“震災前の能登”を残した『港のひかり』、輪島に戻ってきた1日に密着…舘ひろし「感謝と応援の気持ちを伝えたい」
地元ファンに囲まれ、大賑わいとなった「能登・福幸(ふっこう)フェス」
続いて、一行はジャパンプレミアの会場となる日本航空高等学校石川へと移動。同所では能登復興への願いを込めた一大イベント「能登・福幸(ふっこう)フェス」が行われ、本作の撮影に参加したお店も含め、約100件にも及ぶキッチンカーや能登の物産店が連なった。舘と眞栄田、尾上がサプライズでフェスに出向くと、出店者や訪問客、学校の生徒から「キャー!」と割れんばかりのどよめきと拍手が沸き起こり、3人は手を振って歓声に応えた。あいにくの雨がふりつけ、老若男女のたくさんの人々でごった返すなか、彼らが一人一人の目を見てハイタッチをしたり、がっちりと握手を交わしていたのが印象的だ。
各店舗から「寄って行って」「食べて行って」と引っ張りだことなった彼らは、「こんにちは!」「おいしそう!」「これはなんですか?」と商品を興味深げに眺めて質問を重ねるなど、地元の人々と和気あいあいと交流。ブルーのわたあめを見た尾上が「食べたい!」と声を弾ませ、手や舌を真っ青に染めながらわたあめをおいしそうに食べる場面も。コーヒーのいい香りが漂うお店では、舘が「郷敦、コーヒーは?」と誘い、眞栄田が「いただいていいですか」とにっこり。海産物のお店で舘と眞栄田がホッケ、尾上がイカをお土産に買ったりと、ご当地自慢のグルメをふんだんに味わっていた。
地域復興の取り組みに励み、本イベントの大黒柱でもある能登復興支援プロジェクト委員会の中橋忠博委員長に状況について尋ねると、半島という地理的条件から進出経路が限られていることに加え、道路や宿泊施設など甚大な被害を受けたことに言及。
「いろいろなものが完備されていないので、やっと解体が終わったという状況です。いまは野原が広がっているような状態」と切り出し、「以前から人口が減って、過疎化が進んでいましたが、地震が突然に来ましたから。夜になるとほとんど人が歩いていません。寂しい状況です」と地震によって過疎化が加速したという。しかし「ピンチをチャンスに変えていかなければいけない」と力を込めた中橋委員長は、「これからビルドしていくなかで、果たしてどれくらい人が戻ってくるかという議論はありますが、なんとか元気を出してやっていきたい。みんな本当に大変だけれど、一人が5人分くらいの元気を出してやっていきたいです」と意気込みを打ち明ける。
さらに「準備には1年ほどかかりましたが、このフェスが『元気を出してやっていこう』というひとつのスタートになれば」と期待しながら、「この映画が全国で公開されて、皆さんが間接的に能登のことを思い出してくれたらうれしい。今日は舘さんたちが来てくれて、みんな盛り上がっています。現地まで来てくれて試写会をやってくれるなんて、なかなかそんな機会はないですから。こういうイベントがあると、やっぱり元気が出ますよ」と感慨深げに語った中橋委員長。
本作では、誰かのために生きるやさしさと強さ、勇気を振り絞ることの尊さなど、三浦の背中を通して幸太が大切なことをたくさん学んでいくが、すでに映画を鑑賞したという中橋委員長は「舘さん、すごくカッコよかったなあ!」と惚れ惚れ。「舘さん演じる三浦は、過去を捨て、漁師として生活していて。幸太という盲目の少年と出会ったことで、お互いに励まし合うようにして生きていく。年老いていく三浦は、自分の人生を振り返りながら最後の生き甲斐のように少年の目を治そうとするんですが、その姿がなんだか能登の状況と重なって。うるっときましたね」と新しい世代へ希望のバトンを渡していこうとする能登と、劇中の三浦がリンクしたと目を細め、「タイトル通り、闇を照らすような“ひかり”を感じた」と能登にとっても大切な映画になったと話していた。

