【TOHOシネマズ ららぽーと富士見篇】MX4D国内初導入の裏話とは?映画館にまつわる歴史&トリビアを大特集!
元支配人が語るMX4Dの初導入、そして移りゆく鑑賞体験価値
オープンから10周年を迎えた現在のTOHOシネマズ ららぽーと富士見では、2024年にワイドコンフォートシートとプレミアシートが導入され、ふかふかの座り心地が好評を博している。「都心部にもある程度近いといえど、富士見は非常にのどかな環境で、やはりお客様にゆったりと映画をご覧いただきたいと思い導入しました」と語る元支配人。
当劇場のメインスクリーンは、TOHOシネマズ独自規格「TCX」(TOHO CINEMAS EXTRA LARGE SCREEN)を導入した1番スクリーンだ。7.8m×18.7mの巨大スクリーンでは、通常スクリーンのワンランク上を行く臨場感あふれる映像を体感できる。さらに、よりパワフルでドラマチックな音響体験をさせてくれるシネマ音響「Dolby Atmos」対応の映画館となっており、画期的な新技術を導入したスピーカーシステムである米国クリスティ社製「ヴィヴ・オーディオ」を日本初上陸させたことでも業界で注目された。
一方で、時代の流れと共にお客様が求める鑑賞体験価値も変わり、現在MX4Dのスクリーンは撤去されている。潮流を逃さず、劇場を進化させていくことも映画館運営の大切な仕事だ。富士見の立ち上げから3年半、当劇場に在籍していたという元支配人は、現在、建設部の内装デザイン室に所属している。「私はまだ先駆けだったMX4Dを当劇場に迎えた現場の支配人でしたが、いまは建設部に所属しており、MX4Dから通常の席に戻したのも自分なんです。そういう意味では、始まりと終わりを見届けて、しっかりと自分のなかでけじめをつけられたことも感慨深いです。とはいえ寂しさ半分…というところでしょうか。ただ、お客様にはまた違った形で、映画を楽しんでいただける環境作りはできたのかなとも思っています」。
もちろん、10年を経てもまったく変わらないものがある。「明るいスタッフ陣の対応は、オープン当初から変わっていないと思います。また、元支配人としては、当時のアルバイトの方々がいまも残ってくれていることも大変うれしいです。さすがに10年は長く、巣立っていったアルバイトも多くいますが、いまも支えてくださる方がいてくれることがとてもありがたく、現在の富士見の劇場の礎だと思います。僕は、いまの部署での仕事で富士見を訪れることもありますが、いまだに“支配人”と呼ばれます。そういう時、『僕はもう支配人じゃないよ』と言うのですが、やはりすごくうれしいものです」と語った元支配人は実にいい表情だった。
なおTOHOシネマズの全国17劇場で開催中のアニバーサリーキャンペーンでは、4⽉から12⽉の9か⽉間にわたって、様々なサービスを展開していく。対象劇場は今回特集したららぽーと富⼠⾒をはじめ、5周年の池袋、⽴川⽴⾶、10周年の新宿、アミュプラザおおいた、15周年の上⼤岡、20周年のひたちなか、⽔⼾内原、津島、⼆条、直⽅、25周年の浜松、ファボーレ富⼭、岐⾩、泉北、⼤分わさだの17劇場だ。ぜひ最寄りの場所や気になっている映画館をチェックし、お目当ての映画を観に行っていただきたい。
取材・文/山崎伸子