“28”のトピックで振り返るサバイバル・スリラー『28日後...』と『28週後...』、そして最新作『28年後...』へ
一度はウイルスを封じ込めるもさらに絶望的状況に陥ってしまう『28週後...』
前作から5年を経て製作されたシリーズ第2作『28週後...』。パンデミックから28週間後のロンドンが舞台だ。ウイルスが壊滅的な被害をもたらしたのち、アメリカ軍主導のもとでロンドンの一部が安全地帯として再建され、帰還者を受け入れ始める。しかし、隔離地域内で一人の男がウイルスを発症してしまったことから再び感染が拡大。この事態をなんとか抑え込もうとする米軍だったが、感染者だけを排除することは不可能と判断し、無差別攻撃に転じていく…。
のちのアメコミヒーローたちが出演
20:28週後が舞台の続編
監督はスペイン出身のフアン・カルロス・フレスナディージョにバトンタッチ(共同脚本も兼任)。ボイル、ガーランドも製作総指揮で参加している。
21:主人公が新たな感染者に
主人公はパンデミックを生き延びたドン。感染者から逃げる際に妻アリスを見捨ててしまい、そのことで強い罪悪感を抱いている。しかし、アリスには先天的な免疫がありウイルスは発症しておらず、なんとか生き延びていたところを発見される。ドンは隔離中のアリスに会いに行き、謝罪してキスを交わすが、そこからウイルスに感染してしまう。罪悪感が激しい怒りになったことで彼女を殺害し、新たなパンデミックを引き起こすことに。
22:ドン役はロバート・カーライル
男性ストリップショーを題材にした『フル・モンティ』(97)でブレイク。このほか、『トレインスポッティング』、『ザ・ビーチ』、『T2 トレインスポッティング』(17)、ジョン・レノンを演じた『イエスタデイ』(19)といったボイル作品にも出演している。
23:ブレイク前のジェレミー・レナーが出演
『ハート・ロッカー』(08)、「アベンジャーズ」シリーズのホークアイ役でおなじみのジェレミー・レナーが出演。感染が拡大し、米軍による殲滅作戦が実行されるなか、命令に反してドンとアリスの2人の子どもたち、タミーとアンディの姉弟を救おうとするデルタフォースの狙撃手、ドイル軍曹を演じている。銃の腕前が超一流という設定はホークアイにも通じる役どころだ。身を挺して子どもたちを守ろうとし、米軍が放った火炎放射器で焼殺されるという壮絶な最期を迎える。
24:イドリス・エルバも出演
「マイティ・ソー」シリーズのヘイムダル役で知られるイドリス・エルバ。感染拡大を抑え込もうと「コード・レッド」を発令するが、作戦遂行は困難と判断し、感染者、生存者を問わずに殲滅することを決定するストーン准将を演じている。
25:ウイルスへの免疫
アリスのようにウイルスに対して免疫を持つ人間の存在が明らかに。タミーとアンディにその性質が受け継がれているかが物語のカギとなる。
26:感染者となったドン
アンディを執拗に追い回すドン。街中にナパーム弾や毒ガスが投下されても生き延び、姉弟を保護する軍の医務官スカーレットを奪ったライフルで撲殺するなど凄まじい執念を見せる。
27:より残酷にスケールアップ
前作の成功によって製作費がアップ。アリスの目を潰して殺害するドン、無差別に発砲し続けるスナイパー、ナパーム弾で焼け死んでいく人々など残酷なシーンも多くなり、ヘリコプターのプロペラが感染者たちを次々に八つ裂きにしていく光景はまさに地獄絵図。
28:絶望的なエンディング
アンディに覆い被さる父ドンをタミーが射殺。大量の血を浴び、噛みつかれたアンディだが免疫を持っていたために発症はせず、2人はヘリコプターに乗って脱出することに成功する。しかし28日後、墜落したのか無人になったヘリコプターの機内では助けを求める無線の声が響き渡り、エッフェル塔に向かって駆けて行く感染者たちの姿も映しだされるなど、パンデミックがヨーロッパ各地へ拡大したことが示唆されて終幕する。
進化した感染者が生存者に襲いかかる『28年後...』
監督のボイルと脚本のガーランドが再タッグを組んだシリーズ第3作『28年後...』。キャスト陣には、アーロン・テイラー=ジョンソン、ジョディ・カマー、レイフ・ファインズといった面々が出演。最初のパンデミックから28年後を舞台とし、イギリスが国土を封鎖するなか、感染を逃れて孤島で独自のコミュニティを築いて暮らす人々のドラマが描かれる。隔絶された島内は安全だが、かつて5週間で餓死すると言われていた感染者たちはいまも本土に潜んでいる。予告編で体が肥大化した個体が確認できるほか、“アルファ”と呼ばれるウイルスによってさらなる進化を遂げた突然変異体も登場する。
名タッグ、ダニー・ボイルとアレックス・ガーランドが描く新たなサバイバルスリラー『28年後...』。徹底したリアリティと臨場感を追求した終末世界をスクリーンで目の当たりにしてほしい。
文/平尾嘉浩