『PROJECT Y』イ・ファン監督を韓国で直撃!「女性2人による、青春の欲望がぐつぐつと煮えたぎる物語を描きたかった」
「魅力的でカッコイイ女性といえば、自然にハン・ソヒ&チョン・ジョンソが思い浮かびました」
――実際にそうした人々の話が反映されているわけですね。韓国映画では、女性2人が物語を引っ張る映画はそれほど多くない印象です。アメリカ映画では『テルマ&ルイーズ』のような例がありますが、今回ハン・ソヒさんとチョン・ジョンソさんをキャスティングされた理由は何でしょうか。
「やはり“魅力的な人物”であることが大事だと思いました。女性2人のバディムービーを作るときには、観客が『観たい』と思える存在感が必要です。そのためにはカッコいい女性像が欠かせません。自然に思い浮かんだのが、ハン・ソヒさんとチョン・ジョンソさんでした。お二人は韓国国内にとどまらず、いまや時代のアイコンのような存在です。2人を通してキャラクターの声を届ければ、説得力や吸引力も増すと考えました」
――最初からお二人を念頭に置いて脚本を書かれたのですか?
「いえ、脚本をほぼ書き終える段階になって思い浮かびました。そのあと出演が決まり、会って話をしながら脚本を修正していった感じです」
――難しい役ですが、お二人の反応はいかがでしたか。
「ありがたいことに、とても早く出演を決めてくださいました。脚本をおもしろく読んでくださり、キャラクターを好意的に見てくださった。そして『同世代の女性2人が物語を牽引すること』に大きな価値を感じてくださったようです。さらに助けになったのは、私の前作『パク・ファヨン』と『大人たちには分からない』を高く評価し、楽しんで観てくださっていたことです。それも今回の参加を後押ししてくれたと思います」
――ハン・ソヒさんは日本でもドラマで人気があります。華やかさと強さをあわせ持つ方だと思います。監督から見て、俳優ハン・ソヒの魅力はどんなところでしょうか。
「ハン・ソヒさんは、一見するとガールクラッシュで強く見えるかもしれませんが、私が感じたのはとても人間的で誠実な人だということです。信念がはっきりしていて、それを守りながら生きている、とても健康的でしっかりした方だと思います。『夫婦の世界』や『マイネーム』など、これまでの出演作を観ればわかりますが、ハン・ソヒさんの俳優としての魅力は数えきれないほどあります。ただ、今回は『PROJECT Y』のミソンとしてのハン・ソヒさんを見てみたかった。つまり、私が最も見たかったのは、これまで彼女が演じてこなかったキャラクターです。生き延びようとする切迫した気持ち、極限の状況での必死さ。それをハン・ソヒさんが持つ感情と感性でぶつけたら、観客にとって『良い意味での裏切り』になるのではないか。そう思ったんです」
――スクリーンのなかのハン・ソヒさんを見るとき、どこに注目するといいでしょう。
「私は俳優の演技を見るとき、まず目をよく見ます。ただ、ハン・ソヒさんの場合は目に集中していただいてもいいですが、それ以上に彼女から発せられる情緒や感情そのものを感じてほしい。心を開いて、そのリアリティを受け取ってほしいんです。リアリティというのは曖昧ですが、ソヒさんの感情の流れをそのまま追っていく。そういう見方が一番いいと思います」
――では、今回の撮影で「これぞ」と思った瞬間はありましたか?鳥肌が立つような場面は。
「ガヨンが死んだあと、ミソンがドギョンに『一緒に行こう』と3回ほど繰り返す場面があります。実際の撮影では6〜7回は繰り返しました。編集で3回になったのですが、まるで母を失った子どもが道に迷い、泣きじゃくるような。ミソンは実際に母に捨てられてシェルターでドギョンに出会い、ガヨンと暮らすようになったのに、また母を失った。捨てられてひとりぼっちになった子のように泣く、その感情と表情が最も印象に残っています」
――演技のとき、監督は事前に細かく指示を出されるのですか?それとも自然に任せるタイプですか?
「現場で見ながらアイデアを出すこともありますし、共同創作ですから俳優と一緒に作っていく。ハン・ソヒさんの意見も聞き、私のアイデアも伝え、やり取りを重ねながらディベロップしていきました」
――チョン・ジョンソさんも個性の強い方ですよね。『バーニング』での演技も驚きました。監督が驚かれた点は?
「チョン・ジョンソさんはこれまで強い役が多かったのですが、私はむしろ逆に、弱さを持った姿を見たいと思ったんです。『PROJECT Y』では、未熟で弱い部分が描かれています。強いふりをしていても、ガヨンの死後、表では平静を装いながら、裏では1人で泣いている。これまで彼女から見たことのない“弱さ”が映し出されたと思います」
――素顔はどんな方ですか。
「スマートで礼儀正しく、とても合理的な人です。キャラクターについて話すときも、分析が鋭く賢いと感じます。意見を出すときも『監督はどう思いますか?』と必ず尋ねてくれる。そうしたやり取りの呼吸がとても合いました」
――ハン・ソヒさんとチョン・ジョンソさんはもともと知り合いでしたが、そのことを意識して演出されたのですか。
「はい、知っていました。そして2人が快く引き受けてくれたおかげで、とても楽しく撮影できました。劇中は強いキャラクターを演じていますが、素顔は普通の20代~30代の女性たちと同じです」
――お二人の友情やケミストリーが作品に反映された場面もありますか?
「全体を通して表れています。特定のシーンだけでなく、2人のケミストリーが自然ににじみ出ている。それは2人の実際の友情と積み重ねた時間が反映されたからで、このキャラクターに自然と溶け込んだのだと思います。キャラクターとの違いはありますが、感情や交流の部分では確かに2人の友情に助けられたと思います」

