「丸山くんは決して演技で嘘がつけない人」『金子差入店』で丸山隆平が見せた俳優としての進化を、演出家・映画監督の三浦大輔が語る

「丸山くんは決して演技で嘘がつけない人」『金子差入店』で丸山隆平が見せた俳優としての進化を、演出家・映画監督の三浦大輔が語る

丸山隆平が、自らの俳優像を更新する。5月16日(金)公開の映画『金子差入店』は、丸山にとって8年ぶりの主演映画。刑務所や拘置所に収容された人への差入代行業を営む小さなお店を舞台に、被害者と加害者、そしてその周辺の人々という多彩な人間模様が編み込まれるヒューマンドラマだ。

丸山が演じたのは、ある事情を抱えながら差入店を営む店主、金子真司。本作で打ち立てた丸山隆平だからできる演技とは?舞台「ハザカイキ」で丸山とタッグを組んだ脚本家・演出家・映画監督の三浦大輔が、本作の魅力と俳優・丸山隆平の進化を語る。

『金子差入店』は「隙のない骨太な人間ドラマ」

『愛の渦』(14)、『何者』(16)、『裏切りの街』(16)、『娼年』(18)、『そして僕は途方に暮れる』(23)。三浦大輔は、これまでほぼ自らの舞台作品を映画化する形でオリジナル作品を何本も世に送りだしてきた。同じ作家だからこそ、まず着目したのが「切り口の斬新さ」だ。「“差入店”という、一般的にあまり広く知られていない題材を取り上げ、そこから紡ぎだされる人間ドラマを2時間という尺でしっかりと描き切っている。すごく良質な映画だと思いました」と賛辞を送る。

監督は本作で長編デビューを果たし、オリジナル脚本も手掛けた期待の新鋭、古川豪
監督は本作で長編デビューを果たし、オリジナル脚本も手掛けた期待の新鋭、古川豪[c]2025「金子差入店」製作委員会

しかも差入店という設定が、ただキャッチーなだけの飛び道具に終わっていない。「観終わったあとに、この職業じゃなきゃこの物語は成立しなかったという必然性を感じられる展開になっている」と思わず唸らされたのが、物語のクライマックス。衣類や日用品、本など様々なものを差し入れしてきた金子が、最後に差し入れたものはなにか?「たぶんあのアイデアを思いついた時に、古川監督はいける!と思ったんじゃないでしょうか。まさに隙のない骨太な人間ドラマ。僕が言うのもおこがましいですが、老若男女を問わず満足できる映画になっていると思います」と太鼓判を押す。

タバコ1本にも感情を通す。それが、俳優・丸山隆平

SUPER EIGHTの丸山隆平が、真っ直ぐで不器用な男・金子真司役を熱演
SUPER EIGHTの丸山隆平が、真っ直ぐで不器用な男・金子真司役を熱演[c]2025「金子差入店」製作委員会

丸山が演じる金子真司は、人に言えない過去を抱えている。三浦と組んだ「ハザカイキ」では芸能記者役を演じ、ゴシップを飯の種にするマスコミの暴力性を独特の生々しさで体現した。「ハザカイキ」は2024年3月~5月に公演されたが、撮影自体は本作が先。丸山は『金子差入店』を撮り終えてから「ハザカイキ」の稽古に入った。

「稽古が始まった時、すでに丸山くんから“温まっている感”を感じたんですよ。その理由が、この映画を観てわかりました。『ハザカイキ』でも途中で追いつめられてパニックに陥るシーンがあるのですが、僕がほとんど演出をつけなくても一発でやってみせてくれた。きっとあれは『金子差入店』の経験があったからなんだろうなと。謎が解けた気持ちでした(笑)」。

舞台「ハザカイキ」で丸山隆平とタッグを組んだ三浦大輔が『金子差入店』の感想を語り尽くす
舞台「ハザカイキ」で丸山隆平とタッグを組んだ三浦大輔が『金子差入店』の感想を語り尽くす撮影/山田隼平


本編で三浦が惹かれたのが、丸山のたたずまいのよさだ。「なにもしていない時の表情やたたずまいがすばらしかった」と激賞。「例えばキッチンでタバコを吸っているシーンがあるんですけど、ああいうシーンって実は雰囲気だけでなんとなく演じちゃうことも可能なんですよ。でも、丸山くんはタバコを1本抜き取るという動作にもちゃんと感情が通っている。だから、金子の抱える葛藤がお客さんに伝わってくる。観客が金子に感情移入しやすいのは、丸山くんがどんな些細なシーンでもしっかりと役の感情を通しているからだと思います」と演出家ならではの鋭い視点で丸山の演技を分析する。

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■舞台「ハザカイキ」放送・配信情報
主演:丸山隆平×作・演出:三浦大輔
芸能界を舞台に時代の変容に踊らされる人々を描いた問題作

舞台「ハザカイキ」(2024年3-5月公演)
2025年5月3日(土・祝)17:30〜
WOWOWライブ、WOWOWオンデマンドで放送・配信!

▼詳細はこちら
https://news.wowow.co.jp/2197.html
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