『PROJECT Y』イ・ファン監督を韓国で直撃!「女性2人による、青春の欲望がぐつぐつと煮えたぎる物語を描きたかった」
ソウルの夜を舞台に、欲望と選択に翻弄される若い女性たちの疾走を描いたクライムサスペンス『PROJECT Y』(2026年1月23日公開)。本作は、インディペンデント映画『パク・ファヨン(原題:박화영)』『大人たちには分からない(原題:어른들은 몰라요)』で注目を集めたイ・ファン監督が、長年胸の内に抱え続けてきた構想を結実させた最新作だ。7〜8年にわたって温められてきた物語は、当初のラブストーリーというかたちを離れ、「女性2人」を主人公に据えたジャンル映画へと大胆に変貌を遂げた。今回、第30回釜山国際映画祭で行われた上映の機会に、監督本人を直撃。物語が生まれた背景から、女性キャラクターに託した思い、そしてハン・ソヒ、チョン・ジョンソという2人の俳優とともに作り上げた「PROJECT」の核心について、じっくりと話を聞いた。
「“女性”という存在を借りて社会的な物語を語ることに魅力を感じました」
――オープントークやプロダクションノートも拝見したなかで、興味深いと思ったのは、この映画は「長い間胸のなかに抱えていた物語だ」とおっしゃっていたことです。本作はどのように生まれたのでしょうか。
「私は『パク・ファヨン』と『大人たちには分からない』というインディペンデント映画を2本制作していて、今回が3作目です。本作の構想は、実は『パク・ファヨン』を書く前からありました。最初の長編作品について考えながら、恋愛映画としてアイデアを膨らませていたのです。つまり、江南という都市の夜を舞台にした、とても切実な男女のラブストーリーを作ろうと企画していたのです。ところが制作条件が整わなかったため、『パク・ファヨン』と『大人たちには分からない』を先に撮ることになったんです」
――では、その後も何年もずっと考えていらっしゃったのですね。
「はい、大体7~8年くらいだったと思います。そして改めて『この物語をどうかたちにすればいいのか』と考えたときに、『ジャンル映画にしてみてはどうか』というアイディアが浮かび、『女性のクライムサスペンスにしてみてはどうかな』と思いつきました。そこで男女のキャラクターを女性同士に変えたんです。そうして自然に女性と女性の物語を軸とした犯罪ドラマに移行していきました」
――「女性と女性の物語」になった一番大きなきっかけは?
「私は人間に対して関心が強いんです。前作もそうでしたし、気づけば女性キャラクターを扱う映画を主に撮ってきました。でも特に『女性にスポットライトを当てて描こう』と意識したわけではありません。根本的には人間そのものへの関心から来ています。でも、私は男性ですよね。だから自分が書く言葉や言い回し、語り口を男性キャラクターに当てはめるよりも、女性俳優がそれを表現したときに生じる違和感やズレ、そこから生まれるおもしろさや新しい表現の可能性に惹かれたのです。さらに『人への関心』とは、社会的弱者への関心でもあります。もちろん現代において『女性が必ずしも男性より弱者だ』ということでは決してありません。ただ、女性という存在を借りて社会的な物語を語ることに魅力を感じていました。そういう理由から、自然と前作でも女性キャラクターを扱い、今回も女性を主人公にすることになったのだと思います」
――なるほど。男性である監督から見た「女性の葛藤」を描いているのですね。そうしたものは取材を重ねて掴んだものなのでしょうか。それとも想像力で描かれた部分が大きいのでしょうか。
「実際にインタビューもたくさんしましたし、もちろん想像もします。ただ、特に『女性がやる』と想像するのではなく『人間がやる』と想像するんです。その後、俳優がキャスティングされると、その俳優と話しながら少しずつ調整していく。そういうやり方で作業しています」
――どんな方々にインタビューをされたんですか。
「夜の世界で働いている人々に話を聞きました。加えて、江南の不動産関係者や、江南で実際に働いていたタトゥーアーティストなど、様々な職業の人たちを取材しました」
――そのなかで、特に印象的だった言葉はありましたか。
「タトゥーをしていた友人とのインタビューが特に印象に残っています。その人の話が、この映画のソックというキャラクターに多く反映されました。同じ時代を生きているのに、私たちは江南という街のことをよく知らない。実際にははるかに多様で、驚くほどたくさんの出来事が起きている場所だということを実感させられました」

