『近畿地方のある場所について』菅野美穂&赤楚衛二が語り合う、恐怖演技の“間と計算”「一瞬の余韻がお客さんのドキドキにつながる」
「赤楚くんに『ぶたない』って言ったのに、思いっきり叩いてしまったんです(笑)」(菅野)
――お2人のシーンでは、怪異に巻き込まれた小沢に千紘がビンタをするシーンも衝撃的でした。
菅野「あの撮影では赤楚くんには本当に“ごめんなさい”っていうことをしてしまって(笑)。私は以前、武田鉄矢さんから、実際は叩いていないのに、叩いているように見えるお芝居を教えてもらったことがあるので、カメラが回る前に『ぶたないようにやるね』って言っていたんです。なのに、本番では天気のことで現場がバタバタしていたから緊張しちゃって、『ぶたない』って言ったのに、思いっきり叩いてしまったんです。そしたら赤楚くん、本当にビックリした顔をしていて(笑)」
赤楚「あれは本当にビックリしましたね(笑)。しかも、その次のテイクでは『ぶつか、ぶたないかわからないけど、やってみるね』なんて言うから、それがすごく怖くって(笑)」
菅野「(笑)」
赤楚「えっ、どっち、どっち?みたいな感じになって(笑)」
菅野「いちばん怖いパターンになっちゃったんだよね」
赤楚「あれは本当に恐怖でした(笑)」
――本編で使われたのは、本当に叩いた方のテイクなんですか?
菅野「叩いてない方だと思います。叩いたテイクはNGだったので。“ぶたれ損”って奴ですね(笑)」
赤楚「本当、“ぶたれ損”でした(笑)」
――後半の菅野さんもスゴかったですね。
菅野「ありがとうございます!でも、あれも白石監督の演出です。自分の過去のホラー映画のイメージを駆使しながら自分が思い描いたものを持っていって、演じたんですけど、監督から『もっと“小沢くんは本当に私の心からの友だちです”という気持ちでやって』と言われたので、本当に奥深いなと思いました」
赤楚「あの時の菅野さんの僕を見る目には本当にゾクッとしました。それを観ている人たちも体感させられるところはこの作品ならではだと思います」
「怖くて眠れなくなったのは『呪怨2』が最初」(赤楚)
――ちなみに、劇中の小沢は過去の未解決事件や怪現象を追ううちにどんどんのめり込んでいきますが、お2人は不気味な映像や超常現象を映した映像などを見るのはお好きですか?
菅野「いまはもうしてないですけど、ちょっと前は、夜中に起きてしまって眠れない時はそういった怖い動画を検索していました(笑)」
――余計眠れなくなるのではないですか?(笑)
菅野「『ヘンなものが映っています』と書いてあるのに、なにも映ってない写真ってありますよね。そういうのがあると、映っているのが見つかるまでスクロールしちゃうんですよ。あと、赤楚くんに教えてもらったチュパカブラってなんだろう?って調べてみたり。でも、夜中に目が覚めた時がいちばん危ないですね。もう見るものがないから、そういうものを検索しちゃう(笑)」
赤楚「それが楽しいんですよね!」
――ちなみに、“チュパカブラ”ってなんですか?
菅野「南米やメキシコ、プエルトリコなどで目撃された吸血UMAで…」
赤楚「牛や豚などの家畜が血を全部吸われて倒れていて、監視カメラをチェックしたら血を吸っている人型の動物が映っている映像をネットで見ることができて、それがチュパカブラなんです(笑)」
――赤楚さん、その手の動画をよくご覧になるんですね。
赤楚「好きですね。そういったUMAと言われる未確認生命物体が好きなんです」
――お2人はホラー映画も好きということですけど、いちばん怖かったホラー映画を教えてください。
菅野「私のホラー映画の入口は『女優霊』(96)と、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(99)でした。この2本は感動モノと同じぐらい、自分の頭をぶん殴られたようなインパクトがありました」
赤楚「僕は『呪怨2』(03)です。めちゃくちゃ怖くて、眠れなくなったのはあの作品が最初ですけど、ここ数年の映画では『呪詛』(22)がダントツで怖かったです」
菅野「そうなんだ!」
――本作にも通じるものがありますよね。
赤楚「そうですね。観終わったあとにウワッとなって、久しぶりにあそこまで怖い映画を観ました」
――どんなところが怖かったんですか?
赤楚「今回の映画と同じようにカメラで追っていくんですけど、急に襲ってくるようなところや、生々しさもあって、本当に怖かったんですよ」
菅野「へ~観てみるね!」