齋藤潤の魅力が全開!『ストロベリームーン 余命半年の恋』の演技ににじみ出るまっすぐな誠実さ

コラム

齋藤潤の魅力が全開!『ストロベリームーン 余命半年の恋』の演技ににじみ出るまっすぐな誠実さ

綾野剛とタッグを組んだ『カラオケ行こ!』からの快進撃

そんな彼の名を一躍世に知らしめたのが、歌が上手くなりたいヤクザに綾野剛が扮した『カラオケ行こ!』(24)だろう。原作は和山やまによる同人誌発のコミックで、発表直後から大人気となり、商業誌にも掲載されることとなった人気作だ。齋藤は、ヤクザの狂児(綾野)から「歌の師匠になってくれ」と懇願されることになる、変声期に悩み中の中学3年生で合唱部部長の岡聡実を快演した。

奇抜な設定とオフビートなユーモア、そして年代を超えた絆の物語が思いもよらないエモーションを生む本作。主演を務めた綾野は、「あらゆることから目を背けず、最後まで現場に立ち向かったことにとてもリスペクトしています」と齋藤の演技を振り返り、思春期で揺れるキャラクターの悩める青春と成長を体現した彼の頑張りを賞賛している。

その後も齋藤の快進撃は止まらない。隣の席になった中学生男女の“からかい”を通じた関係性を描く人気コミックを実写化した映画『からかい上手の高木さん』(24)では、美術好きの不登校児である町田涼役に。教育実習生として母校に帰ってきた高木さん(永野芽郁)との関わりを通して再び学校に行くようになる少年の心の変化を体現するだけでなく、高木さんたちの恋にも爽やかな風を吹き込む存在となっていた。

また、シリーズとしては12年ぶり、1997年のドラマ放送開始からは実に27年の時を経た「踊る大捜査線」のスピンオフ映画二部作『室井慎次 敗れざる者/生き続ける者』(24)では、室井(柳葉敏郎)が面倒を見ている事件の被害者家族の少年を演じ、伝説的シリーズの世界観に新たな息吹を与えた。さらに、沖縄出身バンドHYの代表曲をモチーフにした『366日』(25)では、物語後半のキーパーソンとなる少女の幼なじみに扮し、温もりある演技にほっこりさせられた。

こうした話題作に次々に出演し、多彩な役柄に挑戦することによって俳優としての幅を広げてきた齋藤は、第48回日本アカデミー賞新人俳優賞に輝いたほか、数々の演技賞を受賞。いまや最も注目される若手実力派の一人に成長している。

同世代の実力派キャストと共に人気作に挑戦

この夏には、広瀬すず主演の映画三部作の“10年後”を描いたドラマ「ちはやふる-めぐり-」にも出演した。競技かるたに情熱を傾ける高校生たちの青春を描くこの作品で彼が演じたのは、高校2年生の白野風希。當真が扮したヒロインの藍沢めぐると共に、競技かるたのすばらしさに目覚めていく負傷中のアマチュアボクサーという役どころだ。

上白石萌音や野村周平らシリーズを支えてきたキャストと新世代の俳優たちが共演し、華々しく新章がスタートするなか、齋藤は一歩を踏みだせずにいる悩める男子高校生の思春期の揺らぎとその心の奥に秘める芯の強さを繊細に表現。さらに、ボクシングに取り組む高校生役ということでワイルドなイケメンぶりも披露。デビュー当初からアクション作品への出演を希望し、殺陣やアクションレッスンを積み重ねてきたという彼の新たな魅力の開花を予感させた。


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