『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』脚本は“脱線話”の積み重ね?脚本家&プロデューサー陣が語る誕生秘話からアフレコ裏話まで

『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』脚本は“脱線話”の積み重ね?脚本家&プロデューサー陣が語る誕生秘話からアフレコ裏話まで

「メソッドに基づいて書いていると予想外のバカなアイデアが出てこないんですよね(笑)」(池田)

ギンビス社の動物型ビスケット“たべっ子どうぶつ”まさかの映画化!『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』が公開中
ギンビス社の動物型ビスケット“たべっ子どうぶつ”まさかの映画化!『たべっ子どうぶつ THE MOVIE』が公開中[c]ギンビス [c]劇場版「たべっ子どうぶつ」製作委員会

池田「1000本ノックとまでは言わないけれど、プロットはたくさん書かせていただきました。オリジナルなのでいろいろな可能性があって。最初はやっぱり『たべっ子どうぶつ』なので、ほのぼの子どもアニメ路線だなと思って、とにかく“ほのぼの”をテーマに書いていました。だけど、第一稿まで書き上げた段階で須藤さんから『一旦ゼロベースに戻しましょう』って言われたんです。実は僕はそれがすごくうれしくて」

須藤「そうだったんですね」

池田「僕のような“熱量のあるバカ”のやりたいことを、プロットから感じ取っていただいたのかなって。脚本のメソッドに基づいてというオーダー通りに仕上げたものは、多分及第点はもらえるかもしれないけれど、僕としてはピンとこなくて。メソッドに基づいて書いていると予想外のバカなアイデアが出てこないんですよね(笑)。非常に丁寧な段階を踏んで作ったものだったけど、須藤さんの反応は『うーん』という感じ。案の定の反応である意味ありがたかったけれど、そこからゼロに戻すのはなかなか大変。まだ路線もはっきりしていないなかだったので、『じゃあ、3人でまた話し合いましょう』ってこのメンバーでリモート会議を重ねていきました」

小荒井「コロナ禍だったのでほとんどリモートで」

池田「そこで須藤さんがぽつりぽつりと発したことをメモしていきました。らいおんくんは命をかけて仲間を救うとか、お菓子のアスパラガスは硬いからなにかしらの道具や武器に使えるんじゃないかとか、太陽に向かって飛んでいくたべっ子どうぶつたちがこんがり焼けていい匂いがしてくる、とか(笑)。そんなことを須藤さんが言うたびに『わかりました』とメモをして。本当はよくわかっていなかったのだけど(笑)、それを1回まとめた段階でちょっとSFチックなものになっていきました」

須藤「そうでしたっけ?全然覚えてないなあ(笑)」

池田「須藤さん忘れていても大丈夫です。僕や小荒井さんがメモっているので」

小荒井「私も覚えています!」

大切な仲間を助けてスイーツランドを救うために立ち上がる!
大切な仲間を助けてスイーツランドを救うために立ち上がる![c]ギンビス [c]劇場版「たべっ子どうぶつ」製作委員会

池田「ずっと大事にしていたのは、ほかの動物アニメと違ってお菓子のキャラクターやお菓子が関わってくるということ。そこを軸にしながら、須藤さん、小荒井さんが本当にやりたいことというのを汲み取り、盛り込むことを意識していました」

須藤「僕はプロデューサーですが、このプロジェクトではピエロみたいなもの(笑)。真のプロデューサーの小荒井さんに従って動いていたくらいに思ってもらえれば…」

池田「なにを言ってるんだか(笑)」

小荒井「ですよね。でもまじめな話、第一稿までできていた脚本はすごくいいものでした。ギンビスさんの社長からもOKをもらえていたけれど、『うーん』みたいな雰囲気もあったのも事実。あれはあれで成り立っていたお話だけど、ギャップのようなものを考えた時に、『もう少しなにか(アイデア)があるんじゃないか?』とみんなが感じていたと思いました。そこからのゼロベースに戻す、でしたよね」

池田「そうでしたね…」


仲間のために立ち上がる姿に胸が熱くなる!
仲間のために立ち上がる姿に胸が熱くなる![c]ギンビス [c]劇場版「たべっ子どうぶつ」製作委員会

小荒井「私がお願いしていたのはとにかく、“かわいい”と“泣ける”、この2つの要素を入れてほしいということ。キャラクタービジネスとしてもそうですし、私自身がキャラクターものが大好きということもあり、キャラクター好きの方のこと、それこそたべっ子どうぶつが好きな方のことを考えると、かわいいは絶対に入れなきゃいけない要素。そこからかわいさを武器にするというアイデアが生まれました。個々のキャラクターの個性は池田さんに考えていただいたけれど、『このキャラクターはこういう言葉は使わない』みたいなイメージのようなものには、その都度コメントさせて頂いた記憶があります」

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