『箱の中の羊』で夫婦を演じた綾瀬はるかと大悟が振り返る是枝監督との撮影の日々「遊んでいた空気そのままで、すっと入っていけた」
カンヌ国際映画祭の上映でも話題を呼んだ是枝裕和監督最新作『箱の中の羊』が公開中。舞台はいまから遠くない未来。子どもを亡くした夫婦が亡き息子そっくりのヒューマノイドを迎えたことで日常に変化が起こる、是枝監督流のSF的要素が入った作品にして、“テクノロジーは人の心を癒せるのか”を描くヒューマンドラマだ。
主人公夫婦の妻・音々を演じるのは、『海街diary』(15)以来の是枝監督作への出演となる綾瀬はるか。そして、夫の健介役をお笑いコンビ・千鳥の大悟が演じる。公開前から夫婦役での共演が大きな話題を集めていたが、撮影現場ではいったいどんなことが繰り広げられていたのか?2人に振り返ってもらった。
「大悟さんが方言を出して怒るシーンは本物の健介でした」(綾瀬)
――オファーされた時のお気持ちを教えてください。特に大悟さんは、驚きがあったんじゃないかと思います。
大悟「どんな映画だとか誰と一緒かってことよりも、『なんでわしやったんやろな』っていう思いはすごく強かったですね。『大丈夫なんかいな、迷惑かけたらあかんな』っていうことでちょっと迷いましたけど、こんなこと一生に一度もないでしょうから、頑張ってみようかなと思って受けました。逆に綾瀬さんがわしが相手って聞いた時、どう思ったか聞いてみたいです」
綾瀬「『大悟さんと一緒?おもしろそう』って思いました。以前バラエティで何度かお会いしたことはありました。未来のAIの話と聞いて、難しそうだなと思いましたけど、夫役が大悟さんだということで、和らいだし、共演するのが楽しみでした」
――実際に顔合わせされて、コミュニケーションはいかがでしたか?
大悟「演技の話はそんなに話しませんでしたね。『もっとこうしたほうがいい』とかってお互いに聞くこともなかったですし。綾瀬さんを見てたら『スイッチ入れるんやな、邪魔せんとこ』って思いました」
綾瀬「大悟さんは何テイクも撮って、そのたびに言い方を変えていたんですよ。ちゃんと大悟さんもスイッチが入っていて、それを私もなにもしゃべらず後ろから見ていました」
大悟「そりゃあ努力しましたよ(笑)。しかも、カメラがどこから撮ってるのかがわしだけわかってなくて、全然映ってないところでわしだけ顔作ったりしてたんでしょうね。それをたぶん『映ってないよ』ってみんな笑っていたんだろうなって(笑)」
――見ていてぐっとするシーンがたくさんありましたが、演じられているお2人はいかがでしたか?(と質問していたらヒューマノイドの翔(かける)を演じた桒木里夢くんが笑顔でやって来る)
綾瀬「また大人びてる!」
大悟「今日は取材?なんで急に『初めまして?』みたいな顔しとるん?(笑)。またあとでな」(と言うと里夢くんはそっと去っていく)
大悟「僕はお風呂に入って泣きながら、ぶくぶくって湯船に沈み込むシーンがあって。そこは大事なところだったんですけど、そのわしのその姿を見たかったのか、うちのマネージャーがガラス越しに正面から心配そうに見てたんで、『邪魔やなこいつ』と思ってたんです。でもその顔が、逆にいい表情になってたかもしれないです(笑)」
――そんなことがあったとは思えないくらい、そこのシーンではいい表情してましたね。
大悟「それはよかったです」
――健介が外に飛び出すシーンもよかったです。
綾瀬「走るシーンですか?みんなが大悟さんがすごいって言ってましたね」
大悟「やたらと走るだけでも歩くだけでも褒められて」
綾瀬「私が思い出したのは、大悟さんが怒るシーンがあるんですけど、そこで方言が出て本物みたいでしたね」
大悟「台本上もここは方言で話していいとなってたんですけど、岡山とか広島の方しかわからないようなのが出ちゃいました。綾瀬さんも方言のセリフもありましたね」
