「アイドルとは知らなかった」『6時間後に君は死ぬ』イ・ユンソク監督が明かす、NCTジェヒョンの芯の強さと純朴さ

「アイドルとは知らなかった」『6時間後に君は死ぬ』イ・ユンソク監督が明かす、NCTジェヒョンの芯の強さと純朴さ

「ジェヒョンと一緒にキャラクターを作ればおもしろいと思った」

イ・ユンソク監督からも“輝く原石”と高く評価されたジェヒョン
イ・ユンソク監督からも“輝く原石”と高く評価されたジェヒョン[c]2024, Mystery Pictures, ALL RIGHTS RESERVED

死を宣告する謎の男性ジュヌ役には、今回がスクリーンデビューとなるNCTのチョン・ジェヒョン。会社の意向によるキャスティングではあったものの、実際撮影に入ると良いアンサンブルを生み出した。

「私は日本に20年くらいいるせいか、韓国のアイドル事情に疎くて…NCTというグループ自体も、彼がそのメンバーだというのも知らなかったんですよね。写真を見た時、『美形の青年だな』と思ったくらいで、その後気になって調べて、ようやくアイドルだと知りました。顔合わせの時に話してみると年相応に落ち着いていて芯が強いところもある一方で、ときどき純朴な印象もみせるんですよね。彼と一緒にジュヌというキャラクターを作ったらおもしろいと思いました」。

そんなジェヒョンの印象深いシーンがある。ジュヌとジョンユンが中華料理店で今後を話す場面だ。監督は「意図的なところもありますが、時間があまりなくて」と前置きしながらも、「二人でしゃべってるのを現場でリハーサルしたら、感情表現を含め芝居がとても良くて、割と(ロングショットに)耐えられるなと思ったんです。それで『これで撮影しよう』となったんです」と、撮影の後半にはすでにジェヒョンの演技が映画に馴染んできたことを明かした。

「ジョンユンこそがこの物語の真の主人公」

そして、ジョンユン役のパク・ジュヒョンがキャスティングされたときのエピソードも教えてくれた。

「リストの中にパク・ジュヒョンさんの名前があり、たしかに以前ドラマ『人間レッスン』の演技がすごくよかったんですよね。『彼女で決まったらいいなあ』と思っていたんです。韓国で主演クラスの俳優にオファーを出すと、事務所で検討した後にようやく役者に脚本が届くので、1か月くらい返事を待たされてしまうんですが、パク・ジュヒョンさんは割とすぐ返事してくださったんです」。

綱渡りのような日常の中、ジョンユンは必死で生き残ろうとする
綱渡りのような日常の中、ジョンユンは必死で生き残ろうとする[c]2024, Mystery Pictures, ALL RIGHTS RESERVED

「ジュヌがストーリーの道案内役で、ジョンユンこそがこの物語の真の主人公」と考えていた監督にとって、どんな俳優がジョンユンを演じるかはかなり気になるところだった。彼女が経験することが重要なテーマだという意向は、ジョンユンのアルバイトでの様子や、疲れた顔で地下鉄を待つ表情などをじっくり映し取るカメラワークにも表れている。


「ジョンユンの日常はかなり丁寧に撮っていこうと、カメラマンとも決めていました。物語自体が非現実なので、前半のジョンユンの今の生活をしっかり撮って、彼女を地に足がついた人間として描かないと観客も物語に没入できないし、話自体が浮いてしまうという危険性があると思っていたんです。韓国映画って日本より撮影や編集などのテンポが速くて、すぐに本題に入ろうとします。でも、この映画は前半でそうしてしまうと後半が生きてこないと考えたんです」。


作品情報へ

関連作品