『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』脚本は“脱線話”の積み重ね?脚本家&プロデューサー陣が語る誕生秘話からアフレコ裏話まで

『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』脚本は“脱線話”の積み重ね?脚本家&プロデューサー陣が語る誕生秘話からアフレコ裏話まで

「ギンビスさんが掲げている3つの“I”もアイデアのポイントに」(須藤)

おかしが大好きで食いしん坊な女の子・ペロ(声:大野りりあな)
おかしが大好きで食いしん坊な女の子・ペロ(声:大野りりあな)[c]ギンビス [c]劇場版「たべっ子どうぶつ」製作委員会

須藤「ギンビスさんが掲げている3つの“I”もアイデアのポイントになりました。なかでも『たべっ子どうぶつ』に英語が書かれているように、International=国際性みたいなところを表現したいという話もしましたよね。それが本作のキーパーソンでもある、ペロの成長という部分につながっていると僕は理解しています」

小荒井「残り2つの“I”については?」

須藤「あとはギンビスさんのホームページを見ていただければ(笑)」

池田「言わないんだ(笑)」

小荒井「なんでよ(笑)!」

須藤「残りの2つについては特にリクエストもなかったと記憶しています。ギンビスさんからは『とにかくいい映画にしましょう!』ということをいつも言われていて。それが一番難しいという…」

まさかの大冒険が繰り広げられるストーリーにワクワク
まさかの大冒険が繰り広げられるストーリーにワクワク[c]ギンビス [c]劇場版「たべっ子どうぶつ」製作委員会

池田「僕がよく覚えているのは、『お菓子は平和産業』だということ。笑顔を与える存在だというのは解釈したところです。お菓子を食べられる余裕って平和じゃなきゃ生まれないもの。そういうことをひとつひとつ大事にして、打ち合わせなどで出てきた言葉をメモとして付箋のように貼っていました。竹清監督は負け犬たちがのし上がって最後は勝つ!みたいなアンダードッグものがとても好き。僕もそういう話は好きだから取り入れてみようかなとか、小荒井さんが大事にしていたモフモフ感やカワイイけれど怖いみたいな敵たちのギャップとか。あとは、ご自身は口にしないし認めないけれど、須藤さんはとてもピュアな物語を求めているというのは打ち合わせを重ねるなかでちょっとずつわかってきていたので、そんなキーワード大切にしていました」

須藤「僕はまったくピュアじゃないです。ちょっとでもキレイなものがあったらそれを0にする、スクラップ&ビルド、破壊と再生をモットーにしているタイプですから…」

池田「そんなふうにメタで話すからわからなくこともあるけれど(笑)。絶対にピュアな人だと思っています!」

小荒井「『たべっ子どうぶつ』としては絶対にありえないアイデアを言った時は、私が却下する、みたいなことを繰り返しましたよね。須藤さんに対してNOといえるのは私くらいなので、そこはある程度操作させていただきました(笑)」

池田「アハハハ!」

小荒井「正確には注意させていただいた、くらいですかね(笑)」


歌って踊るスーパーアイドル「たべっ子どうぶつ」のリーダー、らいおんくん
歌って踊るスーパーアイドル「たべっ子どうぶつ」のリーダー、らいおんくん[c]ギンビス [c]劇場版「たべっ子どうぶつ」製作委員会

池田「正直『ポプテピピック』を作った人なので、僕のアイデアは生ぬるいとか思われてないかみたいな部分が僕自身にあったんですけれど…。だって須藤さんから出てくるアイデアはどうぶつ型のお菓子が出てきて銃撃戦になって中に入っているチョコが飛び散るみたいな話だったりするし。まあ、小荒井さんがしっかり止めてくれるので安心して聞いていられるんですけれど」

須藤「まあ、あくまでアイデアですから」

池田「そんな脱線話も含めた会議をたくさん積み重ねていた気がします。改めて振り返るとこの3人でよかったなと。ここにまじめな人がいたら、例えアイデアでも『ふざけんな!』と怒られたと思うので(笑)。コロナ禍で暇と言えるくらい時間はたっぷりあったので、たくさん打ち合わせができたのもいまとなってはありがたかったです。まあ、マーザさんはそうもいかない状況だったと思いますけれど」

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