『卑劣な街』から『モガディシュ』『HUMINT/ヒューミント』まで。“物語の見届け役”が似合う俳優チョ・インソンの軌跡
除隊後はより厚みのある演技を見せる俳優へと成長していく
そして、2009年4月からは兵役のため芸能界を離れ、2011年5月に除隊。復帰後は、日本のドラマ「愛なんていらねえよ、夏」をリメイクしたラブストーリー「その冬、風が吹く」、同じメインスタッフと組んだ「大丈夫、愛だ」に主演し、より円熟味を増した演技を披露した。
心に傷を抱える人気流行作家に扮した「大丈夫、愛だ」は、俳優チョ・インソンの成熟を示した名作として評価が高い。第1話冒頭でいきなり『息もできない』(08)のヤン・イクチュン演じる兄に襲撃される展開も衝撃的だが、相手役の精神科医を演じた人気女優コン・ヒョジンとの互いに競い合うようなケミストリーで物語を牽引。シェアハウスを舞台にしたロマンティックコメディの体裁をとりながら、誰もが抱える心の問題に正面から取り組んだ野心作として、彼の代表作のひとつとなった。
映画俳優としても快進撃は続き、政界の裏側で暗躍する悪徳検事たちの姿を描いた社会派ドラマ『ザ・キング』(17)では、チョン・ウソンとダブル主演。約30年にわたる激動のドラマのなかで、チョ・インソンは悪に染まっていく主人公のグラデーションを見事に体現。番長上がりの喧嘩っ早さと、エリートらしい知性と清潔感を違和感なく同居させる個性は、その後の作品でも随所に活かされていく。
朝鮮版「バーフバリ」とも言うべき大スケールの戦闘シーンが展開する時代劇大作『安市城 グレート・バトル』(18)では、唐の大軍勢に命がけで抵抗する高句麗人の城主を熱演。5000人対20万人という圧倒的兵力差がありながら、知恵と勇気と信望の厚さで危機を乗り越えていく知将を人間味豊かに演じ、ともすれば大味になりそうな作品にエモーショナルな奥行きを与えた。
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リュ・スンワン監督が『HUMINT/ヒューミント』で見せたチョ・インソンの最良の活かし方とは?
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