吉岡里帆&水上恒司の懐かしい思い出を蘇らせた『九龍ジェネリックロマンス』。ノスタルジックな世界観の舞台裏とは
「現地の方は明るいし、すごくコミュニケーションを大事にします」(吉岡)
――ほぼすべてが台湾ロケ。真夏のとても暑い時期の撮影だったそうですが、現地での思い出はありますか?
吉岡「原作でも工藤と二人で水餃子を食べるシーンがたくさん出てきます。映画でも二人の思い出の食事として登場するのですが、そのシーンのロケーションが本当にいい雰囲気で。街の路地裏にある路面店で、雑多でいろいろなお店の人たちが野次を飛ばし合っていたりします。生活感を感じる、あの独特の空気感。雑多ななかで二人だけの世界を築いているという対比もすごくよくてお気に入りのロケーションでした」
――劇中の水餃子のように、特に印象に残っている食べ物はありましたか?
水上「カエルのスープがうまかったです!」
吉岡「結構食べてたよね、カエルのスープ(笑)。あとハマグリのスープもお出汁だけのシンプルなスープだけど、おいしかったです。ガイドブックに載っているような“THE”台湾料理ではないけれど、とても印象に残っています」
水上「全部うまかった。撮影チームのみんなで食べたという思い出もセットでおいしかったという記憶です」
吉岡「そうなの!私は水上くんが『ハマグリのスープがおいしいので飲んでみてください』って言うから、飲んでみようって思いましたし。水餃子と同じく思い出込みでハマグリのスープがすごく印象に残っています」
――一緒に食事をした思い出もたくさんあるチームとの撮影はいかがでしたか?
水上「現地の照明部にすごく特徴のある話し方をするスタッフさんがいて。なにを話しかけても『うほっ!』みたいな返事をする方なのに、なぜか伝わり合っているのがすごくおもしろかったです。持ってきてほしいもの、照明を当ててほしい場所も全部合っている。でも言語は違うみたいな」
吉岡「不思議だったよね」
水上「現地のスタッフさんが多かったけれど、映画が好きで集まっているコミュニティで映画への情熱も随所に感じられるのがすごく心地よくて。スコールとか大変なこともたくさんあったけれど乗り越えられるチーム力みたいなものを感じていました」
――合作の現場などでも、それぞれの言語で話していても通じ合うものを感じるというお話をよく伺います。
水上「多分、同じ目的があれば言葉なんていらないんだなと。何語でもいいんだなって」
――なるほどです。吉岡さんはいかがですか?
吉岡「私はまた食事の話なのですが…」
水上「ずっと食べ物(笑)」
――おいしいものにたくさん遭遇したのですね(笑)。
吉岡「ずっと食べてばかりいたせいか、撮影中どんどん肌にツヤが出てきて、なんかプリップリになっているなって思っていたくらい(笑)。現地の方は明るいし、すごくコミュニケーションを大事にします。食事に誘ってもらうことも多く、大人数でも少人数でもいろいろな方々と出かけました。食事の時にはフィルムカメラでお互いの写真を撮る方も多くて。思い出として日常を収めるみたいなことをやっているんですよね。この気軽さは台湾らしさなのかなと思っていました」
――フィルムカメラというところに、作品に通じるノスタルジックさを感じます。
吉岡「ですよね。特にいま、台湾ではフィルムカメラが流行っているみたいです」