すべての罪がAIによって裁かれる近未来を舞台とした映画『MERCY/マーシー AI裁判』が、1月23日(金)より公開される。裁判にかけられるのは、身に覚えのない妻殺しの容疑で逮捕された敏腕刑事レイヴン(クリス・プラット)。冤罪を晴らすためには、“AI裁判官”のマドックス(レベッカ・ファーガソン)が無罪と認めるような確実な証拠を提示しなければならない。
AIが急速に普及し、生活や仕事において当たり前に活用されるようになった現代では、「AIに裁かれる」という未来が本当に訪れるかもしれないというリアリティを感じさせる。また裁判所に閉じ込められた主人公が、世界中のクラウドにアクセスしながら事件の真相を探っていく道のりも臨場感たっぷり!まるで映画館が近未来の法廷に変わるような、没入型のミステリーとして完成している。そこで本稿では法廷画家・小野眞智子のイラストと共に、AI裁判を傍聴した感覚になって映画の見どころをご紹介。AI相手の崖っぷち裁判、いざ開廷。
被告人、AIが提示する大量の証拠に最初から崖っぷち
事件番号:#19
法廷:マーシー裁判所
日付:2029年8月14日
AI裁判官:マドックス
被告人:クリス・レイヴン(職業、警察官)
事件概要:自宅で妻ニコール・レイヴンを刺して殺害した疑い
本作の舞台となるのは、凶悪犯罪が増加し、厳格な治安統制のためにAIが司法を担うことになった2029年。AIが裁判官、陪審、処刑人を兼ねる“マーシー裁判所”が完成してから数年が経ち、論理的かつ効率的に審理を進めるAI裁判は、人類の未来を守る正義の象徴となっていた。この日“マーシー裁判所”に入廷したのは、妻殺しの容疑をかけられたレイヴン刑事。いつもは犯罪者を裁判に送る側である強盗殺人課の刑事が、“マーシー裁判所”に召喚されたのだ。
被告人のレイヴンは、処刑用の椅子に拘束された状態で目覚め、明らかに混乱した表情を見せる。記憶障害を起こしており、自分がなぜここにいるのかが全くわかっていない。するとスクリーンに大きく映し出されたAI裁判官のマドックスが「あなたは妻殺しの容疑者だ」と説明。数々の証拠からAIが算出したレイヴンの有罪率は、なんと97.5%。「ノット・ギルティ=無罪」だと訴えるレイヴンに対して、マドックスは「それならば自分で証明してください」と鋭い視線を向けるのみ。90分の制限時間のなかで有罪率を下げることができなければ、この場で即処刑=死だと非情な現実を告げた。
マドックスが矢継ぎ早に提示してきたのは、逮捕寸前にレイヴンが酔って暴れているバーの店内映像、妻に向けて怒号を飛ばしているドアホンの音声、指紋が残った凶器など、どれも有力に“レイヴン犯人説”を裏付けるものばかり。さらにアリバイもないというのだから、傍聴しているこちらも「犯人は、レイヴン以外に考えられない…。これらの証拠をどう覆すの?逆転無罪なんてありえない!」と裁判の行方にくぎづけになる。レイヴンは、次々と不利なエビデンスが重なり合っていくことに青ざめ、慌てふためくばかり。誰かの掲げたスマホや街中に張り巡らされた防犯カメラ、警察のボディカムなど、いつの間にか自分がばっちりと映り込んだ映像がこの世にあふれている…。その事実にも震えるが、それらをもとに淡々とレイヴンを追い詰めていくマドックスの冷酷な裁判官っぷりに、ゾクゾクすること必至!
「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」や「ジュラシック・ワールド」などの大ヒットシリーズで、ユーモアとチャレンジ精神で困難に立ち向かうキャラクターを演じてきたプラットが、椅子から一歩も動けないまま、窮地に立たされていく様子が新鮮だ。そして「ミッション:インポッシブル」や「DUNE/デューン 砂の惑星」といった話題作で鮮やかな存在感を放ってきたファーガソンは、AI裁判官という難役にトライ。レイヴンを見つめる表情は、極めて冷静で恐ろしく見える時もあれば、穏やかな笑顔に見える時もあるなど、“不気味の谷”現象(CG表現が限りなく人間そっくりになることで、違和感や恐怖感を覚える心理現象)を思わせる絶妙なバランスを成立させているのだからスゴイ。
