こんな坂本龍馬、西郷隆盛もアリ?史実と比較する『新解釈・幕末伝』登場の偉人たち
これまでに数々の映画やドラマの題材になった激動の時代・幕末を、「銀魂」シリーズ、『新解釈・三國志』(20)、『アンダーニンジャ』(25)などの福田雄一監督が、新たに独自の“解釈”で描く『新解釈・幕末伝』(公開中)。幕末は江戸の終わりから明治の始まりにかけて日本の歴史が大きく動いた時代で、たくさんの逸話が残されているが、知らないことも意外と多い。幕末の志士として知られる坂本龍馬、西郷隆盛らも知名度こそ高いが、果たしてなにを成し遂げた男だったのか?本当に英雄だったのか?そんな劇中に登場する歴史上の有名人たちの偉業を紹介する。
「まあまあ」が口ぐせのノリのよさで生き抜く坂本龍馬(ムロツヨシ)
土佐藩出身の浪人で、常識に囚われないカリスマ的な行動力を持つ。師の勝海舟から世界情勢を学び、日本の海軍や商業の重要性を見抜く先見の明があった。日本初の商業的な組織=亀山社中(のちの海援隊)を長崎の亀山で設立している。最も大きな功績は、宿敵だった薩摩藩と長州藩を和解させ、薩長同盟(1866年)を結ばせたこと。新たな国家体制の基本方針を記した「船中八策」を示して朝廷と有力藩による会議で国を運営する公議政体を目指したほか、このなかで幕府が朝廷へ政権を返上する大政奉還も提言。1867年にそれが実現するなど維新の最大の功労者の一人とされているが、自身は「近江屋事件」で盟友の中岡慎太郎と共に暗殺される悲劇的な最期を迎えた。
ところが、本作で描かれる龍馬は定説とはちょっと違う。「まあまあ」が口ぐせで、ノリのよさとテンションの高さで世のなかを渡ってきたようなキャラクター。薩長同盟を話し合う会談には大幅に遅れて現れ、大政奉還も龍馬のある冗談がきっかけとされている。
とにかく気難しい西郷隆盛(佐藤二朗)
江戸幕府を倒し、明治新政府の樹立に最も貢献した、大久保利通、木戸孝允と並ぶ「維新の三傑」の一人。「敬天愛人」を座右の銘とし、身分や性別、年齢に関係なく人を愛し、多くの人から慕われた。安政の大獄や島津藩主、島津斉彬の急死などによる島流しを二度も経験し、薩長同盟の締結、江戸城の無血開城を導き、日本の近代化に貢献。新政府の要職に就くが、征韓論(朝鮮への出兵を主張)で政府と対立して下野。新政府に反旗を翻す西南戦争(1877年)を起こすも、敗北して自刃する。
一方で本作の西郷。大きな顔や足、ゲジゲジ眉毛はイメージ通りだが、「おいどん」や「ごわす」とは言わない。いい加減で何者でもない龍馬が歴史に刻まれることを不服として、一度は賛同した薩長同盟を拒否。なのに、龍馬とおりょうの新婚旅行にまでついて行ったりする。
小心者の桂小五郎、改め木戸孝允(山田孝之)
長州藩の指導者で「維新の三傑」の一人。後述の吉田松陰の弟子であり、剣術の達人ながら、冷静な判断力と調整能力で藩を率いた。藩を代表して薩長同盟を締結し、倒幕勢力を確立。維新後は木戸孝允を名乗り、新政府の中心人物として版籍奉還や廃藩置県といった、近代国家の骨格を作るために尽力した。
史実ではそう言われているが、本作の桂は西郷との会談の席に際し、緊張で固くなってしまうような小心者。居眠りを決め込む相手にタジタジで、龍馬が口走ったよくわからない精神的圧迫術に頼る始末。真実は意外とそんな感じだったかもしれない。
