激動の時代にこそ響く“怒り”と“魂の声”…映画『宝島』熱気あふれる「コザ暴動」撮影現場に潜入!

激動の時代にこそ響く“怒り”と“魂の声”…映画『宝島』熱気あふれる「コザ暴動」撮影現場に潜入!

真藤順丈による直木賞受賞作を、NHK大河ドラマ「龍馬伝」や映画「るろうに剣心」シリーズなど数々のヒット作を手掛けてきた大友啓史監督が映画化した『宝島』が9月19日(金)より公開となる。主演に妻夫木聡を迎え、広瀬すず窪田正孝永山瑛太ら豪華俳優陣が集結した本作は、混沌とした時代を全力で駆け抜けた若者たちの姿を描く。舞台は、すべてをアメリカに支配されていた戦後の沖縄。米軍基地から物資を奪い、困窮する住民らに分け与える“戦果アギヤー”となり、自由に生きることを模索していた若者たちがいた。主人公のグスク(妻夫木)、幼なじみのヤマコ(広瀬)、レイ(窪田)、そして、みんなの英雄的存在であるリーダーのオン(永山)。いつか“でっかい戦果”を上げることを夢見る彼らだったが、ある襲撃の夜にオンは忽然と姿を消してしまう…。

MOVIE WALKER PRESSでは、2024年の春に東宝スタジオで行われた『宝島』の熱気渦巻く撮影現場に潜入し、大友監督がこの作品に込めた想いと制作の裏側に迫った。

コロナ禍による延期によって増した“声なき人の声を届ける物語”を作る意義

本作の企画がスタートしたのは原作が刊行された2018年。プロデューサーの五十嵐真志は「原作の圧倒的な熱量にやられた」と原作の物語に強く引き込まれたと当時を振り返る。その感動を大友監督にも伝えたことから、「宝島」の映画化企画が動き始めた。

しかし、その道のりは決して平坦ではなかったという。五十嵐プロデューサーは「2019年から企画開発を開始し、当初は2022年の沖縄返還50周年に合わせた公開を目指していたのですが、動きだして半年ほどでコロナ禍となり…2022年春撮影予定だったものが、2024年春に変更されることになりました」と当時の苦悩を振り返る。だが、延期期間中に「この企画がより力強くなっていった」と実感したという。「コロナ禍で私たちが経験した“昨日までとまったく違う日常”が、かつて沖縄の人々が経験した平和な日常が突然乱され、まったく違う世界に放り込まれる感覚と重なり、本作が持つ“声なき人の声を届ける物語”としての意義が深まったと思うんです」と語る。

『宝島』は沖縄ロケをメインに2024年2月~6月の約4か月間で行われた
『宝島』は沖縄ロケをメインに2024年2月~6月の約4か月間で行われた[c]2025「宝島」製作委員会

一方の大友監督は、本作に挑み続けた原動力は“怒り”だったと振り返る。「コロナ禍の曖昧な空気のなかで、一番の原動力となったのは“怒り” でした。今日見学してもらう『コザ暴動』のシーンもそうだけど、人が一番パワーを出すのって怒っている時だと思うんです。当時、本来は穏やかな沖縄の人たちの“怒りの種”となったものはなんだったのか。それは、僕たちがコロナ禍で感じた“怒りの種”ととっても似ているんじゃないかと直感的に思ったんですね」。


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