ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライトら巨匠の傑作!『ブレードランナー』や『007』など映画で楽しむモダニズム建築

コラム

ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライトら巨匠の傑作!『ブレードランナー』や『007』など映画で楽しむモダニズム建築

ル・コルビュジエが手掛けたインドの都市とは?

ル・コルビジェが担当することになったチャンディーガルの都市計画に迫る『ユートピアの力』
ル・コルビジェが担当することになったチャンディーガルの都市計画に迫る『ユートピアの力』

そして3大巨匠のもう一人として知られるのが、ル・コルビュジエだ。南米唯一のコルビュジエ建築として知られるブエノスアイレスの“クルチェット邸”で巻き起こる騒動を描いたアルゼンチン映画『ル・コルビュジエの家』(09)は、建築そのものが物語の題材となっている。

さらに『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』(15)では、コルビュジエが嫉妬したといわれるアイリーン・グレイが手掛けたE.1027をめぐる確執が描かれ、彼がE.1027の近くに建てたカプ・マルタンの休暇小屋、通称“キャバノン”も登場する。

キャピトル・コンプレックスをはじめとするモダンな街並みが登場する(『ユートピアの力』)
キャピトル・コンプレックスをはじめとするモダンな街並みが登場する(『ユートピアの力』)

そんなコルビュジエの仕事のなかでも異彩を放っているのが、インド北部の計画都市チャンディーガルだ。

1947年、イギリス領インド帝国はイギリスの支配を脱し、インドとパキスタンとして分離独立。パンジャーブ州は両国に分割され、州都ラホールはパキスタンに帰属。インド側は州都建設を迫られ、初代首相のネルーが望む過去の伝統に縛られない、未来への信条と民主主義を象徴する都市の建設は紆余曲折を経て、コルビュジエに託されることになった。

ドキュメンタリー『ユートピアの力』は、西洋のモダニズムとインドの精神性、風土が融合したこのチャンディーガルという都市にカメラを向け、建築物の歴史を追いながら魅力や課題について浮き彫りにしていく。

インタビューを通じてチャンディーガルの魅力を紐解いていく(『ユートピアの力』)
インタビューを通じてチャンディーガルの魅力を紐解いていく(『ユートピアの力』)

高等裁判所、行政庁舎、オープン・ハンド・モニュメントなどが集まったコルビュジエによる“キャピトル・コンプレックス”を中心に、モダンな建物や街並みが映しだされ、インドのイメージを覆すような風景は新鮮だ。

オープン・ハンド・モニュメントなど個性が光る(『ユートピアの力』)
オープン・ハンド・モニュメントなど個性が光る(『ユートピアの力』)

インド人建築家ドーシが手掛けた作品群

そのコルビュジエに学んだインド人建築家にフォーカスしたのが、特集上映のもう1作『誓い 建築家B・V・ドーシ』。2018年にはインド人初のプリツカー賞に輝いたバルクリシュナ・ヴィタルダス・ドーシが、コルビュジエとの作品や自身が手掛けた建築物を訪れ、哲学や制作の裏側などキャリアを語る。

大学などドーシが手掛けた建物の数々には目を奪われる(『誓い 建築家B・V・ドーシ』)
大学などドーシが手掛けた建物の数々には目を奪われる(『誓い 建築家B・V・ドーシ』)

コルビュジエとの仕事となったアーメダバードの“繊維業会館”をはじめ、“インド学研究所”、“CEPT大学”、“インド経営大学”など、ドーシによる個性豊かなモダニズム建築の数々を拝むことができる建築好きにはたまらない1作だ。

制作の裏側などをドーシ自身が語りながらキャリアを振り返る(『誓い 建築家B・V・ドーシ』)
制作の裏側などをドーシ自身が語りながらキャリアを振り返る(『誓い 建築家B・V・ドーシ』)


丹下健三が手掛けたパークハイアット東京の無機質さ、異国の地でもの寂しさを象徴する『ロスト・イン・トランスレーション』(03)など、見た目のかっこよさはもちろん、哲学が宿っているからこそ、映画の舞台として用いられてきたモダニズム建築。そのマスターピースの魅力を、これらの映画で楽しんでみてほしい。

文/サンクレイオ翼

関連作品