『ワンバト』や「アドレセンス」が席巻した「第83回ゴールデン・グローブ賞」を振り返り!『鬼滅の刃』プロデューサーに当たった意外なスポットライトとは?
2026年1月11日、ロサンゼルスのザ ビバリー ヒルトンで開催された第83回ゴールデン・グローブ賞授賞式は、最多9部門にノミネートされていたポール・トーマス・アンダーソン監督の『ワン・バトル・アフター・アナザー』(25)が、ミュージカル&コメディ部門作品賞など4冠を達成し、下馬評どおりの圧倒的な強さを見せた。ドラマ部門では、クロエ・ジャオ監督の『ハムネット』(4月10日日本公開)が作品賞と主演女優賞(ジェシー・バックリー)を獲得。テレビ部門では、Netflixの「アドレセンス」がリミテッド・シリーズ作品賞、主演男優賞(オーウェン・クーパー)など4冠を達成した。
『ワンバト』をはじめ、多くのヒット作を送り出したワーナー・ブラザース映画
ミュージカル・コメディ部門の最優秀作品賞に輝いた『ワン・バトル・アフター・アナザー』は、「革命」を題材としたポリティカル・アクションという野心的な企画でありながら、現代性とエンタテインメント性を高い次元で両立させた作品として評価されている。ポール・トーマス・アンダーソンは、作品賞に加えて監督賞、脚本賞も受賞し、作品賞・監督賞・脚本賞の3冠を達成した。
受賞スピーチでは、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』(07)以来の盟友であり、昨年亡くなった助監督のアダム・ソムナーに哀悼の意を表した。短いスピーチのなかでアンダーソン監督は、ザ ビバリー ヒルトンのボールルームに集った映画関係者を代表するかのように、ワーナー・ブラザース映画部門社長マイケル・デ・ルカを称賛した。
「今夜、繰り返し耳にする名前があるでしょう。心から感謝を伝えたい人物がいます。彼は数多くの映画を支えてきました。25年、あるいは30年前、彼は私の人生に現れ、私の味方となり、私と私が作りたい映画を、たったひとりで支えてくれました。彼は『いつかスタジオを経営し、君たちのような監督に自由に創作させてあげたい』と語っていました。だからこそ『罪人たち』が生まれ、『WEAPONS/ウェポンズ』が生まれ、次々と傑作が生まれたのです。心から感謝しています」
2025年に数々のヒット作を送り出したワーナー・ブラザース映画を率いたデ・ルカに、この場で感謝を述べることは、今後数か月のうちにハリウッドで起こりうる変化への牽制とも受け取れる。会場には、デ・ルカと共同社長のパメラ・アブディのほか、ワーナー・ブラザース・ディスカバリー社の売却を主導するデヴィッド・ザスラフCEO、買い手に名乗りを上げたNetflixのテッド・サランドス共同CEO、さらにWBDとNetflixの買収合意に対し敵対的買収を仕掛けている最中の、パラマウント・スカイダンス社CEOデヴィッド・エリソンの姿もあった。
受賞作には日本公開を控える作品も多数
ドラマ部門では『ハムネット』が作品賞と主演女優賞(ジェシー・バックリー)の2冠を達成した。シェイクスピアの息子の死を題材にしたこの文芸作品は、スティーヴン・スピルバーグが企画し、クロエ・ジャオに監督を託したことで知られる。授賞式にはスピルバーグ自身も出席し、プロデューサーとして彼女たちの栄誉を静かに見守っていた。
ミュージカル・コメディ部門の主演男優賞は、ティモシー・シャラメが『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』(3月13日日本公開)で受賞した。同作からの受賞はこの1冠のみだったが、『マーティ・シュプリーム』はシャラメ自身が北米公開時にマーケティングの指揮を執り、A24史上最高の北米興行収入記録を更新中である。演技力やスター性だけでなく、作品への深いコミットメントが評価され、今後のアワードレースでも躍進が期待されている。
女優部門では、同じくA24作品である『If I Had Legs I’d Kick You(原題)』(25)のローズ・バーンが、ミュージカル&コメディ部門主演女優賞を受賞した。本作は、ジョシュ・サフディと共に『マーティ・シュプリーム』の脚本を執筆したロナルド・ブロンスタインの妻であるメアリー・ブロンスタインが、監督、脚本を手掛けている。
アニメーション映画賞は、Netflixの『KPOPガールズ! デーモン・ハンターズ』(25)が受賞した。同作の劇中歌で、Billboard Hot 100において8週連続1位を記録したHUNTR/Xの楽曲「Golden」は、主題歌賞も獲得している。韓国ポップカルチャーとアニメーションを融合させた本作は、Netflixがグローバル市場で影響力を拡大している現状を象徴する存在だ。
