伝説のB級ホラーがまさかのリメイク!『トキシック・アベンジャー』メイコン・ブレア監督が語る、「手作り感」に宿したオリジナル版のDNA
低予算ならではの創意工夫と、チープながらも味がある特殊効果で世界中のB級映画ファンを熱狂させた『悪魔の毒々モンスター』(84)が、「ダークナイト」シリーズやハリウッド版「ゴジラ」シリーズで知られるレジェンダリー・ピクチャーズによってリメイクされた。『オッペンハイマー』(23)などで、俳優としても活躍するメイコン・ブレアがメガホンをとり、彼が子どもの頃から愛してきた作品を、愛すべきB級感はそのままに2020年代版として作り上げた『トキシック・アベンジャー』は、11月13日(金)より劇場公開される。
ピーター・ディンクレイジが主演を務め、ケヴィン・ベーコンとイライジャ・ウッドが最狂のヴィランを演じた本作。ブレア監督は、多くのカルトファンが愛するこの作品にどう向き合ったのだろうか?MOVIE WALKER PRESSでは、ブレア監督にインタビューを敢行。撮影の裏側をたっぷりと語ってもらった。
「『裏庭で、あまりお金もかけずに作った映画』のように感じられるものにしたいと思っていた」
リメイク版製作の発端は、スタジオによる企画募集だった。「レジェンダリーがトロマ(・エンターテインメント。 ※1970年代に、オリジナル版の監督を務めたロイド・カウフマンとマイケル・ハーツが立ち上げた、低予算インディペンデント映画専門の製作会社)と契約を結び、過去作の新しいバージョンを作ることになりました。何人かの脚本家に企画案を募ったのですが、私が手掛けた別の作品を観てくれていて、私にも声がかかりました。企画案をプレゼンした際、具体的なストーリー案はありませんでしたが、子どもの頃にオリジナル版を観て、大きな衝撃を受けたことを正直に伝えました。『12歳の少年があの映画を観たときの感覚を、そのまま残したい』と。あとで知ったのですが、レジェンダリーの担当役員もオリジナル版のファンで、そこに反応してくれたんだそうです。そうして脚本だけの約束が、やがて監督も引き受けることになりました」。
トロマの創設者であるカウフマンには、仕事が決まってすぐに連絡したという。「“トキシー”というキャラクターは、ロイドとマイケルの出発点ですし、今日まで熱心に推し続けるファンもたくさんいます。この企画にとても興奮していましたが、ひとつだけ気がかりなことがありました。ロイドとマイケル、そしてファンの皆さんに、自分たちにとって大切なものを、オリジナル版とは似ても似つかないものに作り変えられてしまったと感じてほしくはなかったんです。だから、オリジナル版の雰囲気を守るつもりだと伝えて安心してもらいたかったし、リメイクを許可し、応援してもらいたかった。ロイドはとても親切に、『好きなようにやってほしい。自分は力になるけれど、邪魔はしたくない』と言ってくれました。実際、その通りでした。撮影現場にも来てもらって進行状況を共有していましたが、彼は終始温かく支えてくれて、宣伝にも大きな力を注いでくれました。本当にありがたかったです」。
インディペンデントの小規模作品で腕を磨いてきた監督にとって、本作はキャリア最大規模の撮影現場となった。それでも、目指す方向に迷いはなかった。「(大規模な撮影で)必要とされる要素を理解し、組み立てるのに、多少の学習期間が必要でした。それでも、美術や撮影、衣装、見た目や手触りを考えていくときには、『裏庭で、あまりお金もかけずに作った映画』のように感じられるものにしたいと思っていました。派手で、スケールが大きく、洗練されすぎた映画にはしたくなかったんです。この映画が愛されている理由は手作り感だと思うからです。なので、創作上の判断はいつもその視点で考えました。1984年に作られた作品のように見せるのではなく、手作りに見えるようにする、ということです」。
「オリジナル版のなかから自分が笑えたものを選んで取り入れ、笑えなかったものは持ち込まなかった」
40年前の過激な笑いを再現する際に、現代の厳しいコンプライアンスの影響は考慮したのだろうか。その問いへの答えも明快だった。「私はオリジナル版のなかから自分が笑えたもの、楽しいと思えたものを選んで取り入れ、笑えなかったものは持ち込みませんでした。だから、コンプライアンス的に許されるかどうかという観点で考える必要はありませんでした。許されないからとか、誰かが怒るからといったプレッシャーも感じませんでした。それが現在、どう受け止められるかは、正直あまり気にしません。物事の受け止められ方は昔といまでも変わっているし、これからも変わり続けるものだからです。『もう1984年じゃないんだから、これはやってはいけない』などと自粛するために時間を使うことはしませんでした。時間を使ったのは、自分にとってなにがおもしろいのか、オリジナル版のどの要素がいまでもおもしろいと思えるのか、ということだけです」。レジェンダリーから意見されることも、一度もなかったという。

