現在国内には69校。「もっと多くの人に知ってもらいたい」
劇中でも説明されるように、文部科学省による最新のデータによれば令和6年の不登校の中学生の数は21万人以上。10年前と比較すると倍以上も増加している。さらに、なんらかの事情で義務教育を終えていない人は全国で約90万人にのぼる。そうした不登校児童・生徒らの支援を目的に2016年に制定されたのが「教育機会確保法」。それをきっかけに、かつて全国で35校だった公立中学の夜間学級は、現在69校まで増加している。
しかしながら、不登校に悩む子どもたちやその保護者を含めた多くの人に、その存在があまり知られていないというのも事実。今回の試写会に参加した親世代の大人たちからも「夜間高校は知っていたけれど、中学があるのは知らなかったです」(40代・女性)といった声が目立っていた。定時制や夜間高校、大学の夜間学部とはまた異なり、誰もが修了しているものだと思われがちな義務教育課程。本作を通して、その存在自体はもちろん、どのような人が通っているのか、どのような取り組みなのかなど、より広く知られるきっかけになることを期待する声が寄せられていた。
「私の通っている中学校にも夜間学校がありますが交流はなく、あまり知りませんでした。この作品を観て少し身近に感じることができました」(14歳・女性)
「今回初めて見聞きすることが多かったです。給食、あるんですね…!」(30代・女性)
「いろんな国の人がいて、勉強だけではない、生きていくうえで大事な学びがあるなあと映画を観て思いました」(40代・女性)
「あることは知っていたが実情はあまり知らなかったので、本作ですばらしい取り組みだと思ったし、もっと多くの人に知ってもらいたい」(50代・女性)
「生徒の年齢の幅広さがきちんと描かれていた。それぞれの人物のいろいろな私生活を知りたかった」(50代・男性)
スクリーン越しに味わう、様々な人生との“出会い”
そんな社会的な意義を備えた本作を、より身近なものに感じさせてくれるのはやはりキャスト陣の魅力的な演技だ。 「いつもキラキラした俳優さんたちが良い意味で周りにいる一般の人に見えました」(50代・女性)や、「それぞれの人生に過去があり、心に深く刻まれている。そう感じさせるシーンが多かった」(50代・男性)というコメントにもあるように、一人一人のキャラクターが持つリアリティと深みが、作品に説得力を与えている。
主人公のさやかを演じたのは社会現象を巻き起こしたドラマ「silent」をはじめ、『この夏の星を見る』(25)など数々の話題作に出演する桜田ひより。子役時代から高い演技力に定評のある彼女には、「どんどん自分らしく、明るくなっていってて、こっちもうれしかった」(13歳・女性)や「親とケンカする時の演技が生々しくて、それだけで本気で苦しんでいるんだなということが伝わった」(15歳・男性)など、年齢の近い子ども世代からの共感の声が目立っていた。
教師役の真木よう子や甲本雅裕、同級生役の浅野温子や中尾ミエなど、さやかを取り巻く登場人物たちも実力派ぞろい。そのなかでも多くの観客から特に心に残ったと挙がったのは、キャリア60年以上の大ベテラン山本學が演じた遠見巌だ。「具体的に多くは語らないけれど、これまでの人生が滲み出る演技がすばらしかった」(50代・女性)や「戦争でたくさんのものを失い、でも文字を学んで家族に手紙を出そうとしたところに感動した」(40代・女性)など、戦争の傷を抱えて生きる遠見のドラマ性の高さ、それを体現した山本の名演に、子どもから大人まで称賛の声が多数。
また、意外にも人気だったのは、原田泰造が演じる尾形。さやかが働くレンタルビデオ店の店長であり、さやかが夜間中学に足を踏み入れるきっかけをくれる重要なキャラクターだ。
「明るく応援している様子に明るい気持ちになった」(40代・女性)
「主人公や周囲と分け隔てなく接するキャラクターに安心感を覚えた」(30代・女性)
「いつもさやかちゃんのことを気にかけていて、明るいから。こんな人がバイト先にいたらとってもうれしい」(14歳・女性)
「深くは聞かず、少しずつ寄り添う、時におかしく優しく、スクリーンに出てきて一番うれしくなるような人物だった」(20歳・男性)
どんな人と出会い、そこからどんな影響を受けるのかは人それぞれ。それは現実の世界に限らず、映画の登場人物でも同じことがいえるかもしれない。登場人物たちの生きざまや言葉に共感したり心打たれたり、是非とも本作での“出会い”も大切にしてみてほしい。
