『サヨナラの引力』ジャパンプレミア開催、ク・ギョファンの来日に大歓声!前田敦子も大興奮「緊張しています」
青春を輝かせた忘れられない恋と、人生の選択を描く韓国映画『サヨナラの引力』(7月3日公開)。本作のジャパンプレミアイベントが6月3日にTOHOシネマズ六本木ヒルズで行われ、来日を果たしたク・ギョファン、キム・ドヨン監督が出席。花束プレゼンターとして俳優の前田敦子が駆けつけ、2人の来日をお祝いした。
2025年12月末に韓国で公開された本作は、3週連続で週末興行ランキング1位を記録。観客動員260万人を突破し、恋愛映画の金字塔『私の頭の中の消しゴム』(04)の韓国動員を上回る成績を収めた。2008年の夏、ソウルで出会った大学生のウノとジョンウォン。かつて深く愛し合いながらも別れを選んだ2人が、10年が経った2024年の夏に運命的な巡り合わせて再会する姿を描く。
不器用ながらも誠実な工学部生ウノを演じるのは、「D.P.-脱走兵追跡官-」や「寄生獣 ーザ・グレイー」に出演し、昨年日本で公開された『脱走』(24)で鮮烈な印象を残したク・ギョファン。厳しい現実のなかで建築家を目指すジョンウォン役を、「女神降臨」で人気を博したムン・ガヨンが演じる。
『脱走』以来、約1年ぶり、2度目の来日を果たしたク・ギョファン。台風6号の接近により東京都心も大雨と強風に見舞われたが、会場は集まったファンの熱気でいっぱい。ク・ギョファンが会場に姿を現すと、大歓声が沸き起こった。
ク・ギョファンは「こちらに入って来た瞬間、自分の近所の劇場に来たのかなと思いました。熱烈に、温かく、愛情あふれる皆さんが迎えてくださって、感激でいっぱいです」と会場を見渡しながら、「この場で『サヨナラの引力』を紹介できることがとても光栄で、うれしく思っています」感慨を口にした。キム・ドヨン監督も「台風のなか、この場に来てくださってありがとうございます」とお礼を述べ、「感動しています」と駆けつけたファンを目にして感無量の面持ち。「この映画は、雨のシーンから始まります。そのシーンと状況が似ているなと思っています」と映画に思いを馳せながら、「ムン・ガヨンさんがこの場に来ることができず、残念です。ムン・ガヨンさんの気持ち、心はこの場所に一緒にいるということを知っていただけたらうれしい」と心を込めた。
初共演にも関わらず、ウノとジョンウォンの関係の変化を細やかに演じ切ったク・ギョファンとムン・ガヨン。韓国では“ムン・クー”カップルという呼称もつけられるなど、新鮮な組み合わせとして多くの人に愛されたという。もともと彼らのファンだったというキム・ドヨン監督は、2人の本作への抜てきの理由についてこう語った。
「ク・ギョファンさんのことは、インディペンデント映画のころから観ていました。『新感染半島 ファイナル・ステージ』などあらゆる出演作を観ていて、魅力的で、クリエイティブな方だと信じていました。ムン・ガヨンさんも、出演作を観て新鮮な存在だと感じていました。この2人の組み合わせは本当にいいだろうなと思いましたし、同時にこのような組み合わせは2度とないだろうと思い、キャスティングをしました」。ラブコールを受けたク・ギョファンも、「監督は、すばらしい演出家であり、伝説的な俳優さん。常に一緒に仕事をしてみたいと思っていました」と相思相愛の想いを吐露。「ムン・ガヨンさんとも、一度は一緒に共演してみたいという想いがあった。彼女のビッグファン」だそうで、2人とタッグを組めたことについて「2つの奇跡が一気に起こった」と感激しきり。「僕にとっては、プレゼント。贈り物です」と喜びを噛み締めていた。
またこの日は、韓国カルチャーへの関心が高く、映画好きとしても知られる前田敦子が駆けつけ、ク・ギョファンとキム・ドヨン監督に花束をプレゼントした。前田は以前から、ク・ギョファンに注目していたという。
