします」といち観客としての感想も踏まえて説明する姿から、作品から得た充実度をうかがい知ることができた。

事実を並べただけではない。本作にはしっかりとした物語がある
事実を並べただけではない。本作にはしっかりとした物語がある[c]2025「フロントライン」製作委員会

「映画を完成させておしまいというわけではない」と切り出した池松は、「いまここにある問題は下の世代に投げるものではないし、引き続き考えていかなければならないこと。信念や志を伝え、間違ったことも伝えること、そうしてこの映画が次の時代の希望となり、誰かの生きる力となり、あのパンデミックから学んだことを語り継ぐ役割のひとつになれたらなと思います」と自身の思いを明かし、「今作に関わることで、あのパンデミックから世界を救ってくれた医療従事者の方々に心を込めて感謝と敬意を表すことができたらと思った。そうした機会を頂けたことが俳優としてとてもうれしいです」と微笑む。

【写真を見る】窪塚洋介の理想とするリーダー像とは?
【写真を見る】窪塚洋介の理想とするリーダー像とは?[c]2025「フロントライン」製作委員会

小栗からのラブコールで実現した約26年ぶりの共演が「この作品でよかったと心から思います」と語った窪塚は本作がたくさんの人に届き、前に進んでいく力になったらと願っている。「メディアのあり方、厚労省のあり方、医者のあり方。誰も誰をも責められない状況だったことも覚えているし、こういうふうに振る舞えたらかっこいいな、こういうふうに生きていきたいと思える名もなきヒーローたちが、僕たちが生きる普通の社会のなかにこんなにもいることを知ったら、自分のライフスタイルにおいてものの見え方がいろいろと変わってくると思うんです。それこそ、生きる時間の価値、命の価値がもっと上がるんじゃないかな、なんて考えています」。


取材・文/タナカシノブ

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