映画『#拡散』に込めた願いとは?白金監督と脚本・港岳彦が語る「なにを信じるか、どう生きるか」
「真実を見極めるのはどんどん難しくなるのが現実」(白)
初めての監督作品だったが、スタッフやキャストのサポートで、充実した撮影期間を過ごしたと笑顔を見せる。「僕の足りないところを補いながら、楽しい現場にしてくれたことにとても感謝しています。作品のためにいろいろと知恵を絞ってくれるのは本当にありがたかったです。主演の成田さんも、撮影をしながらアイデアをどんどん出してくれました。外を歩く時は帽子をかぶる、夫婦が無言で食事をするシーンで調味料を取りに行くというのは成田さんのアイデアです。なにげない動きですが、信治というキャラクターが立体的になりました。おむつ一丁のシーンは部屋の中でしたが、とても寒い日の撮影でした。相当寒かったはずなのに、成田さんは『作品のためならなんでもやります。全裸だって大丈夫』と言ってくれて。いい雰囲気で作品を支えてくれたと思っています」と成田の作品との真摯な向き合い方に触れながら、心からの感謝を言葉にする。
沢尻には、雑談を通して映画の出演を決めた理由を尋ねたこともあったそう。「沢尻さんがインディペンデント映画に出るイメージがなかったので、立山連峰のきれいな夕日を見ながら、出演の決め手になったものはなんだったのかを訊きました。すると、いままでは世間がイメージする沢尻エリカが演じるキャラクターが多かったけれど、今回は数年ぶりの映画なので、これまで演じたことのない役でやってみたいと思って、とのことでした。もちろん役作りはしてくれましたが、とてもリラックスして自然体で演じているように見えました。細かいディテールまで、こちらがリクエストしなくても表現してくれて、本当に感謝しかないですし、改めてすばらしい役者さんだと思いました」。
“嘘と噂は拡がる”虚実あふれる情報に翻弄された男の物語が描かれている本作だが、白監督自身の嘘と噂との向き合い方とは。「人間が生きる社会で嘘と噂が拡がるのは多分、止められませんし、繰り返すと思います。話が拡がるスピードもどんどん速くなり、元ネタがなんだったのかを忘れるくらいのスピード感で情報が毎日展開していきます。AIでディープフェイクもできるようになるから、真実を見極めるのはどんどん難しくなるのが現実。自分で向き合い方を考えないといけない状況です。僕自身はあまりSNSを見ないようにしています。なるべく本を読むようにすることも心がけています。オールドスクールと言われるかもしれないけれど、SNSに触れる時間を自分にとって意味があると思うことに使いたいと考えています。その一つが映画作りです。映画の作り方も、配信でのスタイルが増えてきてから大きく変わっていることも事実。いろいろなことが変わっていくけれど、変わっていく時代をドライブするのは自分。振り回されないように、しっかり自分の意見を持って向き合いたいと考えています」。
