【TOHOシネマズ ららぽーと富士見篇】MX4D国内初導入の裏話とは?映画館にまつわる歴史&トリビアを大特集!
今年、TOHOシネマズの全国17劇場がアニバーサリーを迎えることを記念し、現在TOHOシネマズ株式会社によるお客様への感謝を込めた“アニバーサリーキャンペーン”が実施中だ。MOVIE WALKER PRESSでは対象の17劇場のスタッフへの取材や当時の資料を徹底リサーチ!オープン当初の貴重な裏話、その映画館ならではの魅力やトリビアなどを深掘りする連載コラムを展開。第4回は、創業10周年の「TOHOシネマズららぽーと富士見」についてご紹介する。
当劇場がオープンしたのは、2015年4月10日で、埼玉県初登場のTOHOシネマズとなった。また、同チェーンにて全国で初めてMX4Dのスクリーンが導入されたのもこちらの劇場だ。当時の支配人によると「MX4Dを体験できるデモンストレーション上映を行いましたが、当時はかなり注目されていたので、ロビーからお客様があふれだし、行列ができました。ららぽーと富士見の全体的な集客のためというよりも、エンタテインメントを楽しめる空間ということをお客様に認知していただくため、ひと役買った劇場でもあったと思います」と当時を振り返る。
オープニング作品の1本『ワイルド・スピード SKY MISSION』(15)はMX4Dで上映され、大盛況だったと言う。「日本人は映画を観ても、声をあげてリアクションする人は少ないと思いますが、MX4D上映時にはアトラクション感覚で声を出して楽しむお客さんが多かったことも印象深かったです。この上映フォーマット目当てに東は大宮、西は所沢のほうからも足を運んでいただきました」。
当劇場で上映回数が最も多かった映画は『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』(20)や「名探偵コナン」シリーズで、公開前に反響がとても高く、チラシの減りが早かった作品は同じく「鬼滅の刃」や「名探偵コナン」「ラブライブ!」「アナと雪の女王」「スター・ウォーズ」など人気シリーズ、STARTO ENTERTAINMENT(当時はジャニーズ事務所)関連作品のほか、MX4Dでも上映された「ジュラシック・ワールド」シリーズなどだそう。
東武東上線エリア最大級のショッピングモール「ららぽーと富士見」内に位置する当劇場は、映画鑑賞のビフォア・アフターに立ち寄りたくなる人気店も満載だ。例えばファミリー層が集うレゴストアやジブリグッズを販売するどんぐり共和国などでショッピングを楽しんだり、バリエーション豊かな飲食店で、観た映画の感想を言い合ったりする方も多いとか。
水谷豊や浜辺美波、北村匠海らが舞台挨拶に登壇
埼玉初のTOHOシネマズということで、少しでも認知度を高めるべく、オープン前から地元の様々な施設にチラシを配りに行ったという元支配人は「地域により密着することを方針に掲げ、宣伝しようとみんなで動いていました」と振り返る。
もちろん、社員やアルバイトの研修も気合十分。「グランドオープンに向けて、マニュアルに沿ったオペレーションや、接客姿勢などをみんなで学んでいきました。それぞれ声をかけ合いながら、本当に頑張ってくれていたので、私は支配人としてそこに踏み込むというよりは、みんなの姿勢を見させてもらいつつ、時には背中を押すというスタンスでいました」と語る元支配人。
「富士見では、従業員休憩室や事務所など、裏方から扉を開けて1歩外に出ると、すぐお客様がいらっしゃるので、『しっかりとお辞儀をしてから出ましょう』と声掛けしていました。ゴミひとつの拾い方も、少し片膝立ちになり脇でさっと拾うなど丁寧な所作を心掛けてもらっていました」と、様々なところで高い意識を持って動いていたと言う。
元支配人が在籍していたオープニング当時を振り返ってもらうと、スタッフ全員が意見を出し合える風通しのよい雰囲気だったとか。「特に副支配人以下の社員やアルバイトの関係性はすごくよかったです。もちろん時には、意見がぶつかることもあったようですが、誰もがよりよい劇場にできるように考えて動いているからこその衝突でした。全員が同じ方向を見て、本当に努力して取り組んだなかでオープンできたので、とても感動しました」。
コンセッションではプレミアムシネマイクポップコーンが一番人気だが、元支配人によると「当時、目新しい商品が出た場合、販売スタッフ陣がみんなで『このポップコーンを推そう』と声を掛けあって販売している姿も目にしました。少しでも売上げを伸ばそうという意気込みをいろいろな局面で感じました」とスタッフ陣の努力を称賛する。
また、当劇場で最初にゲストを迎えたイベントは、『王妃の館』(15)の水谷豊ら登壇の舞台挨拶だったとか。「劇場がオープンしたのは、まもなくゴールデンウィークを迎えるタイミングでした。私たちスタッフも芸能人の方と間近でお会いできる機会なんてめったにないので緊張もしていたと思いますが、水谷さんは我々にも気さくに声をかけてくださいました。また、『君の膵臓をたべたい』で、浜辺美波さん、北村匠海さんたちにも来ていただきました。控え室でお待ちいただいた時、ポップコーンを差し入れしましたが、当初立ち会った従業員たちは、いい思い出になったと思います」。