映像制作における小型カメラの定番として、プロからVloggerまで多くのクリエイターに親しまれているDJI Osmo Pocketシリーズ。その最新モデルOsmo Pocket 4Pが6月にリリースされた。ポケットシネマカメラをうたう本機は、広いダイナミックレンジやデュアルレンズ搭載、10bit D-Log 2撮影に対応とプロフェッショナル仕様。そんなOsmo Pocket 4Pを使って、『そして父になる』(13)の撮影監督・瀧本幹也が撮影したショートムービー『存在の不確かな彼女』もwebで公開されている。革新的技術を集めたOsmo Pocket 4Pの魅力と、DJIが映像業界もたらした革新の道のりをひも解いていこう。
ドローンから始まり、誰もが撮影できる時代に向けて…“映像の民主化”を追い求めてきたDJI
ドローンのトップメーカーで、「ドローン撮影」を定着させた空撮のパイオニアDJIは、その技術を活かして映像業界に本格参入。高価で専門性が必要な機材が主流のなか、誰もが使えるハイクオリティな映像機器を次々に送りだし“映像の民主化”に貢献してきた。まずは映像機器におけるDJIの歴史を振り返ってみたい。
はじまりは2014年のことだった。DJIはドローンで培った3軸ジンバルによる手ブレ補正技術を使った手持ちジンバルシステム、Roninをリリース。それまで映像撮影には大型で重いスタビライザーが使われていたが、軽量で高い機動性を持つRoninは制作現場に変革をもたらした。17年には映画撮影を想定し、大型カメラやレンズに対応したRonin 2をリリース。21 年のRonin 4Dでは、4軸手ブレ補正 やレーザー光(LiDAR)で被写体までの距離を正確に測定するLiDARフォーカス 、ワイヤレス映像伝送を盛り込むなど進化を続けた。そして24 年、映画・テレビ制作におけるカメラスタビライザーシステムへの貢献により、DJIのRoninシリーズはテレビ芸術科学アカデミーより「テクノロジー&エンジニアリング・エミー(R)賞」を授与された。
12年にわたってDJIが目指してきたのは、映像制作における物理的・技術的な制約を取り除き、誰もが自由に創造的な表現をできる環境を実現すること。そのなかで15年にリリースされ、映像業界に革新をもたらしたのが、ジンバルとカメラを一体化したコンシューマー向けビデオカメラOsmo。ジンバルカメラという新たなカテゴリーを創出した。18年には、ポケットに入る手のひらサイズに3軸メカニカルジンバルとカメラを統合したOsmo Pocketを発表し、コンテンツ制作の場を広げ、23年にはイメージセンサーサイズを1インチに大型化したPocket 3をリリース。高画質化したことで、発表から数年の間にプロの現場にも浸透していった。
ドローンで培った手ブレ補正技術を地上撮影に応用し、ジンバル、カメラ、AI、オートフォーカス、画質、音声、映像伝送を統合。プロフェッショナル向けの技術を徐々に小型・自動化。最終目標は「撮れるか」ではなく「なにを表現するか」に集中できる環境だった。
