『マジカル・シークレット・ツアー』有村架純&天野千尋監督が語る、“変わりゆく母親像”を作り上げるまで

『マジカル・シークレット・ツアー』有村架純&天野千尋監督が語る、“変わりゆく母親像”を作り上げるまで

「2人とも力が抜けているのにパワーがある」(有村)

金の密輸を通して仲間と絆を深めていく
金の密輸を通して仲間と絆を深めていく[c]2026「マジカル・シークレット・ツアー」製作委員会

——有村さんには、共演の黒木さん、南さんとのお芝居の感想を、天野監督には3人が揃った時の現場でのやりとりや、お芝居の印象を伺いたいです。

有村「2人とも力が抜けているのにパワーがあるというか。力んでないのに、持っているエネルギーがどこまであるんだろうって。その未知な感じに、もっといろんなお芝居を一緒にやってみたいなと思いました。南さんはもちろんお話もするけど、じっと静かに現場にいらっしゃることもあるなかで、本番になったらちゃんと麻由という奔放なキャラクターを捉えて表現されていく。そのスイッチの切り替えがすごいと思いました。黒木さんは現場での佇まいが凛としているのはもちろんなのですが、すごい男前でかっこよくて。スタッフさんたちにもいつも話しかけたりして。そんなふうにコミュニケーションを取っている姿から、こうやって現場をいつも作られているんだなとか。すごく勉強になりました」

天野監督「3人でのお芝居は、シンガポールでのシーンが多いですね。脚本にはないアドリブ的なお芝居をやってもらうシーンも多くて。例えば、ポスターにも使われている金塊をかじるシーンは、かなりの長回しでドキュメンタリーみたいに撮影しました。3人がワイワイお酒を飲んだり、料理を食べたり、笑ったり、はしゃいだりするのを本当に長いカットで撮らせてもらっているのですが、3人とも本当に和歌子と清恵と麻由として楽しんでいるんです、当たり前なんですけど(笑)。そうか、3人はこうやって時間を共有したんだな、と私自身が教えてもらっているような感覚でした。脚本にはない3人の時間を見せてもらえてよかった、そんな感じがしました。」

【写真を見る】凛とした表情が印象的…初めて本格的な母親役に挑んだ有村架純を撮りおろし
【写真を見る】凛とした表情が印象的…初めて本格的な母親役に挑んだ有村架純を撮りおろし撮影/杉映貴子 ヘアメイク/新山いずみ スタイリスト/瀬川結美子

——シンガポールでのロケはいかがでしたか?

有村「すごく楽しかったです。滞在期間の1週間は結構みっちり撮影だったので、観光はあまりできなかったですが、シンガポールでは現地のクルーの方たちがすごく献身的にサポートしてくださって。高い熱量で取り組んでくれていたのが印象に残っています」

天野監督「アツさでいったら、私たちを上回っているような(笑)。質の違うパッションを感じました」

——和歌子、清恵、麻由。3人それぞれが自分の意思で人生の選択を下していく物語が描かれます。「自分らしく生きる」ために心掛けていること、大切にしていることはありますか?

天野監督「いろいろあって迷うけれど、私は睡眠をしっかり摂ることです。たとえば撮影中は、いろいろと準備や考えることも多く、どうしても睡眠を削りがちになるじゃないですか。そうするとやっぱり心も頭も小さく、狭くなってしまう気がして。どうでもいいことですごく悩んでしまったり、気にしなくていいことにこだわり始めてしまったり。自分が追い詰められていく感じがするんですよ。しっかり眠れば広い心になれる。頭もスッキリした状態だと、現場も落ち着いて臨めます。映画はいろんな人が関わるからこそ、思いがけないこととか、奇跡が生まれたりするけれど、 そういうのもやっぱり寝てないと見逃してしまうんです。ちゃんと睡眠をとって臨めばそういうのも掴むことができるので。撮影に限らず、実生活もそうだなって思っています。睡眠は大事です!」

有村「確かに大事ですね。私は、喫茶店で過ごす時間ですかね。喫茶店は基本的にのんびりしているし、そんなにガヤガヤしている場所でもない。みんなコーヒーや紅茶を楽しみに来ているから、そういう場所って心がチクチクしないというか。1回リセットされる感じがあります」

有村架純が演じるのは、夫の横領と解雇を知り借金を背負った二児の母・和歌子
有村架純が演じるのは、夫の横領と解雇を知り借金を背負った二児の母・和歌子[c]2026「マジカル・シークレット・ツアー」製作委員会

——本作では“旅”が3人の人生を変えています。有村さん、天野監督の人生を変えた“旅”エピソードがあれば、ぜひお聞かせください。

有村「私は番組でノルウェーに行ってオーロラを見たことです。感じ方や考え方が、これまでとは変わるみたいな感覚はあると思います。ぜひまた見たいです!」

天野監督「オーロラ!いいなぁ。私は旅じゃないのですが、大学生のころに中国に留学して。そこで出会った韓国人の友人たちの部屋で、中国、韓国、日本の映画をたくさん観ました。イ・チャンドン監督の『オアシス』とか、ポン・ジュノ監督の『殺人の追憶』など本当にたくさん観て。その時に映画、そしてアジアの映画のおもしろさを知りました。それがあっていま映画を作っているので、ある意味で人生が変わりましたね」


取材・文/タナカシノブ

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