「スリラー」「バッド」…ランディスやスコセッシ、フィンチャーら有名監督が手掛けたマイケル・ジャクソンのMV集
フィンチャーのスタイリッシュな映像が味わえる「フー・イズ・イット」
恋人に去られた男性の絶望を歌った「フー・イズ・イット」のMVを手掛けたのが、もともとMV監督出身からキャリアをスタートさせ、『セブン』(95)や『ファイト・クラブ』(99)といった作品を世に送りだしたデヴィッド・フィンチャー監督だ。
マイケルがホテルの一室で「Alex」と記された銀色の名刺を見つけ、動揺しながら歌うところから始まるこのMVでは、映像が進むにつれ、モデルの恋人(ヤスミン・ル・ボン)が、コールガールとして様々な名前を使い分けているまさに「フー・イズ・イット」な様子と、その秘密を知り打ちひしがれて去っていくマイケルが同時に映しだされる。
青みがかった映像が生みだすスタイリッシュだが不穏な雰囲気、ILM出身ならではのVFX使いなど、随所にフィンチャー監督らしさが滲み出た1作となっている。
スパイク・リーの社会派な一面が炸裂する「ゼイ・ドント・ケア・アバウト・アス」
『ドゥ・ザ・ライト・シング』(89)のスパイク・リー監督が手掛けた「ゼイ・ドント・ケア・アバウト・アス」は、「プリズン・バージョン」と「ブラジル・バージョン」の2種類のMVがあることでも有名な1曲。
楽曲は人権を踏み躙られた人々の怒りを歌ったもので、「プリズン・バージョン」ではマイケルが独房の中で怒りを露わにし、食堂の囚人たちもそれに同調していくという内容。ロドニー・キングへの暴行をはじめ、天安門広場での軍の弾圧といった実際の映像を用いており、人種問題に切り込んできたリー監督らしい社会派な作品だが、MTVでは放送を許されなかった。
また「ブラジル・バージョン」はファベーラと呼ばれるスラム街でのロケが行われ、大勢の人々のなかでマイケルが歌うというものとなっている。なおリーは、これらの2つのMVと世界各地で広がるブラック・ライブズ・マター運動の様子を組み合わせたアップデート版「They Don't Care About Us (2020)」もリリースしている。
ハリウッドスタジオで撮影された「リメンバー・ザ・タイム」
最後に紹介するのは、『ボーイズ’ン・ザ・フッド』(91)のジョン・シングルトン監督による古代エジプトを舞台にした「リメンバー・ザ・タイム」の約9分にわたるMV。
マイケル演じる魔術師は、ファラオ(エディ・マーフィー)の妻ネフェルタリ(イマン)を楽しませようと歌い踊る。しかし、それを快く思わなかったファラオに追っ手を仕向けられ、身を隠しながらもネフェルタリと逢瀬を重ね…という物語が繰り広げられる。
ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドのバックロットで撮影されており、ゴージャスなセットやマイケルが魔法を使う際の視覚効果などハリウッド感満載の大作となっている。
このほかにも、特殊メイクアーティストのスタン・ウィンストンが監督を務め、スティーヴン・キングが脚本を書いた約40分にもおよぶ「ゴースト」など、映画関係者とのタッグで個性的な作品を生みだしてきたマイケル。『Michael/マイケル』の劇中でも「スリラー」などのMV制作の様子が再現されているので、鑑賞前にこれらのショートフィルムをチェックしておくとより楽しめるかもしれない。
文/サンクレイオ翼
