芦田愛菜、王女のような登場!『果てしなきスカーレット』が“細田守作品の原点”で幕開け「挑戦づくしの作品」

芦田愛菜、王女のような登場!『果てしなきスカーレット』が“細田守作品の原点”で幕開け「挑戦づくしの作品」

細田守監督最新作『果てしなきスカーレット』(11月21日公開)のジャパンプレミアが11月5日に東京国立博物館で行われ、芦田愛菜岡田将生、染谷将太、宮野真守、吉田鋼太郎、斉藤由貴、松重豊、細田監督が出席。東京国立博物館は、19年前に公開された『時をかける少女』(06)にも登場した場所。いよいよ日本でのお披露目を迎え、細田作品の原点とも呼べる地で豪華キャストと監督が映画への想いを明かした。

【写真を見る】芦田愛菜、役柄を彷彿させる王女の風格!岡田将生と東京国立博物館のバルコニーに登場
【写真を見る】芦田愛菜、役柄を彷彿させる王女の風格!岡田将生と東京国立博物館のバルコニーに登場

『時をかける少女』、『サマーウォーズ』(09)、『おおかみこどもの雨と雪』(12)、『バケモノの子』(15)、『未来のミライ』(18)、『竜とそばかすの姫』(21)などを送り出し、日本のみならず世界中の観客を魅了し続けているアニメーション映画監督の細田守。本作は、主人公の王女スカーレットが父の復讐に失敗するも、“死者の国”で再び宿敵に復讐を果たそうとする、これまでの細田作品と一線を画す物語。東京国立博物館がライトアップされたほか、観客がペンライトを振ってスカーレットの髪色である“ピンク”に染め上げたこの日。スカーレットを演じた芦田と、スカーレットと共に旅をする現代の日本人看護師である聖役の岡田が、2階バルコニーに姿を現すと会場から大きな拍手が上がった。

キラキラと輝くドレスでレッドカーペットに現れた芦田愛菜
キラキラと輝くドレスでレッドカーペットに現れた芦田愛菜

まさに王女のような登場で沸かせた芦田は、「一生懸命に声を演じた、スカーレット。どんなふうに受け止めていただけるか、緊張もありつつ楽しみです」と笑顔。長編アニメの声優に初挑戦を果たした岡田は、「本当に楽しかったです」と充実の表情を見せ、「わからないことだらけだったのですが、監督にいちから教えていただいて、監督と共に聖という役を作り上げた」と感謝しきり。たくさんの人々が集まってアニメーション制作に臨んでいるということが日に日に身に染みている様子で、「皆様の代表として立っていることを改めて考えると緊張していますが、代表してこの作品のすばらしさを皆様にわかってもらえるよう、頑張っていこうと思います」と宣伝活動にも意欲をにじませていた。

聖役を演じた岡田将生、監督に感謝
聖役を演じた岡田将生、監督に感謝

芦田と岡田、細田監督は第82回ヴェネチア国際映画祭にも参加。芦田は「映画を観終わった後の笑顔が、忘れられない思い出になりました」、岡田も「映画愛にあふれた皆さんと同じ空間で『果てしなきスカーレット』を観させていただいた経験は、一生忘れられない時間」としみじみと語っていた。

細田守監督とヴォルティマンド役の吉田鋼太郎
細田守監督とヴォルティマンド役の吉田鋼太郎

これまでベルリン国際映画祭で『サマーウォーズ』、カンヌ国際映画祭で『竜とそばかすの姫』が選出された細田監督。本作で、世界三大映画祭すべてに参加したことになる。「やっと日本の皆さんに観ていただける日がきました。日本の皆さんのために作った作品。今日はとてもうれしい」と喜んだ細田監督は、「いままで僕らが作ったなかで、一番スケールの大きな作品。内容的にも挑戦することが多く、表現にも挑戦があり、座組としても挑戦。挑戦づくしの作品」だと本作を紹介。「僕の9歳の娘が、これからこの世界でどうやって生きていくのだろうか。力強く生きて、未来を目指してほしいなという想いが根本にある。大きな映画になりましたが、身近な、小さなところから始まった」と“生きる”をテーマとした作品に、力強い挑戦をたくさん込めたという。

『時をかける少女』(06)にも登場した東京国立博物館でジャパンプレミアが実現
『時をかける少女』(06)にも登場した東京国立博物館でジャパンプレミアが実現

本作で4度目の細田作品への参加になった、ギルデンスターン役の染谷は「細田作品のファン」と切り出し、「今回も参加させていただいて光栄。すべての人々がこの作品の当事者であり、関係者なんじゃないかと思う。本当に心を打たれた。この作品の地続きが、この世の未来へと繋がっていくんだと感じた。世界中の方々に観てほしい」とアピール。墓掘り人役の宮野は、声優として数々の作品に出演しながらも「そんななかでもまだまだ観たことのない表現があるのだと、本当に驚かされた」といい、「技術の向上を諦めない、細田監督の胆力」に最敬礼。ヴォルティマンド役の吉田は、すべての声優が驚くべき名演を披露していると称えつつ、「この映画を観てから、ずっと感動が続いている。静謐に、厳かに、感動している」と完成作に惚れ込んでいることを明かす。するとガートルード役の斉藤も「(生きることに)立ち向かう、真っ直ぐな強さが美しく表出されていた」、コーネリウス役の松重も「舞台を観た時のような感動で、腰が抜けるような想いがした」と圧倒されたと熱っぽく続いた。

豪華メンバーが笑顔で手を振った
豪華メンバーが笑顔で手を振った

豪華キャスト陣のなかで、スカーレットを熱演した芦田は「監督から、『現代を生きている19歳と、中世を生きる王女としての19歳は、持っている覚悟が違うと思うから、その違いが出るといい』というお話をいただいて」と回想。「どうやって演じればいいんだろうと悩みながら、ジャンヌ・ダルクやエリザベス1世の作品に触れて。体当たりじゃないとできないだろうなというシーンもたくさんあったので、声を吹き込むというよりは、魂を吹き込むような気持ちで向き合わせていただいた」と役作りについて語る。

それぞれが完成作に圧倒されたことを明かした
それぞれが完成作に圧倒されたことを明かした

さらに本作やスカーレットを通して、“生きる意味”について思考を巡らせた芦田は、「先日ある物語を読んでいて、その一説に『人生の意味より、人生そのものを愛せ』という会話があって。それはまさに、この映画を観て思ったこと」だと話す。


芦田愛菜は、「魂を吹き込むような気持ちで向き合った」と語った
芦田愛菜は、「魂を吹き込むような気持ちで向き合った」と語った

「スカーレットは自分で自分を傷つけて、こうあらなければいけない、こういう生きる意味を持たなければいけないと、すごく縛られて生きていた女の子。そんなスカーレットが死者の国での旅や、聖との出会いを通じて、自分の人生や自分自身を愛せるようになっていくような作品なのかなと思っています。人生で愛を見つけられた時、自分の人生を使って、どう生きていきたいか。そういった生きる意味が、見出せるのではないかと感じました。生きること自体に意味があって、生きることは、愛することなんじゃないかなと感じます」と心込めながら、「たくさんの解釈があると思う。スカーレットの生きる世界に想いを馳せながら、生きること、愛することを考えていただけたらうれしい」とメッセージを語ると、芦田の紡ぐ真摯な言葉に大きな拍手が送られた。

取材・文/成田おり枝

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