原菜乃華×なえなのが振り返る、映画『見える子ちゃん』共演シーン「感情が高まった」「私だけの贅沢な時間」

「この現場に入れて幸せだなと噛み締めながら過ごしていました」(原)

実はホラーが苦手という原菜乃華撮影/MISUMI

――今回お2人が演じたのは“見える”キャラクターです。演じる際に意識したこと、工夫したことは？

原「無反応を決め込むキャラクターはとてつもなく難しかったです。みこは言葉数も少ないし、見えることを怖がっているけれど、それがバレないようにしなきゃいけない。でも、滲み出る恐怖感みたいなものは表現しなきゃいけないので、その塩梅に難しさを感じました。その都度、監督とミリ単位で調整しながら作っていきました」

なえなの「ユリアは『あそこにいるでしょ、見なさいよ！』みたいなタイプ。怖がっている相手をより怖がらせる、困らせることを意識して、言い方などを工夫していました」

――原さんは中村監督とその都度調整しながらというお話がありましたが、なえなのさんはどのようなやりとりがあったのでしょうか？

なえなの「『なえなのさんそのままでやってください』って言われました。私なりにすごく考えて役を作って現場に入ったんですが、監督のイメージと違ったみたいで(笑)。ただ、『なえなののままでいい』と言われても、役だからそんなわけないだろうってずっと思っていたので、『そんなことやらなくていい』『いや、でも』みたいなやりとりを結構したのを覚えています(笑)。とにかく、たくさん話しました」

『残穢(ざんえ)―住んではいけない部屋―』や「ほんとにあった！呪いのビデオ」のナレーションでも知られる中村義洋監督[c]2025『見える子ちゃん』製作委員会

原「私も最初は塩梅みたいなものがなかなか掴めず、OKテイクが出ないこともあったんですが、そんな時に監督が『みこから見えている景色は、ちゃんとお客さんにも見えているものだから、それを信じてお芝居してくれれば大丈夫』って言ってくださって。見えていることを分からせようとするお芝居は必要ないという言葉を聞いて安心できたし、その言葉で監督と同じ方向を向けたように感じました」

――権藤役の山下幸輝さんにインタビューした際に伺ったのですが、中村監督は現場でよく走っていたらしく、その姿を見るのが楽しかったとのこと。お2人はその現場を目撃していますか？

誰が観ても『見える子ちゃん』の実写と感じられる作品になっている！と出来栄えに自信[c]2025『見える子ちゃん』製作委員会

原「監督は毎回カットがかかるたびに演出をつけてくださるんです。その時にモニター前から私のところまでガーッと走ってきてくれて、ものすごく腰を低くして『いまのもすごく良かったけれど、こういうふうにしたらもっと良くなると思うんです！』って優しく伝えてくださいました。毎回本当に丁寧に演出をつけてくださることも、監督が走ってきてくださるのもすごくうれしくて。こんなすてきな監督さんがいらっしゃるんだな、この現場に入れて幸せだなと噛み締めながら過ごしていました」

なえなの「私は別の意味でめっちゃ走らせてしまった気がします。最初の役作りが合っていなかったので『それは違うかも…』って感じで何度も目の前まで走ってきて、小声のめっちゃ優しいボイスで言ってくれるんです。走らせてしまったのは申し訳ないと思いつつ、ASMRとかにしてほしいくらい本当にすてきなボイスだなって思っていて(笑)」

原「分かる！」

なえなの「だよね。多分、私が緊張しないように、考えすぎないように、声色や雰囲気で伝えてくれているところに、監督の優しさを感じていました」