待望の初対面を遂げ、「皆さんと同じ席に座って、見たいくらい」「緊張しています」と胸を押さえながら、「(ク・ギョファンの出演作)『誰だって無価値な自分と闘っている』をいま観させていただいていて、『新感染半島 ファイナル・ステージ』などたくさんの作品を観させていただいています。本当にうれしいです」と笑顔を弾けさせた。「どの出演作を観ても、目を引く存在の俳優さん。来てくださって本当にありがとうございます」と伝えると、ク・ギョファンは「この様子は録画されていますよね?」と前田との姿を捉えた映像がほしいと素直な胸の内を明かして、会場の笑いを誘った。また前田はキム・ドヨン監督による『82年生まれ、キム・ジヨン』(19)は原作も読み込むほど大好きだそうで、「すごく丁寧に世界観を描かれる監督。今回もすごく細かい感情が、映像として映しだされている。いつも質の高いものを観せてくださる」とその手腕に惚れ込んでいた。
本作もすでに鑑賞した前田だが、「語りたいんですが…!」と上映前の会場に向けてネタバレを気にして苦笑い。もどかしい想いを抱えながら、「予告にもあったバスの中のシーンは、いたたまれなくなりました。そこまで一緒に我慢していたものが、一気に解放できたシーン」と、とりわけ没入したシーンについて紹介。
実は前田も、元彼と偶然に再会した経験があると告白し、「私はお仕事で帰る時で。相手は、ご結婚されてハネムーンの帰りだったんだと思いますが、奥様と一緒で。同じ飛行機に乗っていたことがあります」と笑いながら、「お互いに目を見ることがなく終わった。思い出に残っています」と明かすと、キム・ドヨン監督は「キャスティングをして、考慮してみたい」と次回作の構想に加えたいと目尻を下げていた。前田は自分の思い出も呼び起こすような映画だと続け、「皆さんもいろいろな自分と重ね合わせて、ご覧になると思う。あの時にああだったら、こうだったら…と思うことって、皆さんにもあると思う。自分自身も、重ね合わせて最後までいろいろと考えた」と本作の持つ特別な余韻について証言し、「観終わった後にもう1回、お話したい!」と声を上げていた。
そして前田から、2人に質問を投げかける場面もあった。「2人のリアルな心情が細かく描かれている。2人きりのところを、覗き見させていただいているよう。2人の世界観を作りあげていく上で、気をつけていたことはありますか?」と聞かれたク・ギョファンは、監督の演出術に秘密があると回答した。
ク・ギョファンは「監督は短いモンタージュでも、カメラをなかなか止めないんです。ずっと回しています。映画には映しだされてはいないんですが、2人のやり取りを長く続けているんです。その過程を通して、俳優として、そしてウノとジョンウォンとして、関係を築き上げることができたと思います。ジョンウォンへの愛する想い、切ない想いが、そうやって築かれていきました」と回答。「現実に根差したキャラクターになってほしいと思っていました」と切り出したキム・ドヨン監督は、「演技のトーンもアングルも、とにかく“現実的に見えるように”と気をつけていました。私には、好きな言葉があって。“普遍的な話こそ、多くの皆さんの気持ちに響くことができる”という言葉。今回もそれを胸に刻みながら、作りました」と本作に込めた想いを語っていた。
3人の熱のこもったトークに、会場が終始聞き入っていたこの日。最後に前田は「最後まで、噛み締めて観ていただきたい。自分の人生と重ね合わせて、忘れられない作品になること間違いなしだと思います」と太鼓判。「一緒に映画を完成させていただきたい」と願っていたク・ギョファンは、「この映画を観終わった後には、皆さん自身が、ウノになり、ジョンウォンになると思います。皆さんがこのストーリーを持って行ってください。このストーリーを皆さんに差し上げます。私たちは、この映画の共同の主人公です」とメッセージ。「だからといってこの映画を観た後に、誰かを思い出して電話をしてくださいと言っている映画ではありません。我慢してください」と茶目っ気たっぷりのコメントを付け加えると、会場には温かな笑顔が広がっていた。
取材・文/成田おり枝
