ジョン・ファヴロー監督が明かした『マンダロリアン&グローグー』に多くのモンスターが登場する理由「ストーリーはわかりやすく、技術はオタク向けに」
世界中でNo.1スタートをきるなど旋風を巻き起こしている、シリーズ7年ぶりの劇場映画『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』が、5月22日の公開から6日で興行収入10億円を突破。全世界興行収入は約276億円(※約1億7,366万ドル。1ドル159円換算。The Numbers調べ、5/28正午時点)を記録するなど、伝説的シリーズの名に恥じない「スター・ウォーズ」旋風を巻き起こしている。ダース・ベイダー亡き帝国が崩壊したあとの銀河を舞台に、孤高の賞金稼ぎであるマンダロリアン/ディン・ジャリンと、強大なフォースの力に目覚めつつある子ども・グローグーの、“父子のような絆”を描きだす。
MOVIE WALKER PRESSでは、映画公開にあわせて来日した、ジョン・ファヴロー監督に直撃インタビュー。伝説のクリエイターも参加したモンスター撮影の裏側や、ファヴロー監督が考えるこの時代だからこその“映画体験”の大切さを気さくに語ってくれた。
「私たちはモンスターが大好きで、まさにモンスター映画をつくりたかったんですから!」
――ドラマシリーズの「マンダロリアン」は日本のカルチャーの影響を大きく受けていることでも知られています。今回の映画版におけるそういった要素があれば教えてください。
「ディン・ジャリンと闘う賞金稼ぎ、エンボのキャラクターはクロサワ(黒澤明)の『七人の侍』(54)に出てくる無口なスゴ腕剣士“キューゾー(久蔵/宮口精二)”をモデルにしています。エンボはアニメの『クローン・ウォーズ』シリーズ等に登場していますが、実写映画では本作が初めてですからね。みなさんもすでにご存じのように、そもそも本シリーズにはサムライ映画の影響が大きく、戦士と子どもの組合せは『子連れ狼』です。私たちも最初、ペドロ(・パスカル)にはクロサワの『用心棒』(61)を観ておいてと頼みましたから。
もうひとつ、言っておきたいのはマカロニウエスタンです。とりわけ(セルジオ・)レオーネの『荒野の用心棒』(64)、『夕陽のガンマン』(65)、『続・夕陽のガンマン』(66)の三部作。これはジョージ(・ルーカス)に大きな影響を与えていて主演のクリント・イーストウッドはボバ・フェットのベースになっています。私たちのディン・ジャリンの造形にも影響があるということです。本作を語る時は、サムライ映画とマカロニ・ウエスタン、このふたつを忘れてはダメなんです」
――本作には既成のキャラクター、シリーズで人気の高いキャラクター等はほとんど登場していません。また、驚くほどモンスターが多く、もうモンスター映画といっていいくらいだと思いました。ここまで振り切るには勇気が必要だったのでは?
「モンスター映画というのはうれしい言葉ですよ。(日本語で)アリガトゴザイマス(笑)。私たちはモンスターが大好きで、まさにモンスター映画をつくりたかったんですから!『スター・ウォーズ』のことをよく知らない新しい観客を呼び込みたかったし、これまでにない新しいアドベンチャーを見せたかった。“ベイビーヨーダ”のことはちょっとだけ知っているけど、というくらいの観客に興味をもってもらいたかったんです。その分、ストーリーはとてもわかりやすいものにして、ディテールや技術にはとことん凝ってオタク向けにしました」
――オタク向けを意識したというのは、モデルアニメーションを使ったりしたことですね?
「そうです。私はモデルアニメーションが大好きで、『エルフ~サンタの国からやってきた』(03)にも使っています。自作では常に使いたいと思っている技術なんですが、もちろん『アイアンマン』シリーズのように、そうはいかない映画もある。でも『スター・ウォーズ』にはちゃんとつながりがあります。監督として『スター・ウォーズ』がおもしろいのは、そういう伝統的な技術と最新の技術を混ぜられるところにもあるんです。同じシーンにパペットとCGIのキャラクターが共演できるのが『スター・ウォーズ』の魅力だと、私は思っていますから。それに、そういう伝統の技術を使うことによって、日本のワビサビ的な世界も表現できるのかもしれないって思うんですよ。
もうひとつは私の個人的な思い出です。私が『スター・ウォーズ 新たなる希望(エピソード4)』(77)を父と一緒に観たのは10歳くらいでした。そのときの『スター・ウォーズ』とつながることができる。『スター・ウォーズ』は私と映画を結び付けてくれた作品なので、こうやってそのシリーズに愛情を注げるなんて、本当に最高です」
――クレジットに、『エピソード4』から『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還(エピソード6)』まで、AT-ATやトーントーン等のモデルアニメーションを担当した伝説的クリエイター、フィル・ティペットの名前があったのは偶然ではなかったんですね。感動しました!
「それはよかった!彼には、ハット・ツインズの宮殿入口の左右にいた護衛ロボットのモデルアニメーションを担当してもらいました。もちろんデザインも彼です。フィルがモデルアニメーションを担当した『ロボコップ』シリーズのED209にちょっと似てるでしょ?
ほら、メイキングの映像を見せますよ(といって自身のスマートフォンの映像を見せてくれる)。これは初期段階で、どんどんレベルアップして行ったんです。フィルはなかなかタフなクリエイターなんですが徐々にノッてくれて、モデルアニメーションでは難しい、モデルと実写の人間との合成も上手にこなしてくれました。とても楽しい仕事になったし、私は大満足しています」
