日本映画界のレジェンドである角川春樹の“最後の総監督作品”となる『星の教室』が11月6日(金)より公開を迎える。本作は大阪の下町にある夜間中学を舞台に、世代や国境を超えた出会いを通して家族の絆や友情、戦争と平和など人生に必要なあらゆることを学びながら一歩踏みだす主人公を描く、人生賛歌ともいえる青春群像劇だ。
MOVIE WALKER PRESSでは、小学校高学年から60代まで幅広い世代が集まった「親子試写会」を実施!鑑賞後にアンケートを行ったところ、「途中から涙が止まりませんでした」(40代・女性)や「新しいことを学ぶすばらしさを知りました」(50代・女性)など感動や共感の声が続出していた。そこで本稿では、寄せられた感想コメントをピックアップして紹介しながら、老若男女の心に響く本作の魅力を深掘りしていきたい。
普遍的なストーリーが、親世代にも子ども世代にも届く!
大胆なビジュアルのコマーシャルやメディアミックス戦略で、1970年代後半から日本映画界にセンセーショナルを巻き起こしてきた「角川映画」。その仕掛け人である角川春樹が、自身の“人生の集大成”といえるほどの強い想いを注ぎ込んだ本作。原作は、角川春樹が監督を務めた『みをつくし料理帖』(20)の原作者である高田郁の同名小説。メガホンをとったのは『わたしは光をにぎっている』(19)などを手掛け、角川春樹が「若い俳優たちの繊細な感情を引き出す力に非常に優れている」と太鼓判をおす中川龍太郎監督だ。
物語の舞台は2001年。中学生の時にいじめが原因で不登校になった潤間さやか(桜田ひより)は卒業を拒否して“中学中退”を選択。そのまま数年が過ぎ、両親とのあいだにわだかまりを抱えたまま、さやかは20歳を迎えた。ある日、バイト先であるレンタルビデオ店の常連客が借りにきた山田洋次監督の映画『学校』(93)で“夜間中学”という存在を知ったさやか。近くにある河堀中学の夜間学級の様子を窺いにいき、校門から先に進む勇気が出ないなか、蕗子(浅野温子)に導かれて入学を決意。様々な事情で義務教育を終えられなかった者や外国にルーツを持つ者たちが集うこの場所で、さやかは2度目の中学生活をスタートさせることになる。
「人として生きていくうえで大切なことが詰まった作品だと感じました」(50代・男性)というコメントからもわかるように、夜間中学でさやかが学ぶのは国語や数学などの教科だけではない。中国残留孤児の蕗子や、戦争経験者である遠見(山本學)、結婚を機にベトナムから来日したスアン(ナターシャ)や料亭で修行中の健児(小林虎之介)ら様々なバックグラウンドを持つクラスメイトとの交流を通し、人は何度でもやり直せるということ、諦めずに踏みだせばささやかな幸せを掴むことができるという、“希望”を見出していく。
これには人生経験豊富な親世代からも、「何度でも気持ちを立て直すことができる。人との出会いは大切だと思った」(40代・女性)や「いろんな人がいて、いろんな人生があること。再認識でき、あたたかい気持ちになりました」(40代・女性)などの声が寄せられ、「これからたくさんの人生の選択肢を迎えていく小中学生世代に観てほしい。視野を広げて生きていってほしいと思う作品でした」(30代・女性)という言葉も。
一方で子ども世代の観客たちは、本作を通してどんなことを感じたのだろうか。“中学校”が舞台になっているとはいえ、登場人物は皆かなり上の世代。ましてや時代設定も彼らが生まれる前の2001年。それでも「映画を通して自分の居場所や様々な大切さを学ぶことができ、観ることができて良かったです!!」(11歳・女性)や「自分ががんばるのを後押しされた」(13歳・男性)、「初めて映画でずっと泣いていました」(14歳・女性)など、その普遍的なテーマが現代の子どもたちにもしっかりと届いていたことが窺える。
クラスメイトはもちろん、家族もまた、自分で選択することはできない。そのなかで、まったく異なる境遇の相手と向き合い、相手の立場や考えを想像しながら、自分自身の想いを伝え、かたちにしていく。その大切さを教えてくれる本作は、「ただ泣ける作品ではなく、全年代、性別問わず、観る人を選ばない良い作品で、思うところがたくさんありました」(30代・女性)というコメントからもわかるように、誰もが人生のなかで必ず通過していく“学校”そのものなのかもしれない。
