『キルケーの魔女』どうだった?ガンダム上級者&初心者が『閃光のハサウェイ』を語り合う!「ガンダム好きの大きな夢が叶った」

『キルケーの魔女』どうだった?ガンダム上級者&初心者が『閃光のハサウェイ』を語り合う!「ガンダム好きの大きな夢が叶った」

ファン待望のシリーズ第2章となる『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ キルケーの魔女』(以下、『キルケーの魔女』)が大ヒット公開中だ。公開から11日間で興行収入15億円を突破し、観客動員数も91万を越えるという脅威的な数字を叩き出し、その映像クオリティの高さとドラマ性が話題となっている。MOVIE WALKER PRESSでは、そんな本作を分析すべく、ネタバレありで感想や見どころを語り合う座談会を実施!

ガンダムシリーズ全般に詳しいライターの石井誠を進行役とし、近年のシリーズを中心に追っている『ガンダム』ライトファンとしてライターの阿部裕華と平尾嘉浩、第1章『閃光のハサウェイ』と『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(88)のみ鑑賞というハサウェイ最短ルートの編集部員・別所の4人で本作ならではの特徴、思い入れのあるキャラクターやシーンなどをたっぷり語ってもらった。

※本記事には、『キルケーの魔女』の核心に触れる記述を多数含みます。未見の方はご注意ください。

「一見難しく感じるんですが、3人の関係性に絞ればすごくわかりやすい」

石井「まずは、みなさんの率直な感想から伺えればと思います。第2章である『キルケーの魔女』はいかがでしたか?」

阿部「登場人物が増えて背景も複雑、一見難しく感じるんですが、ハサウェイ、ギギ、ケネスの3人の関係性に絞ればすごくわかりやすいお話になっていたと思いました。ハサウェイは自分の使命を重要視しつつもギギに対する想いが強く出ていて、ギギはハサウェイに会うために行動してキルケー部隊をも利用する。ケネスはマフティーを見つけて倒すという使命があり、それを成功させるためにギギを傍に置いておきたい。これまでのガンダムシリーズのような群像劇要素がありつつも、3人の想いが交錯するという点ではすごくシンプルで、それだけを中心にしても楽しめる作品だと思います。もちろん設定面は難解な部分もありましたが…(苦笑)」

ハサウェイ、ギギ、ケネス、3人の関係性からだけでも読み取れるストーリーテリングが魅力
ハサウェイ、ギギ、ケネス、3人の関係性からだけでも読み取れるストーリーテリングが魅力[c]創通・サンライズ

別所「私はそもそも『閃光のハサウェイ』で初めて『ガンダム』に触れたので、第1章を観た時は、想像していたロボットアクションではなく、ドロドロの人間ドラマなのに驚いていました。第2章では『キルケーの魔女』というタイトルの通り、ギギがキーパーソンになっていて、物語展開に女性がすごく重要な役割を担うのも予想しておらず、新鮮な気持ちでした」

石井「逆に『ガンダム』歴45年という僕の立場から感想を言わせてもらうと、これまでのシリーズ、特に宇宙世紀を舞台とした作品は、“戦記物”がある種のフォーマットとしてあって、お話の中心に戦争がありそこに少年少女が巻き込まれていく…というのが身に染みているんですが、『閃光のハサウェイ』はそうではない点が新鮮だなと感じています。純文学的というか、“マフティー”によるテロ戦争は物語の主軸というよりは人間ドラマの背景で、その戦いに引き寄せられてしまった人たちの話がメインなんですよね」

平尾「僕もそれまで抱いていた『ガンダム』のイメージとはまったく違う印象がありました。特に第1章は原作小説などの予備知識を入れず、まっさらな状態で観たので、そもそも主人公が反地球連邦政府運動のリーダーというのがかなり意外でしたし。第2章では前作での行動を踏まえて、ハサウェイが大きな闇を抱えて自分のなかで葛藤して自問自答している。そういうところは共感できるし、その悩みが自分のことのようでちょっと恥ずかしくなるところもあっておもしろかったです」

