私生活でも大親友!韓国が誇る国民的“ハルモニ=おばあちゃん”女優、『最後のピクニック』ナ・ムニ&キム・ヨンオクの軌跡
ナ・ムニ、キム・ヨンオクという韓国の“国民的ハルモニ(おばあちゃん)女優”が共演した『最後のピクニック』が9月12日(金)より公開される。それぞれ83歳、87歳の2人は、下積み時代からの俳優仲間で親友同士。1960年代からキャリアを積み、数々のドラマやバラエティ番組で共演もしてきた。本作も、脚本を読んだムニがヨンオクに声をかけ、「あなたがやらないなら私もやらない」という言葉で説得し、映画では初のW主演が実現したという。
“老い”をテーマにナ・ムニ&キム・ヨンオクの名演、美しい情景が観客の心に沁みわたる『最後のピクニック』
2人が演じるのは、韓国の慶尚南道にある風光明媚な島、南海(ナメ)で生まれ育った幼なじみ。ムニ演じるウンシムはソウルで独り暮らしをしているが、パーキンソン病を患い、さらに1人息子が事業に失敗して、心休まる余裕もない。近頃は亡き母親の夢をよく見るようになり、人生の終焉を意識しつつある。そんなある日、ヨンオク扮するグムスンが南海から突然訪ねてくる。子ども同士が結婚して姻戚関係にもなった彼女たちは、いまでも気のおけない無二の親友である。
ウンシムとグムスンはそろって帰郷し、そこで同級生のテホ(パク・クニョン)と再会。久々に旧交を温めるが、そんな穏やかな日々も長くは続かない。深刻な健康上の問題、行き詰まった家族関係、年老いた同世代を取り巻く様々な現実に直面した彼女たちは、ある決心をして“遠足”に出かける。
本作はハートウォーミングなだけでなく、世界中の人々を悩ませている“老い”の問題をはじめ、現在進行形の社会問題に踏み込んでいく。優しくユーモラスな人間味にあふれながら、苦い現実に根差した衝撃性も兼ね備えており、美しくも痛切なラストシーンは『テルマ&ルイーズ』(91)や『VORTEX ヴォルテックス』(21)にも迫るインパクトだ。それでも、ムニとヨンオクの名演、美しい海辺の町の情景はあらゆる世代の観客の心を捉えるだろう。韓国で幅広い観客層に支持され、大ヒットしたのも頷ける。