ル・コルビュジエ、フランク・ロイド・ライトら巨匠の傑作!『ブレードランナー』や『007』など映画で楽しむモダニズム建築
特集上映「ル・コルビュジエとドーシ インドのモダニズム」として5月1日(金)から公開される『ユートピアの力』と『誓い 建築家B・V・ドーシ』。これらはインドの精神性や生活様式と西洋モダニズムが融合した建築物を通じて、その土地や人物に宿る哲学を紐解いていくドキュメンタリーだ。
20世紀初頭に機能主義の建築として成立したモダニズム建築といえば、装飾を極力排した無機質な印象ながら強烈な存在感も放っており、高い人気を誇る。そのなかでも巨匠によるマスターピースは、映画やドラマで使われることもしばしば。そこで今回は、映画に登場するモダニズム建築を集めてみた。
エニス邸(フランク・ロイド・ライト)
『ユートピアの力』の題材であるル・コルビュジエと並び、モダニズム建築の代表格といえばフランク・ロイド・ライト。帝国ホテルや旧山邑家住宅など日本にも作品を残しており、抜群の知名度を誇る。
彼の作品としてまず紹介したいのが、幾何学模様が彫られたブロックが積み重ねられた“テキスタイル・ブロック住宅”シリーズの一つ“エニス邸”。近未来感と同時に古代的な雰囲気も感じるユニークなデザインが特徴的なこの家は、『ブレードランナー』(82)で主人公デッカード(ハリソン・フォード)が暮らすアパートとして使用。さらにリドリー・スコット監督は『ブラック・レイン』(89)でも、関西ヤクザ界のドンである菅井(若山富三郎)の豪邸としてエニス邸を使用している。
このほかにも、エニス邸登場映画では最古と思しき『フィメール』(39)から、家のいかがわしさがホラーテイストとマッチしたウィリアム・キャッスル監督の『地獄へつゞく部屋』(59)、『イナゴの日』(75)、『ロケッティア』(91)、デイヴィッド・リンチ監督の『マルホランド・ドライブ』(01)など数々の映画で重宝されてきた。
マリン郡シビックセンター(フランク・ロイド・ライト)
同じくライト建築で映画によく使われているのが、カリフォルニア州の“マリン郡シビックセンター”。郡庁舎、裁判所、図書館、郵便局などが集まった施設は、宇宙船を想起させる見た目をしており、外壁や窓に用いられた円のモチーフから内部までレトロフューチャー的なデザインとなっている。
このユニークな建物で撮影されたのが、アンドリュー・ニコル監督による『ガタカ』(97)。イーサン・ホーク演じる主人公たちが働くガタカ社の多くの部分をシビックセンターで撮影したため、SF映画でありながら、大掛かりなセットを組む必要がなかったようだ。
またジョージ・ルーカス監督も『THX 1138』(71)をシビックセンターで撮影。スカイウォーカーランチから20分の場所に位置する身近な存在であり、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(99)に登場するナブーのシード宮殿や『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(18)のドライデン・ヴォス(ポール・ベタニー)のヨットの内装にも影響を与えているとか。
ソロモン・R・グッゲンハイム美術館(フランク・ロイド・ライト)
おまけにもう一つ、ライトの代表作として挙げたいのが、ニューヨーク・マンハッタンに位置する“ソロモン・R・グッゲンハイム美術館”だ。
建物全体が螺旋となっている構造が特徴的で一度目にしたら忘れられないようなインパクト抜群の建物は、ウォルター・マッソー主演の『サボテンの花』(69)、ロバート・レッドフォード主演の『コンドル』(75)など古くから数々の作品の舞台となってきた。
なかでも、螺旋構造を生かしているのがクライヴ・オーウェン主演のサスペンス『ザ・バンク 堕ちた巨像』(09)の美術館での銃撃戦で、対面や上下など螺旋構造のあらゆるところから銃弾が飛び交うショットは緊迫感抜群。なおこのシーンは巨大なレプリカセットを作って撮影されたという。
また『メン・イン・ブラック』(97)では、エドワーズ刑事(ウィル・スミス)がエイリアンと初めてエンカウントする一幕で登場。エイリアンが壁をよじ登るのに対し、それを追うエドワーズが内部の螺旋通路を爆走するという、建物を存分に生かした見応えのあるシーンとなっていた。
