「パトレイバー」は「サザエさん」!?出渕裕監督が語る、最新作『EZY』制作背景と“1話完結モノ”の流儀

「パトレイバー」は「サザエさん」!?出渕裕監督が語る、最新作『EZY』制作背景と“1話完結モノ”の流儀

全8話を全3章構成にて劇場公開する「機動警察パトレイバー」シリーズの待望の新作アニメーション作品『機動警察パトレイバー EZY』(以下、『EZY』)。いよいよ第2章となる『File 2』が、8月14日(金)より公開となる。『File 1』では、レイバーが大捕物を繰り広げる話や妄想の話、映画撮影現場を舞台にした話など、多彩な物語が1話完結で繰り広げられたが、『File 2』では、それらとはまた趣が少し異なるテイストの物語が展開されていく。

MOVIE WALKER PRESSでは、「機動警察パトレイバー」を生みだした“HEADGEAR”の一人であり、本作の監督を務めた出渕 裕監督にインタビューを敢行!「『パトレイバー』は『サザエさん』。それくらい懐が深く、どこから観ていただいてもOKです」と語る出渕監督に、「パトレイバー」自体が持つ魅力から『EZY』の見どころまで語ってもらった。

「『パトレイバー』は“ロボットもの”ではないと言えるのかも」

『EZY』の監督を務めた出渕 裕に直撃!
『EZY』の監督を務めた出渕 裕に直撃!

――もともとは監督をするつもりではなかったと、公式サイトでも語っておりましたが。実際にやられていかがですか?

「みんな辞めてしまったので、自分がケツ持ちをするしかないなと(笑)。新たに信頼できる監督が見つかったとしても、前任者が作っていたものを引き継ぐのはやりにくいでしょう。そもそも最初からスーパーバイザーというか総監督のような立場で携わっていましたし、『ラーゼフォン』や『宇宙戦艦ヤマト2199』などで監督経験もあったので、もう自分でやるしかないだろうと思いましたね」

――出渕さんが監督を務めることで、作品にどんなカラーが出ると思いましたか?

「やっているうちに出るだろうと。と言うか、そもそも出ていますし(笑)。別の監督を立ててやっていたと言っても、実質的に伊藤さんと脚本やコンテの振り分けもやっていましたし、方向性はそこで決めていましたから、そういう意味ではあまり変わらない感じですね」

日常にレイバーが溶け込んでいる「パトレイバー」の作劇
日常にレイバーが溶け込んでいる「パトレイバー」の作劇[c] HEADGEAR / 機動警察パトレイバー EZY製作委員会

――「パトレイバー」は、ロボットもの然とした物語展開よりも、日常的な事件や物語に重きを置いて描かれています。それだけレイバーが当たり前に存在し、日常に溶け込んだ世界なのだなと実感しました。

「『パトレイバー』という作品のフォーマットは、レイバー(人が乗って動かす作業ロボット)が普通にいて、警察用のレイバーと、それを運用する警察内の“特車二課パトロールレイバー中隊”という部署が警視庁内部にある。そういう世界だからこそいろんな物語へのアプローチができていると考えています。日常的な物語でレイバーが活躍する隙が無かったとしても、世界観としてレイバーの存在は必要不可欠です。もちろん活躍もしたりはしますけど、ロボットが毎回出てきて毎回戦闘アクションがあるというのとは違っていて、いわゆるロボットもののフォーマットとは異なっている。でも、それが『パトレイバー』のスタンダードなフォーマットなんですよ。そういう意味では、『パトレイバー』は“ロボットもの”ではないと言えるのかもしれませんね」

――主人公はロボットではなく、むしろ人や街だったりするということでしょうか。

「それとも少し違います。例えば『機動戦士ガンダム』にも主役=メカというベースがあったうえで、それに乗る主人公のキャラクターがいますよね。『パトレイバー』にも主人公となるキャラクターがいますが、毎回必ず活躍するとか、物語を切り拓いたり、牽引していくようなポジションにはいません。だって主人公は公務員(警察官)ですから(笑)。要はお仕事モノなんです。主人公は、なにか宿命を背負っているわけでもないし、なにか新しい地平を切り拓くような旅をして行くわけでもない。ただ、お仕事モノとしてキッチリしているところとユルいところのバランスが絶妙だから、いろんな題材にアプローチできるんです。そのなかに必ずどこかでロボット(レイバー)が入ってなきゃいけないという枷もありません。無理に入れようとすればむしろ破綻してしまうでしょう。とは言え、たまにはロボットが活躍するお話もやりますよっていう。主役機があってもたまにしか活躍しないって、考えたら一般的な“ロボットもの”の逆張りですよね。


例えば『File 1』の第1話は、レイバーが犯罪を起こしてパトレイバーが取り押さえるという、いわゆるロボットもののスタンダードでした。第2話でも、妄想のなかとは言えレイバーが戦いましたし、第3話では、映画撮影でレイバーが使われていて暴走します。そういう意味で『File 1』は、かなりレイバーをフィーチャーした3本になっていたと思います」

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