こんな坂本龍馬、西郷隆盛もアリ?史実と比較する『新解釈・幕末伝』登場の偉人たち
どこかヌケている天然キャラの吉田松陰(高橋克実)
長州藩士の思想家であり教育者。自宅で開いた松下村塾で身分を問わずに若者たちを指導し、桂小五郎、高杉晋作、伊藤博文など、明治維新や新政府を牽引することになる多くの逸材を輩出した。「国のためになる人材育成」に命を懸ける幕末の志士たちの精神的な指導者だったが、29歳の若さで処刑されている。
なのに、本作の松陰は軽率極まりない。通りすがりの龍馬や西郷に、ペリー艦隊の黒船に乗り込んで海外に密航する計画をあっさり話してしまう。それが原因だったかはわからないが密航は失敗。思いがけないところでヌケている天然キャラだったのかも?
気前がよくてオープンな勝海舟(渡部篤郎)
幕臣(江戸幕府の家臣)でありながら、西洋の知識に明るい開明的な思想を持った指導者。日本の近代海軍の創設に尽力した、龍馬の師でもある。戊辰戦争(1868~69年)の最終局面で、旧幕府陣営の代表として新政府軍の総大将である西郷隆盛との交渉に臨み、江戸城の無血開城を成功に導く。江戸の町を戦火から救い、日本の平和的な政権交代に大きく貢献した。
本作の勝も気前がよくて、オープンな性格だ。情報通で「今日は観光だ!」とばかりに、くノ一が接客してくれるコンセプト茶屋に入ると、藩の垣根を取っ払ってみんなで楽しく酒を飲んだりしている。
刀は一流だが頭は固い岡田以蔵(岩田剛典)
土佐藩士で土佐勤王党に所属した剣客。尊王攘夷を掲げた党の実働部隊として、「天誅」と称する暗殺活動に数多く関与したことから、「人斬り以蔵」と呼ばれ恐れられた。龍馬の紹介で勝海舟の護衛を務めたこともあるが、最終的には土佐藩に捕らえられ、厳しい拷問の末に処刑された。
そんな以蔵のキャラは本作でも踏襲されていて、素早い剣で敵を次々に斬り倒す姿がカッコいい。しかし、刀は一流だが、頭は固そう。自分のことをカッコいいと思っている節があり、それを龍馬に見抜かれている。
セコい近藤勇(小手伸也)
江戸時代末期に京都の治安維持を目的に結成され、尊王攘夷派の志士を取り締まった武装組織、新選組。その局長を務めたのが、天然理心流の剣客である近藤勇だ。武州多摩の農民出身ながら、剣の腕と強い統率力で「試衛館」道場の仲間たちをまとめた。新選組が結成されると、京都守護職で会津藩主の松平容保の指揮下で、京都の治安維持に尽力。特に、尊王攘夷派の隠れ家を襲撃した池田家事件(1864年)での働きは、新選組の名を天下に知らしめた。
そんな史実から器の大きな人物という印象が湧き上がるが、本作の近藤はコンセプト茶屋の飲み代を「偵察費の領収書で落ちるのか?」と口に出してしまうセコいキャラ。
恥ずかしがり屋の土方歳三(松山ケンイチ)
新選組の副長。「鬼の副長」と恐れられるほどの厳しい規律で隊士を統制し、近藤の右腕として新選組を最強の武装集団に育て上げる。戊辰戦争が始まると、旧幕府軍の指揮官として各地を転戦。最後まで新政府軍に抵抗し、蝦夷地の函館(五稜郭)で武士の信念を貫き通した。
といった感じで厳しくて怖いという印象がある土方だが、本作の副長は“こんな性格だからそう勘違いされるのでは?”というような恥ずかしがり屋。新選組の羽織を羽織っていないのも内気なキャラの表れ?
明るくて口が上手い沖田総司(倉悠貴)
新選組一番隊組長にして撃剣師範。「試衛館」時代からの近藤の弟子で、隊士随一の天才的な剣術の使い手として知られる。新選組の主要な戦闘に参加し、池田家事件でも活躍したが、病弱で結核も患っていたため、鳥羽・伏見の戦い(1868年)ののちに若くして亡くなった。
そんな生涯だったこともあって、沖田には儚く冷たいイメージを抱きがちだが、本作では全然そんなことはなく、明るくて口が上手い。「ケチな近藤さんなんて見たくないです。近藤さんに憧れていたのに」と言って、コンセプト茶屋に強引に誘おうとする。
