『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』脚本は“脱線話”の積み重ね?脚本家&プロデューサー陣が語る誕生秘話からアフレコ裏話まで
「『たべっ子どうぶつ』ファンの方にとっては、解釈一致とか解釈違いとかいろいろな意見があると思います」(池田)
小荒井「キャスティングはご本人のイメージも込みでのオファーだったので、アフレコは本当に順調でした。松田(元太)さんのらいおんくんも最初からピタッとハマっていてうれしくなりました。水上(恒司)さんはぞうくんのキャラクターをイメージしていろいろと役作りをしてくださったのですが、『水上さんのままがいいので、ままでお願いします!』と言ったくらい(笑)。せっかくいろいろと考えていただいたのですが、ご本人のままが思い描いたイメージだったので。もちろんキャラクター設定ができていたからこそのことなので、池田さんに感謝です!」
池田「『たべっ子どうぶつ』ファンの方にとっては、解釈一致とか解釈違いとかいろいろな意見があると思います。ただ、今回の物語でキャラクターの設定を決める際には、ギンビスさんがオフィシャルで出しているキャラクターの性格などは一旦置かせていただきました。もちろん参考にした部分もいっぱいありましたが、そうなるとどうしてもほのぼの路線に戻ってしまうことになるので…。ねこちゃんはビリー・アイリッシュみたいにしたいとか、実在も架空も含めていろいろな人物のイメージを当てはめて考えていきました。らいおんくんはちょっと天狗になっているお調子者みたいな感じですぐにまとまりました。悩んだのはきりんちゃんとわにくんかな」
小荒井「そうでしたね」
池田「きりんちゃんは背が高いのを遠慮して猫背になって『目立っちゃってごめんなさい』みたいなことを言いそうという話から決まっていった気がします」
小荒井「怖がりとか臆病みたいなイメージがいいかもという話をした記憶があります」
池田「わにくんは物語の進行上、若干ご都合みたいなキャラ設定をしましたが、結果としていいキャラになりました。普段はあまり動かないのに、急にシャッと動いたりするというわにの特性を活かせば、なにを考えているのかわからない、エンジニアタイプにもハマるかなと。頭に鳥がとまっているのもあのコンビだけが別行動するという流れに決まるポイントになって、とてもうまくまとまったと思います」
小荒井「正直なことを言うと、わにくんは我々の悪ふざけが集まっているみたいな…」
須藤「アハハハ!」
小荒井「須藤さんがわにくんに『シナリオどおりだわに』みたいなセリフを言わせたいとか言い始めたりして」
池田「そうでした、そうでした。きっと僕のメモに残っています!」
須藤「覚えてないなあ。僕の一番好きな言葉は誠実。それをモットーに生きているので、僕が言えるのは誠実に作品に向き合った結果こうなっているということだけでしょうか…」
小荒井「ここはカットで大丈夫です(笑)」
池田「まあ、いまとなっては小荒井さんにカットされるようなものも含めて須藤さんの言葉ひとつひとつが、いい方向に向かうキーになっていた気がします。ちょっとすごいと思ったり、なんかムカつくなと思ったりもしたけれど」
須藤「アハハハ」
小荒井「ちなみにぺがさすちゃんは、せっかく映画化するならオリジナルキャラクターを入れたいという想いから出てきたアイデアです、たべっ子どうぶつファンにも受け入れられるといいなと願っています」
須藤「ゲストキャラクターに関して言うと、お菓子業界が盛り上がったらおもしろいんじゃないか、という想いを形にしたもので、いろいろなメーカーさんにお話を持ち込んで…」
池田「でも結果、あのお菓子だったからこの結末に…というすてきな表現になったので、すごくよかったですよね。むしろよくここまでいろいろな方々がOKしてくださったなと」
須藤「本当にそう。あるキャラクターは本家の声で出演してくださったりして。そのうえ、セリフまでしゃべっていただいて、感謝しかないです。今回『たべっ子どうぶつ』とタイトルが付いていますが、広い意味で言うと“お菓子の映画”です。なので、今後もいろいろなキャラクターに出演してもらって、第2弾、第3弾と続けていく予定です。ちなみに第2弾は3年以内に公開予定で、新たなお菓子のゲストキャラクターに交渉中です!」
小荒井「勝手に誰も聞いていない第2弾の話をしているけれど、まずは第1弾がヒットしないことには…」
池田「第2弾、僕はまだオファーもらってないですよ」
須藤「あれ?今日本読みじゃなかったかな?」
池田「脚本はもうできているのか(笑)。でも本当に第2弾をやるなら、いまから考えて書き始めないと」
須藤「ぜひ、書き始めてください!」
小荒井「いやいや、誰か止めないと(笑)。まずは第1弾がヒットしますように」
池田「よろしくお願いいたします!」
取材・文/タナカシノブ