“生還劇”はなぜおもしろい?『オデュッセイア』は王道エンタメの原点!『インターステラー』などの名作もあわせて紹介
時空を越え、愛する家族のもとへ“帰還”しようとする宇宙の旅路。SF映画の金字塔『インターステラー』
『オデュッセイア』と同じく、ノーラン監督の代表作として名高い『インターステラー』(14)。舞台となるのは、地球の寿命が尽きかけ、人類の存続が危ぶまれる近未来だ。元宇宙飛行士のクーパー(マシュー・マコノヒー)は、居住可能な新たな惑星を探すという人類の限界を超えたミッションを託され、前人未到の宇宙探索へと旅立つ。しかし、その先に待ち受けていたのは、未だかつて誰も見たことがない、衝撃の宇宙だった。
“宇宙”という極限の舞台で展開されるのは、単なるサバイバルではなく、「必ず、帰ってくる」と約束を交わした父と娘の深い絆。地球のタイムリミットが迫るなか、人類のために旅立つか、それとも家族とともに地球の終わりを待つか。究極の選択を迫られたクーパーは、愛する娘の未来のために宇宙へと旅立つが、2人の間には距離のみならず、時間そのものの隔たりが生じていく。
時空を越えて結ばれる家族の絆は多くの観客の胸を打ち、SF映画のなかでも言わずと知れた名作となった。帰るべき場所、愛する人がいるからこそ、人はどんな困難にも立ち向かえる。その揺るぎない想いこそが、“生還劇”ならではの醍醐味だ。
80億人の命を託された男が、小さな相棒と、人類の未来と“生還”をかけたミッションに挑む『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
続いては、今年の上半期の大ヒット作としても記憶に新しい『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(26)。未知の原因により、太陽エネルギーが奪われた地球が、数年後には氷河期を迎えるという未曾有の危機に直面する!本作の主人公は、人類最後の希望として宇宙に送り出された中学校教師のグレース(ライアン・ゴズリング)。科学の知識だけを武器に、80億人の命を賭けたミッションを託されたグレースは、やがて同じような境遇の使命を受け、故郷をこの危機から救おうと動いていた小さな相棒ロッキーと出会う。彼らは愛する故郷の星を救うため、そして共に生きて帰るため、宇宙での超難解なミッションに挑む。
姿や言葉、故郷さえも異なるグレースとロッキー。遠い遠い宇宙の果てで、運命的な出会いを果たした2人は、手探りの共同作業を経て、やがて孤独を癒す大切な存在へと変化していく。そして、なによりも“守りたい存在”に変わった彼らがたどり着くひとつの答えとは。誰かのために生き抜き、互いの故郷を守り帰還を目指す、その想いに胸打たれる“生還劇”は、世界中の人々の心を惹きつけ、全世界興行収入が約1,107億円を突破し、大いに話題を呼んだ。
明日さえも見えない世界で、孤独な男が絶望のなかで未来をつなぐ“生還劇”『ラスト・サバイバー』
『オデュッセイア』に先駆け、8月28日(金)より公開される新作『ラスト・サバイバー』でも、注目の生還ドラマが描かれる。本作の舞台となるのは、パンデミックにより荒廃した近未来の世界。生存者たちが奪い合い、殺し合う狂気の世界で、パイロットのヒッグ(ジェイコブ・エロルディ)は、愛犬の存在や亡き妻の記憶に支えられながら、過酷な環境のなかで孤独な日々を耐え抜いていた。そんなある日、小型機の無線に届いた“謎の声”をきっかけに、失われた日常と希望を求めて、ヒッグは未知の空へと旅立つ決意をする。
明日さえも見えない終末世界で、ヒッグが求めるのは単なる生存ではなく、もう一度誰かと繋がり、生きる希望を見つめるということ。絶望のなかでも希望を捨てず、大切な存在を胸に未来へ進み、生き抜こうとする姿は、“生還劇”が時代を超えて人々を魅了してきた理由そのものだ。本作も生き抜く力と、失われたものを取り戻そうとする想いが心を掴む、感動のサバイバルドラマとなっている。
こうして見ると、家族への想い、仲間との絆、そして未来への希望など、数々の名作や話題作を生み出してきた「生還劇」の魅力は、ホメロスによる英雄譚「オデュッセイア」から現代へと脈々と受け継がれていることがうかがえる。“物語の原点”ともいえる壮大なストーリーが、なぜいまもなお人々の心を魅了するのか?その理由を、至高の映画体験が味わえる超大作『オデュッセイア』でぜひたしかめてみてほしい。
文/山崎伸子
