人気アイドルやYouTuber、芸人にアニメ評論家も魅了!映画『ChaO』がもたらす多幸感の秘密「幸せな気持ちになれました」
「とっても新鮮で刺激的な体験」構想に9年、総作画枚数はなんと10万枚!アニメーション表現の美麗さ
制作を手掛けたのは、ハイクオリティな映像表現やその独創的な映像で多くのファンを魅了し続けるSTUDIO4℃。「世界に発信できる“まったく新しいオリジナルアニメーション作品”を作りたい」という、同スタジオの代表取締役で、本作のプロデューサーを担う田中栄子の想いに端を発し、2016年に『ChaO』の企画がスタート。ボーイ・ミーツ・ガールものを主軸に、監督の青木康浩のもと、一般的な「人魚姫」から想起する儚さとは正反対のパワーに満ちあふれたプリンセス、チャオが誕生した。
そんなチャオの物語は、10万枚を超える作画枚数により画面の隅々まで動き続ける緻密なアニメーションによって描かれる。この膨大な枚数は、アニメーターたちのアドリブを盛り込み続けた結果によるもの。アニメーションならではの表現がふんだんに使用された映像について、かすは「手描きでここまで繊細な表情を描けるんだ…と驚かされました。キャラクターの目線や仕草、セリフじゃない部分に宿る感情の揺れがリアルで、観ているこちらまで引き込まれていきました」と感心しきり。ユーモアとキュートさを持ち合わせ、ころころと変わる表情を見せてくれるチャオや、悲しい過去を抱えるステファン、2人を優しく見守るステファンの友人ロベルタ(声:梅原裕一郎)やマイベイ(声:シシド・カフカ)など、細かな感情の動きが繊細に表現されている点にも注目だ。
さらに、中国・上海の街並みをモデルに、人間と人魚が共存するファンタジーな世界をカラフルな映像で構築。あまりにも詳細に描き込まれた背景美術は、何度も観かえしたくなること請け合いだ。“人魚姫”の姿を体現し、水と戯れながら歌うチャオの美しいダンスシーンなども見どころだが、村川は、「人間と人魚が共存する世界ならではの、水しぶきの美しさと近未来的で鮮やかな色彩が合わさって、まるで夢を見ているかのような、とっても新鮮で刺激的な体験でした」とSTUDIO4℃が9年かけて作りあげた映像美を称賛。松井も、「人間と人魚が当たり前に存在する、ちょっと不思議な世界がとても鮮やかに描かれています」と観る者の心を奪う、ダイナミックで幻想的な世界観を絶賛している。
「すぐにその世界観に引き込まれた」STUDIO4℃ならではの多様性に満ちた世界
既存概念に囚われないキャラクターデザインもSTUDIO4℃が手掛ける作品の特徴の一つ。平凡な青年として描かれるステファンに対して、人魚姿のチャオの背丈は大きかったり、ステファンが勤める造船会社の社長は丸みを帯びていたりと、同じ作品内のキャラクターでありながらそのビジュアルは実に個性豊か。もちろん頭身やシルエットだけでなく、動作や所作、感情表現にもそのキャラ“らしさ”が反映されており、「ポップにコミカルに描かれる登場人物たちは表情豊かで独特な雰囲気を持っていて、すぐにその世界観に引き込まれました」と松井が話すように、視覚からダイレクトに伝わってくる唯一無二な世界観に観客は夢中になってしまう。さらに、「世の中、どんな人も自分が主役だと思って生きていると思うんです」と語る青木監督の言葉にあるように、物語の中心にはいない、画面の隅にいる通行人といったモブキャラにも細かな動きが付けられており、ただただ驚かされる。
そんなキャラクターたちに命を吹き込むキャスト陣にも注目。主人公のステファン役に『花まんま』(25)などの鈴鹿央士、チャオ役に『ゴールデンカムイ』(24)などの山田杏奈というフレッシュで勢いのある俳優2人がキャスティング。「ノリノリになりながら楽しく収録できた」とアフレコ当時を振り返る鈴鹿は、チャオとの出会いを通じて徐々に成長していくステファンを表現。一方、「チャオというキャラクターがどうしたらかわいく見えるか、葛藤しながら演じた」という山田は、ひたむきにステファンを想い続けるチャオのチャーミングさを爆発させている。ちなみに山田は、かわいらしい歌声も披露しているので必見だ。
ステファンとチャオを取り巻くキャラクターにも、山里亮太やシシド・カフカをはじめ、梅原裕一郎、三宅健太、太田駿静、土屋アンナ、くっきー!といった、声優だけでなく、芸人やアーティスト、アイドルといった各方面で活躍する豪華な面々が集結している。
多様性に満ちた世界で、種族や文化の違いに戸惑いながらも、大好きなステファンのために一生懸命なチャオと、そんなチャオに振り回されながらもしっかり彼女と向き合おうとするステファンの関係性はきっと、多くの人々の心に刺さるはず。観終えたあとには、ハッピーな気持ちになること間違いなしの『ChaO』をぜひ劇場で楽しんでほしい!
構成・文/サンクレイオ翼