『(LOVE SONG)』森崎ウィンが語る、Snow Man向井康二と育んだかけがえのない絆「僕が持ってないものを確実に持っている」
世界を席巻したタイの大ヒットBLドラマ「2gether」(20)を手掛けたチャンプ・ウィーラチット・トンジラー監督が描く愛の物語『(LOVE SONG)』(10月31日公開)。東京からバンコクへやってきた青年が異国の地で初恋の人と再会し、すれ違いながらもしだいに心を通わせていく様子を映し出す。主演を務めたのは、俳優としてはもちろん、アーティストとしても唯一無二の存在感を放つ、森崎ウィンとSnow Manの向井康二だ。
青春時代を共に過ごした親友のカイ(向井)に特別な思いを寄せる、誠実でまじめすぎる青年・ソウタを演じた森崎に、本作に込めた想いや「こうちゃん」と呼ぶ向井康二との関係、今後の展望について語ってもらった。
「『“人間対人間”を描く作品にしたい』という監督や制作陣の意図に共感したんです」
『(LOVE SONG)』は自身初のBL作品であるが、「男性同士の恋愛を描いたドラマが世界的に人気を集めていることは知ってはいましたけど、正直あまりちゃんと観たことはなくて…」と率直に明かす森崎。現代における“様々な恋愛の形”を提示する役割も持つ本作に挑むにあたり、誠心誠意、真剣に向き合ったという。
「いろんな意味でジェンダーレスになってきて、“恋する”対象についても男女に限らず様々なジェンダーを描いているケースも増えてきたなか、BLというジャンルの作品にどんなスタンスで臨むべきか。『いや、考えすぎだよ』って言われるかもしれないですが、すごく考えましたね」というのも森崎には、実話をベースにしたミュージカル「ジェイミー」で、ドラァグ・クイーンを夢見るゲイの高校生を演じた経験があった。その際に実感したことがいまでも心に深く刻まれているからこそ、BLというジャンルにも慎重になったのだ。
「当時、ミュージカルの主人公のモデルになったイギリス人のジェイミーさんと、オンライン上で対談する機会をいただいたんです。彼は過去に起きた実際のエピソードを笑いながら僕に語ってくださったんですが、その笑顔の裏には壮絶なストーリーが存在していたであろうことが優しい眼差しの奥にうかがえた。その時、たとえ作品のなでは詳しく描かれなかったとしても、演じるからにはちゃんと背景まで知らなきゃダメだって痛感したんです。だから今回もテーマに向き合う覚悟は強く持っていました」
いまも本当の気持ちを周囲に明かすことができずに苦しんでいる人もいれば、こうしたドラマが話題になることで、救われる人もいる。だからこそ森崎は、「“ただキラキラした恋愛を描きたい”といった表面的な理由だけで扱うべき題材ではないと思った」と言い、「BLが流行っているからといって、ただその流れに乗っかるだけの作品なら、絶対にやりなくなかったんです。もちろん、こういったジャンルの作品においては、映像として美しく見せることも大事なことだと思いますし、もちろん僕自身もそう見えるよう努力したつもりですが、声高にBLを掲げるのではなく、『“人間対人間”を描く作品にしたい』という監督や制作陣の意図に共感したんです」と話す。
本作では、ソウタとカイの長年にわたる切ない“両片想い”を主軸としながらも、物語が終盤に向かうにつれ、筒井真理子演じるソウタの母が抱える複雑な感情が背景に絡んでいたことも明らかになる。それも本作の特徴の一つだ。
「もし自分の子どもだったらって考えると、僕自身もちょっと古い考えを持っているところがあるから、“この子は本当にこの世の中でやっていけるのだろうか”と心配でたまらないがゆえに、真剣に悩むと思うんです。そういう親のリアルな心情も作品を通じてしっかり描かれているなかで、それでもそこに果敢に飛び込んでいこうとするソウタの姿が、あらゆる壁を取っ払うきっかけになったらいいなとも思っていて」
