超能力ヒーローエンタメ『ハイファイブ!』にカン・ヒョンチョル監督が込めた“人”への眼差し「ファンタジーは、必ず現実に足をつけていなければならない」
「パク・ジニョンさんがアーティストとして積み重ねてきたエネルギーが映し出されている」
脚本の段階から唯一イメージしていたというのが、アン・ジェホンだ。「実は近所に住んでいるんです。すばらしい俳優である以前に、親しい友人でもあります」と監督は明かす。「アン・ジェホンさんは、本当に優れた俳優である一方で、どこか自分たちの周りに普通にいそうだと感じさせる人。好感度も高い」。人柄そのものを、役にかなり溶け込ませたという。どのように反映したのかと尋ねると、「それは企業秘密なんですけどね(笑)」としながら、素のアン・ジェホンが持つ親しみやすさが、どこか抜けたところのあるシュールな魅力として画面に滲み出ていると語った。
ラ・ミランには、「すごく少女のような一面がある」ことに惹かれたという。「劇中のキャラクターも、とても純粋ですよね。そうした少女のような部分を最大限に引き出したいと思いました」。長年舞台で鍛えたコメディセンスと、人情味のある演技力を併せ持つラ・ミランだからこそ、その無垢さがソンニョというキャラクターに説得力を与えている。
ヤクソンを演じたキム・ヒウォンについては、キャスティングの狙いをこう明かした。「現在の韓国映画では悪役のイメージが非常に強い俳優なんですが、本作ではとても善良な人物を演じています。意外性と、俳優として持つ演技の幅広さを見せたかった」。「ハイファイブ」を演じる5人のなかで最年長のキム・ヒウォンは、複数の人が同時にアクションをするシーンで自然とチームをまとめる役割を担っていたといい、「交通整理をしてくれたんです。まるで幼稚園の先生の後ろを園児たちがついていくような感じで(笑)」と現場での様子を振り返った。
一方、これまでとは大きく異なる顔を見せるのが、GOT7のパク・ジニョンだ。膵臓の移植によって全盛期の若さとパワーを取り戻したカルト教主ヨンチュンを演じ、これまでのクリーンなイメージを覆す悪役へと変貌を遂げた。初めての本格的な悪役への抜擢について、監督は「過去の出演作を見て選んだというより、純粋に本人が持っている強烈な印象に惹かれました」と語る。「カルト教団の教祖として舞台の上に立ち、大勢の信者を圧倒するカリスマ性を見せる場面があります。あのシーンには、パク・ジニョンさんがパフォーマンスをするアーティストとして普段から積み重ねてきたエネルギーが映し出されていると思うんです」。老年期のヨンチュンを演じるシン・グとの二人一役も、本作の見どころのひとつだ。
現場の空気感について聞くと、「これまで何本か映画を撮ってきましたが、俳優運に恵まれていることが一つの財産だと思っています。今回の『ハイファイブ!』は、いわば善良な俳優たちの決定版のような現場でした」と監督は語った。なかでも印象的だったのが、劇中で不倶戴天の敵のように激しく殴り合うパク・ジニョンとイ・ジェインの姿だという。「『カット!』の声がかかった瞬間、2人ともお互いに『ケガしてない?』と気遣うんです。そして『いまのカット、うまく殴り合えたね』と喜び合う。そういう姿がたくさん記憶に残っています」。


