【ネタバレあり】『劇場版モノノ怪 第三章 蛇神』中村健治総監督&越田智明監督がシリーズ完結編に込めた想いと、思い描く「モノノ怪」の今後の展開
「よくこんなお話を思いつくなって感心しちゃいます」(越田監督)
——越田監督は「モノノ怪」という作品のどんなところがお好きですか?
越田「薬売りのカッコよさやホラーな感じなど、いろいろと好きな要素はあるのですが、僕が一番好きなのは人間模様です。人と人との掛け合いの部分が特に好きなところ。よくこんなお話を思いつくなって感心しちゃいます」
——中村総監督には第一章となる『劇場版モノノ怪 唐傘』のインタビュー時に「半分人工的、半分リアルみたいなバランスを大事にしている」と伺いました。第三章ではどのようなこと大切にしていたのか、章ごとに軸としたことを教えてください。
中村「第一章、第二章、第三章と、主人公たちのポジションが上がっていっています。観る方の人生のステージ、例えば、まだ社会に出ていない人、社会に出たばかりの人、社会に出て後輩が増えてきた人、後輩ばかりになってしまった人というようにいろいろとあると思います。第三章はどちらかというと結構地位が上がった人たちのお話で、ポジションみたいなところは意識して作っていました。作品では大奥が舞台ですが、集団であれば学校、社会、なんにでも置き換えられる。大奥はある意味舞台装置化しているというか、擦られている印象があります。そういった舞台において『これ、観たことある』と感じるものを作ろうとは思いませんでした。
ラインナップが積み上がってきて、作られていない領域はグッと狭まっています。もちろん、過去の作品をいまの技術で作り直せば違う魅力が出るし、それをいまの人たちがいまの気持ちで観るという効果はあるのですが、それって一瞬だと思っていて。配信などで手軽に過去の作品も観られる時代だからこそ、これまでにあった設定だったら、すでに作られている作品で観ればいい。どんな作品を作ることに価値があるのかと考えた時に、これまでになかったもの、メニューの空いているところにコンテンツを作っていきたいという気持ちがすごく強かったので、バランス的には人工的なところは舞台装置で、リアルなところは、ドラマや人は生々しくというバランスは、第一章から一貫してやっていました」
——「メインで入っているディレクターたちの作品に対する理解度がすごい」というお話があり、どの部署にも安心して任せることができるとおっしゃっていましたが、今回の現場はいかがでしたか?制作過程でのお二人のやりとりなどもお聞かせください。
中村「越田監督とは役割分担という感じでしたよね?」
越田「時間がないなかでの制作では、それが一番大事だったりします(笑)」
中村「単位時間あたりの仕事の負荷が大きすぎて、とてもじゃないけど一人ではやりきれない。でもやらなきゃいけないから、越田監督ここやってね、こっちは僕がやるので、みたいな感じでやっていました」
越田「二人でなんとか乗り切っていましたという感じです」
中村「もちろんレベルの高い話をすることもあるのですが、どちらかというと雑談している時が大事だったりもするので。自宅作業をしている時に通話を繋いで雑談をすることもよくあって。気づけば4時間くらい経っていた!ということも(笑)。途中、仕事止まってたじゃん!みたいな、ね?」
越田「でも、必要な時間なんですよね」
中村「必要なコミュニケーションで、ふとアイデアが湧くこともあるし。とにかくいろいろな話をしました」
——今日のインタビューが始まる前にはタロット占いの話で盛り上がっていましたが…。
中村「そんな日常の気になるテーマから、これからのアニメの話みたいな深い話まで」
越田「単純にずっと『ガンダム』の話をすることもあったし」
中村「アニメの話のなかでも、『ガンダム』の話は多かったですね。『ガンダム』の話をしながら『モノノ怪』を考える、みたいな(笑)。広く話をするなかで呼吸を合わせられるというか。そういうところを測っていたみたいな感じもあるかな」
越田「共通認識というか。アニメとの向き合い方みたいなものが、話をするなかで統一されたような感覚がありました」
中村「必要以上に気をつかわない関係であることは確かです」
——4時間話せるのだから、そうでしょうね(笑)。
中村「最初は10分くらいにしましょうとしていても、どんどん脱線。気づけば、もう寝ないと!みたいな時間になっていることも…」
越田「よくありましたね(笑)」