ギギの持つ不思議な洞察力と縁起を自軍のために積極的に活用するケネス
ギギの持つ不思議な洞察力と縁起を自軍のために積極的に活用するケネス[c]創通・サンライズ

別所「なるほどです!私は設定を深く理解していない分、丁寧な人物描写だったり、モビルスーツ戦の映像に圧倒されたり、ビジュアルや美麗な作画に注目していました」

石井「複雑に構築された社会的、政治的な背景もすごくおもしろいけど、人間模様がメインなので背景を完全に理解しなくても楽しめる。もちろん、設定を理解すればより深く楽しめる。シリーズとしての新しい構図が、高いクオリティで映像化されたところが長年のファンとしてはおもしろいというか、感慨深いです」


「この作品は『ガンダム』好きとしては大きな夢が叶っている作品」

石井「そして人間模様だけでなく、ガンダムシリーズのファンが唸るような軍事的な表現もこだわっています。シリーズの魅力であるミリタリー描写は、どう感じましたか?」

迫力あるモビルスーツ戦は前作以上に激しいものに
迫力あるモビルスーツ戦は前作以上に激しいものに[c]創通・サンライズ

平尾「戦闘シーンは大興奮でした!『シビル・ウォー アメリカ最後の日』のような戦場の臨場感のある映像で、リアルなモビルスーツの戦場はこういうふうに見えるんだとワクワクするところもありました」

別所「コックピットの中から見た映像が多くて、そこもおもしろかったです。もっと外側から見た、モビルスーツ同士がぶつかるシーンをイメージしていたので。だから、今回はどちらかというと“モビルスーツ戦を見ている”というよりも“体感している”という感じがありました」

阿部「確かに、自分が乗っているような感じは強かったです!ただ、そのリアリティがある分、“この戦闘でなにが起きているのか?”が一度ではわからないところもありました」

“マフティー”が使用しているのは、「ギャルセゾン」と呼ばれるサブ・フライト・システム
“マフティー”が使用しているのは、「ギャルセゾン」と呼ばれるサブ・フライト・システム[c]創通・サンライズ

石井「そもそも、Ξ(クスィー)ガンダムがなぜ強いのかが、劇中での説明が少ないですもんね。ちょっと解説すると、『閃光のハサウェイ』の世界では普通のモビルスーツは空を長時間飛べないんです。だから、メッサーやグスタフ・カールのような量産機が移動する時には、ベース・ジャバーと呼ばれる機体にモビルスーツを乗せて飛行するんです。ただ、ハサウェイやレーンの乗っているガンダムタイプの特別な機体は、新しい技術によって長時間の飛行ができる。この機体による違いをしっかりと描き分けているので、『ガンダム』好きとしては満足度が高い描写だったりします」

阿部・平尾・別所「なるほど!」


石井「もう一つお話すると、この作品は『ガンダム』好きとしては大きな夢が叶っている作品でもあります。それは、徹底したリアルなミリタリーものとしての『ガンダム』をきちんと描いているから。キャラクターと同化するようなケレン味があるモビルスーツ戦も『ガンダム』の魅力の側面ではありますが、一方で本物の兵器のように扱われるモビルスーツをきちんと見てみたいという想いがあって。

圧倒的強さを見せつけるΞ(クスィー)ガンダム。標準的なモビルスーツよりかなり大型
圧倒的強さを見せつけるΞ(クスィー)ガンダム。標準的なモビルスーツよりかなり大型[c]創通・サンライズ

それこそ、我々が自衛隊の戦闘機が空を飛んでいるとちょっと珍しいと思っても“そこにあってしかるべきもの”としてさほど驚かない。でも実際に運用されるのを間近で見ると“怖い”存在なわけです。自衛隊の総合火力演習を実際に見にいったことがあるんですが、遠くから戦車が砲撃する音の迫力とかを感じると、カッコイイ以上に“怖い”んです。そのリアル感が出ている。戦い方も高度なセンサーとかが反応する戦いは、モビルスーツ同士のぶつかり合いは無くて、ちょっと引いた報道カメラ的な見せ方になる。そうした空気感の見せ方も含めて“こういうのが観たかった”って思わせてくれました。45年経って、『ガンダム』の戦場表現もここまで来たのかという感慨も深かったです」

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