「日本アニメに新たな風格をもたらした」仏アヌシー映画祭で快挙達成の『ChaO』!授賞式後のサイン攻めまで、現地の熱狂を詳細レポート

「日本アニメに新たな風格をもたらした」仏アヌシー映画祭で快挙達成の『ChaO』!授賞式後のサイン攻めまで、現地の熱狂を詳細レポート

総作画枚数は10万枚超!アニメファンを驚嘆させたクオリティ

「STUDIO4℃のアニメーション技術で、世界に発信できる“まったく新しいオリジナルアニメーション作品”を作りたい」。STUDIO4℃の代表でもある田中栄子プロデューサーのそんな想いから、『ChaO』の企画が始動したのは2016年のこと。それから9年、資金調達の課題から制作中止の危機に瀕しながらもそれを乗り越え、ついに完成した本作は、現地時間6月13日に世界最速上映を迎えることに。

 企画スタートから9年。青木康浩監督はこれが待望の長編初監督作品
企画スタートから9年。青木康浩監督はこれが待望の長編初監督作品[c]2025「ChaO」製作委員会

会場となったのはアヌシー国際アニメーション映画祭のメインシアターであるBonlieu-Grande Salle。上映開始を前に、会場の外には長蛇の列が形成され、約1,000名を収容できるシアター内は本作の上映を待ち望む観客でごった返すなど、ただならぬ熱気に包まれていた。上映前の舞台挨拶に登壇した青木監督は、「皆さまにこの作品をお届けできることを大変誇りに思っています」と挨拶すると、“取扱い説明”として作品の見どころをアピール。

「様々なキャラクターが登場し、いろいろなことを散りばめては去っていきます。そして忘れたころにそのオチが急に現れます。非常に細かいネタを仕込んでいますので、そこを観逃さないでください。“混ぜるな危険”とよくいいますが、この作品はごちゃ混ぜです。人魚と人間、コメディとシリアス。そしてまさかのSTUDIO4℃での制作。ハッピー、スペクタクル、ユーモアを体感してください」。

アンデルセン童話「人魚姫」をベースに、独創的な物語が展開する『ChaO』
アンデルセン童話「人魚姫」をベースに、独創的な物語が展開する『ChaO』[c]2025「ChaO」製作委員会

約90分の上映中は、会場のいたるところから笑い声があがったり、拍手も湧き起こる大盛り上がり。上映終了後、興奮冷めやらぬ様子の観客たちに劇場前で直接話を聞いてみると、彼らから聞こえてきたのは「技術的にすばらしく、フィールグッドムービー」「美しい映画で、アニメーションがとてもゴージャス」「大変洗練されている」といった、日本アニメの代名詞ともいえる緻密で精巧なアニメーション技術を評価する声の数々。

本作の舞台となっている人間と人魚が共存する未来都市は、中国の上海をモデルにして創りあげられた。混沌とした空気感を再現した緻密な陸上の街並みはもちろん、生き生きとした水の描写は“水の都”アヌシーの観客に刺さるものがあったのだろう。一般的な長編アニメ映画の総作画枚数は3〜4万枚といわれているが、本作の場合は10万枚超。そのためアニメーションには欠かせない“動き”が絶やされることはなく、目の肥えたアニメファンも驚嘆せずにいられなかったようだ。

一度見たら忘れられない個性的なキャラクターが続々登場
一度見たら忘れられない個性的なキャラクターが続々登場[c]2025「ChaO」製作委員会

また「キャラクターデザインが独創的で、古典的なものと一線を画しているのがクール」と、小島大和が手掛けた個性豊かなキャラクターデザインを高く評価する声も多数見受けられた。ステファンとチャオの恋模様を盛り上げてくれるユニークなキャラクター描写と、青木監督もアピールしていたエンタメ性の高さ。「映画に必要な要素がすべてそろっている」「劇場全体が一体化しているようでした」など、大きなスクリーンで味わう喜びがぎっしりと詰め込まれていることを称賛する声も目立っていた。

フランスといえば、世界でも特筆して日本のアニメーション人気が高い国。「この作品も、高い関心をもって受け入れられると思います」や、「世界のどこでも楽しめる作品でしょう」と、本作の企画の原初であった“世界に通じる作品”であることに太鼓判がおされ、「Screendaily」の批評家ウェンディ・アイデ氏からも「鮮烈なビジュアルとエネルギッシュなスタイルで、爽快なほどアナーキーな物語が展開。日本アニメに新たな風格をもたらした」と高評価が寄せられている。


すでに北米配給も決定!世界でのさらなる飛躍に期待したい
すでに北米配給も決定!世界でのさらなる飛躍に期待したい[c]2025「ChaO」製作委員会

今後、北米を代表するジャンル映画祭のひとつであるファンタジア国際映画祭のコンペティション部門へ出品される『ChaO』。また『君たちはどう生きるか』(23)など、多くの日本アニメをアカデミー賞へ導いてきた実績のあるGKidsが北米配給を担当することもすでに決まっており、さらに世界にその名を轟かせてくれることだろう。

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