「いま観るべきメッセージがすごくある」伝説の報道写真家、リー・ミラーの激動の人生に映画ファンたちの心が震えた!

コラム

「いま観るべきメッセージがすごくある」伝説の報道写真家、リー・ミラーの激動の人生に映画ファンたちの心が震えた!

「被写体と向き合い、世に伝えることに全身全霊を捧げる姿に感銘を受けた」…ケイト・ウィンスレットがリー・ミラーの情熱を体現

マン・レイ、パブロ・ピカソ、ココ・シャネル、ジャン・コクトー、ダリ、コンデ・ナストら時の天才たちと交流したミラー。その輝きは写真家になってからも色あせることなく、凄まじい情熱とエネルギーで戦場のリアルをカメラに収めていく。後世にも影響を与えており、それは演じるウィンスレットも同様だ。

ミラーについてウィンスレットは、「当時よりも、いまの時代の感性で生きていた。“時代を先取りしていた”ではもはや足りない。時代を間違えて生まれたと思えるくらい、リーはいまの時代に合っている」と語っている。特に女性の行動がさらに制限されていた当時において、自らの力で道を切り拓いた彼女の行動力、使命感の強さは、生きづらさを感じている女性をはじめ、現代を生きる様々な境遇の人たちに勇気を与えるはず。

また、「私たちがこの映画の脚本を作っている最中に、世界は歴史的な変化を遂げた。“#MeToo”運動も脚本の執筆中に起きたし、ウクライナで戦争も始まった。少し前の時代とは女性の言葉を聞く態度が大きく変わった」とも振り返る。ミラーの物語が決して過去のものではなく、世界的に混迷を深める現代だからこそ届けないといけないものだったとウィンスレットは捉えている。そういった本作にかける彼女の想いは鑑賞者たちにもしっかりと響いている。

「『VOGUE』のカメラマンと聞くと、キラキラしたきれいな印象を受けますが、それとは真逆の彼女の戦場報道に驚きました。絶望的な情景を目の前にした時になにかをしたいけど、してあげられない。現実を突きつけられた時の彼女の目が印象的でした」(20代・女性)
「女性という壁を打ち破り、自身の目標(やりたいこと)にも天井を作らないで、上へ上へと気持ちに正直に突き進む姿に感動した」(40代・女性)
「被写体と生身で向き合い、世に伝えることに全身全霊を捧げる姿に感銘を受けた」(30代・男性)
「戦時中の出来事や戦場カメラマンの現実、リーの人生の複雑さ、強さ、筋が通った信念に魅了された」(50代・女性)

女性であるがゆえに行動を制限されることもあるが、様々な障壁を乗り越えていく
女性であるがゆえに行動を制限されることもあるが、様々な障壁を乗り越えていく[c] BROUHAHA LEE LIMITED 2023

そしてもちろん、自らミラーを演じることになったウィンスレットの役に対する精励恪勤も相当なもの。単に歴史をなぞっていくのではなく、その時々でミラーがなにを思い、なにに憤ったのか。感情のひとつひとつまで観客に伝えるかのように体現している。

ケイト・ウィンスレットさんの芝居、リー・ミラーの生き様に心を打たれました」(40代・男性)
「2人には共通しているところがある。ケイトではなければ演じられないと思った」(30代・女性)
「リー・ミラーの人生を伝えたい。そんなケイト・ウィンスレットの情熱がスクリーン越しに伝わった」(30代・男性)
「力強くも繊細なケイト・ウィンスレットの演技は見逃せない」(40代・男性)

狂気的なまでの真実を伝えようとする姿勢
狂気的なまでの真実を伝えようとする姿勢[c] BROUHAHA LEE LIMITED 2023

「戦場カメラマンとしての使命感と友情」「得がたい生涯の友人」…リー・ミラーを支え、共に戦った友人たち

最前線を進むミラーを取り巻く人間関係もユニーク。夫のローランドはありのままに生きる彼女の魅力に引きつけられた一人で、従軍記者になったことも理解しようと努めるが、やがて戦地までやって来て一緒にロンドンに戻ってほしいと訴える。「時に厳しく、時に優しく接していて、本当の意味でのパートナーに思いました」(40代・男性)という言葉のように、意思を尊重しながらも、やはり安否が気になってしかたがない。

ミラーの夫となる芸術家でアートディーラーのローランド・ペンローズ(アレクサンダー・スカルスガルド)
ミラーの夫となる芸術家でアートディーラーのローランド・ペンローズ(アレクサンダー・スカルスガルド)[c] BROUHAHA LEE LIMITED 2023

共に戦地を撮影していくデイヴィッドとは一種の運命共同体のような関係に。車で何か月もかけてヨーロッパを横断し、瓦礫の山となった街並みだけでなく、ブーヘンヴァルト強制収容所やダッハウ強制収容所での死体が山積みなった凄惨な光景も目の当たりにする。一人だけでは精神的に耐えられない状況でも互いを支えにして、ついにヒトラーのアパートへと足を踏み入れていく。

「同じ写真家としての強い絆を感じました」(30代・女性)
「戦場カメラマンとしての使命感と共に、信頼し合える友情のようなものが強く感じられた」(40代・女性)

アメリカの「LIFE」誌のフォトジャーナリスト兼編集者、デイヴィッド・E・シャーマン(アンディ・サムバーグ)
アメリカの「LIFE」誌のフォトジャーナリスト兼編集者、デイヴィッド・E・シャーマン(アンディ・サムバーグ)[c] BROUHAHA LEE LIMITED 2023

「VOGUE」編集長のオードリーもミラーを支える一人。空襲に遭いながらも雑誌の出版を止めることはなく、読者に日常を届けようとする。その一方、ミラーから送られた写真をめぐって葛藤も強いられることに。社会的地位を確立している彼女もまた、女性の生きづらさを体現していることが劇中の描写から伝わってくる。

「彼女もリー・ミラーと一緒に戦った女性。女性に必要なのは、ファッションやシューズ、ジュエリーだけじゃないという戦いをした」(30代・女性)
「同僚と上司との友情には胸が熱くなるものがあった。得難い生涯の友人というのはまさに彼らのような人たちなのだと強く感じた」(50代・女性)

戦渦においても出版を止めないオードリーたち
戦渦においても出版を止めないオードリーたち[c] BROUHAHA LEE LIMITED 2023

コティヤール演じるソランジュ・ダヤンらミラーの芸術仲間たち。冒頭の避暑地のシーンでは芸術や政治について自由に語り合う姿が印象的だったが、戦争の激化によってそんな日々も一変する。特に解放されたパリでミラーが再会するソランジュは姿が変わり果て、彼女の夫をはじめ収容所へ連行された友人もいるなど、「家族を待ち続ける姿に胸を打たれた」(20代・女性)という観客たちのコメントのように、その姿がミラーにも大きなショックを与える。


長い戦乱の時間を経て、ようやく友人と再会したミラー
長い戦乱の時間を経て、ようやく友人と再会したミラー[c] BROUHAHA LEE LIMITED 2023

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