是枝裕和監督の最新作『箱の中の羊』は5位に初登場!カンヌ国際映画祭の効果やいかに?

是枝裕和監督の最新作『箱の中の羊』は5位に初登場!カンヌ国際映画祭の効果やいかに?

5月29日から5月31日までの全国映画動員ランキングが発表。前週初登場No. 1を飾った『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』(公開中)を筆頭に、上位4作品の顔ぶれと順位に変化は見られず。それらの詳しい成績は後述するとして、今週は5位に初登場を果たした是枝裕和監督の最新作『箱の中の羊』(公開中)にスポットライトを当てていこう。

『箱の中の羊』は、『怪物』対比60%のスタート

【写真を見る】カンヌでは評価が分かれたが、日本では…。これまでの是枝作品のカンヌ出品作を数字で振り返る
【写真を見る】カンヌでは評価が分かれたが、日本では…。これまでの是枝作品のカンヌ出品作を数字で振り返る [c]2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.

全国365館で公開された『箱の中の羊』の初日から3日間の成績は、観客動員が13万9241人で、興行収入が1億9235万円。是枝監督の前作『怪物』(23)のオープニング3日間の成績(動員23万1000人&興収3億2500万円)と比較すると60%程度。その前の『ベイビー・ブローカー』(22)が初日から3日間で動員12万3000人&興収1億6900万円だったので、同作対比113%のスタートとなる。

その『怪物』は、最終的に初動の6.6倍となる興収21億5000万円の大ヒットを記録。一方で『ベイビー・ブローカー』のほうは初動の5倍に届かない興収8億4000万円でストップしていた。両者に公開規模の差や、同じ是枝作品でも日本映画か韓国映画かの違いがあったことを考えれば、今回の『箱の中の羊』は『怪物』に近い推移を見せると想定でき、計算上はヒットの基準といわれる興収10億円に到達することも可能だろう。

話題性を持続できるかが、この先のヒットのカギを握るが…
話題性を持続できるかが、この先のヒットのカギを握るが…[c]2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.

先日まで行われていた第79回カンヌ国際映画祭ではコンペティション部門に選出された『箱の中の羊』。是枝作品のカンヌコンペ挑戦は今回が8回目であり、過去には『万引き家族』(18)がパルムドール、『そして父になる』(13)が審査員賞、『怪物』が脚本賞、『ベイビー・ブローカー』と『誰も知らない』(04)がそれぞれ男優賞を受賞。しかし今回は『海街diary』(15)以来の無冠。はたしてこの受賞結果が、国内での興行にどんな影響を与えるのか。

ここで『海街diary』の初動と最終興収の比率をチェックしてみると、初動(当時は土日2日間での集計)興収が2億2911万円だったのに対し、最終興収は16億8000万円と7.3倍。『万引き家族』と『そして父になる』が、最初の土日2日間の興収の10倍以上の最終興収をあげていることを考えると、先述の『怪物』も含め、カンヌ効果はそれなりに大きいと考えることができる。もちろん受賞に伴う国内メディアでの露出の大幅な増加も関係しているのであろう。

来場者のアンケートでは、カンヌ出品が鑑賞動機となった人が21%という結果に
来場者のアンケートでは、カンヌ出品が鑑賞動機となった人が21%という結果に[c]2026フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.

TOHOシネマズの調べによれば、この週末に『箱の中の羊』を鑑賞した観客の21%が「カンヌ出品」を鑑賞動機としてあげている。カンヌの閉幕からわずか1週間というフレッシュな状態での日本公開であることを考えると、やや寂しい数字に見えなくもない。やはり日本国内での今年のカンヌの話題は、女優賞を獲得した濱口竜介監督の『急に具合が悪くなる』(6月19日公開)ですっかり持ちきりとなっているからであろう。

奇しくも『急に具合が悪くなる』のほうもカンヌから1か月以内の日本公開であり、同じ濱口作品の『ドライブ・マイ・カー』(21)が成し遂げた様々な快挙を踏まえれば、興行面でも想像以上のポテンシャルを発揮する可能性が高い。そうなると『箱の中の羊』のカンヌ効果はより薄れることになり、先述の見立てである“興収10億円到達”もギリギリになってくるかもしれない。なにかと“ガラパゴス化”が騒がれる日本の映画興行で、海外映画祭の結果が素直に反映されるのはとても興味深いことなのだが。


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