『キルケーの魔女』どうだった?ガンダム上級者&初心者が『閃光のハサウェイ』を語り合う!「ガンダム好きの大きな夢が叶った」
「ハサウェイはギギと同じように超然的なところを感じる」
石井「ここからはストーリーの中心となるキャラクターを深堀りしていきたいなと思います。みなさんは主人公のハサウェイ・ノアにどんな魅力を感じていますか?」
阿部「ハサウェイは自分を表に出さない、抑制している感じがあって、なにを考えているかわからないというか掴み所がないように感じます。特に第2章では顕著ですが、彼がどんな行動原理があってなにを思っているのかを、考えれば考えるほど気になっていく。それが劇中のキャラクターにも通じる、ハサウェイを“知りたくなる魅力”なのかなと思いますね。
ただ私はケネス派です(笑)。ケネスのほうが行動原理もわかりやすいし、自分の感情もしっかり出してくれる。大人なんだけど素直というところが魅力的ですね。ハサウェイは“わからない”タイプなので、女性は振り回されてしまって危険な男感はありますね」
別所「私もケネス派です(笑)。絶対危険ですよね、ハサウェイ。私はギギと同じように超然的なところを感じました。ケリアが回想シーンで、組織にとってハサウェイの存在が大きくなっていくのを引いた感じで見ているところがありますが、彼女と同じ想いを感じたのかなと」
平尾「逆に僕はハサウェイの心情、すごく理解できてしまうんですよ。体制に対して思うところがあって、行動を起こすけど上手くいかない。さらにそんな状況のなかでも女性のことでウジウジしている。仕事とか学校とかに状況を置き換えると、多かれ少なかれ感じたことがあると思うんですよね。だからハサウェイには等身大な印象があるんです。純朴な青年が過激な思想に感化されてどんどん変わっていくというのは、いわゆる学生運動的なところに近いような感じがあって、そこは洋画の主人公像的な雰囲気なのかなとも思いましたね。でもカッコよさはなくて、青臭さみたいなところを感じます」
石井「行動が正しいのかどうかわからないけど、みんなに期待はされていて、でも本当にこのままでいいのか悩む。自分とあまり変わらない、共感性羞恥を感じるような存在ではありますよね。むしろ個人的にはケネスのほうがわからない。すごくデキる大人の男性で、ハサウェイも直感的に“この人には勝てないかも”というなにかを感じていて。キャラクターとしても身のこなしがスマートで、人間関係も仕事もきちんとこなせて組織からも評価されて、女性にもモテる。そのデキる男の気持ちはなかなか理解できないし、ケネスの態度もハサウェイに対して完全に上から目線で、そこにも越えられない大人の壁みたいなものを見せてくるんですよね。ある種の社会の縮図みたいなものを感じさせる存在でもあるなと」
平尾「ハサウェイがギギに対する欲望を排除しようとするところとか、そういう“性”に対して潔癖なところも理解できる。興味はあるけどそこには行けないみたいな。ケネスは逆ですよね」
石井「ケネスは余裕がある男なんですよ。ハサウェイは“マフティー”を続けることで精一杯で色恋に気持ちを振ったらブレる、ブレて失敗したら後悔する。でもすごく魅力的な、そして過去の女性を払拭させてくれそうなギギは気になるみたいな」
阿部「ハサウェイはモノローグ的に自分の考えは言うけど、口には出さない。だから自分がハサウェイと話をしたら“この人、なにも言ってくれない人だな”ってなるような気がします。だからあまり理解できないところがあるんですかね。ケネスは考えと行動がほぼ一緒だから『この人は嘘をついてないだろう』って思えるところに魅力を感じるんだと思います」
別所「第2章でのケネスは、レーンに対して厳しくてちょっと引いてしまったところはあるんですが…。オンの時の指揮官として仕事をこなす厳しいところと、オフの遊び人な雰囲気の切り替えがしっかりしていて、そのわかりやすさがいいなと」
阿部「そういえば、一見するとレーンくんのほうがわかりやすい、ロボットものの主人公タイプですよね」
石井「大人の都合でガンダムに乗せられて、聞きたくもない命令で戦わされて、失敗すると怒られる。だから“ちくしょう、大人なんてクソ野郎ばっかりだ”って思っているのが、いままで観てきた『ガンダム』シリーズの主人公的な要素と被って見えますね」
別所「ケネスに対して、上官だから面と向かってはちゃんと従うけど、陰ではめちゃくちゃ文句を言っていますよね。そこがかわいいなと思って観ていました」
阿部「ケネスにもハサウェイにも、そしてギギにも一番振り回されているんじゃないかな(笑)。だからこそ応援してあげたい」
別所「ケネスに褒められているところ見たいです(笑)」
阿部「ケネスに叩かれて、叱られているところもなんとなくアムロに近いですよね」
石井「わざとキャラの構図を変えているようにも感じますね。リアルなミリタリーものとして『ガンダム』を描くとなると、モビルスーツを上手く扱える若者が実際に軍隊に入ると、レーンのように軍組織のなかで上官の命令に従わなくちゃならない。もしかしたら、アムロのような少年から兵士になるキャラを、きちんと軍隊に当てはめてリアルに描くとレーンのようになるよという、ある種のカウンターとして描いているのかなとも思うんですよね」
阿部「だから主人公っぽい雰囲気があって、みんなが“レーンくん、がんばってほしい”って思うところがあるのかもです」
平尾「いまの話を聞くと、従来の『ガンダム』ならレーンが主人公で、ハサウェイがシャアのような立場で描かれたのかもしれないですね」
石井「ケネスはブライトのような立場になりますね」
平尾「レーン視点での『閃光のハサウェイ』も観てみたいです!」

