「誰も見たことがない舘さんと郷敦くんを撮れた」。藤井道人&舘ひろし&眞栄田郷敦が『港のひかり』の始まりから舞台裏まで語り合う

「誰も見たことがない舘さんと郷敦くんを撮れた」。藤井道人&舘ひろし&眞栄田郷敦が『港のひかり』の始まりから舞台裏まで語り合う

『正体』(24)で第48回日本アカデミー賞最優秀監督賞に輝いた藤井道人が、新たな挑戦に乗り出した。『ヤクザと家族 The Family』(21)でタッグを組んだ舘ひろしと共に、数々の名作を手掛てきた撮影監督・木村大作を迎えて、これまでの作風とは大きく異なるヒューマンドラマ『港のひかり』(公開中)を作り上げたのだ。

北陸の港町で細々と暮らす漁師・三浦(舘ひろし)。元ヤクザという過去を持つ彼は、目の病気を患う孤独な少年・幸太(尾上眞秀)と出会う。はぐれ者同士、心の交流が生まれた両者だったが、ある事件によって離ればなれに。12年後、大人になった幸太(眞栄田郷敦)は三浦と再会するが…。

全編35mmフィルムで撮影したクラシカルな雰囲気漂う本作は、いかにして生まれたのか。藤井道人監督、舘ひろし、眞栄田郷敦の鼎談で舞台裏を語っていただいた。

【写真を見る】肩を寄せ合ってにっこり!藤井道人監督、舘ひろし、眞栄田郷敦のほほえましいスリーショット
【写真を見る】肩を寄せ合ってにっこり!藤井道人監督、舘ひろし、眞栄田郷敦のほほえましいスリーショット撮影/興梠真穂

「河村さんに『どうしても藤井監督ともう一度やりたい』と相談したのです」(舘ひろし)

――藤井監督と舘さんは『ヤクザと家族 The Family』『パレード』(24)に続く3本目のタッグです。

藤井「『ヤクザと家族 The Family』を2019年に撮影した際、すごく楽しくてお互いに『ぜひもう1本ご一緒したいですね』とお話しして、1、2年いろいろと脚本開発をしていましたが、あまりうまく進まなかった時もあって。そんな時に自分のホームみたいなスターサンズの河村光庸さんに相談したら、この企画を提案されました。『こういう舘さんを見たことがないから見てみたい』というお話もあり、舘さんにいかがでしょう?とご相談した流れです」

舘「僕は『ヤクザと家族 The Family』までは助監督から監督になられた方たちと一緒に映画を作ってきました。藤井監督のように、大学で映画を学んで初めから監督として活動していた方は初めてで、演出や現場の回し方がとても印象に残りました。そこで亡くなった河村さんに『どうしても藤井監督ともう一度やりたい』と相談して、様々な企画を考えてくれたのです。ウチの親父が医者だったので、医者の役はどうだろうとか案を出していただくなかで、やはりドラマティックなものにしたい、ヤクザで書いていただきたいという話をしました。そこで脚本を書いていただきましたが、最初は幸太の子ども時代が結構な長さだったので、大人になってからをもっと膨らませてほしいとご相談し、現在の形になっていきました」

元ヤクザの男と少年の、長年にわたる絆の物語『港のひかり』
元ヤクザの男と少年の、長年にわたる絆の物語『港のひかり』[c]2025「港のひかり」製作委員会

――眞栄田さんはお2人のタッグにどんな印象をお持ちでしたか?

眞栄田「現場の参加時間が長かったわけではないのでわかりきっているとは言い難いのですが、お互いに信頼しあっている印象を受けました」

――眞栄田さんは青年期の幸太として、途中から参加される形だったかと思います。藤井監督はどんな言葉をかけられたのでしょう。

藤井「事前に尾上眞秀くん演じる少年時代の幸太にお会いいただきましたよね」

眞栄田「そうですね。映像も見せていただいたので、不安はありませんでした」

藤井「こんなに若いのにこれだけ脚本が読めて、自分が生きることの正確性をちゃんと理解している俳優はとても珍しいと思います。郷敦くんとは“ここはちょっと言いづらい”でしたり、“こういうセリフにしたほうがいいんじゃないか”と密にディスカッションしながら一緒にホンを作れました。すごく楽しいセッションでしたね。最初から“このままでいけます”というホンを書いてあげられなかった反省もありますが」

眞栄田「いえいえ。大げさなものではなく、事前にちょっと話したり、現場で調整した程度です」

――舘さんと眞栄田さんは『ゴールデンカムイ』(24)に続く共演ですね。


眞栄田郷敦は、主演俳優としての在り方を体現していた舘ひろしへの尊敬の念も明かした
眞栄田郷敦は、主演俳優としての在り方を体現していた舘ひろしへの尊敬の念も明かした撮影/興梠真穂

舘「『ゴールデンカムイ』の時から目力のある俳優さんだと思っていたので、『港のひかり』でもご一緒できるのが楽しみでした。本作を経て、絶対にこれからスターになる人だと確信しました」

眞栄田「本番では背中で語ってくださり、本番以外でも様々なお話をしてくれて、男としても役者としても大きく考えが変わりました」

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