カンヌ選出でも話題の『国宝』より、芸に人生を捧げる美しく熱い姿を捉えた場面写真
2002年「パレード」で山本周五郎賞、「パークライフ」で芥川賞を受賞。2007年の「悪人」では、毎日出版文化賞、大佛次郎賞など数々の賞に輝いた吉田修一の最高傑作との呼び声高い「国宝」を、吉沢亮主演、横浜流星共演で映画した『国宝』が、6月6日(金)に公開される。このたび、芸に人生を捧げる、美しく熱い姿を捉えた場面写真が到着した。
2017年から朝日新聞にて連載され歌舞伎界を舞台にした本作は、連載時から大きな話題となり、2018年に単行本化。2019年には第69回芸術選奨文部科学大臣賞、第14回中央公論文芸賞をダブル受賞。本作の歌舞伎指導も務めた中村鴈治郎のもとで、吉田自身が3年の間歌舞伎の黒衣をまとい楽屋に入った経験を血肉にして書き上げた渾身の作品となっている。
先日、第78回カンヌ国際映画祭「監督週間」部門への選出も発表され、日本のみならず世界中が期待する本作。任侠の一門に生まれながらも、歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げる主人公、喜久雄の50年を描いた壮大な一代記。抗争で父を亡くした任侠出身の喜久雄(吉沢)は、歌舞伎役者、花井半二郎(渡辺)の家に引き取られ、歌舞伎という新しい世界を知る。そこで半二郎の跡取り息子、俊介(横浜)と出会い、正反対の血筋を持つ2人が、芸に人生を捧げていく。吉沢、横浜に加えて、渡辺謙、高畑充希、寺島しのぶ、田中泯、森七菜、見上愛、永瀬正敏、宮澤エマ、黒川想矢、越山敬達、三浦貴大、嶋田久作らが名を連ね、豪華キャストが映画『国宝』の世界を彩る。
本作のメガホンをとるのは、『フラガール』(06)で日本中を感動の涙で包んだ李相日監督。初めて吉田作品に挑んだ『悪人』(10)では、国内のあらゆる映画賞を総なめにし、第34回モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門で最優秀女優賞を受賞するなど、海外でも高い評価を得る名作となった。脚本は、第46回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門招待作品、相米慎二監督の『お引越し』(93)で脚本家デビューし、『八日目の蝉』(11)、『コーヒーが冷めないうちに』(18)、『サマーウォーズ』(09)など、様々なヒット作品を手掛ける奥寺佐渡子。撮影は、『アデル、ブルーは熱い色』で第 66 回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを獲得し、グローバルに活躍するソフィアン・エル・ファニが手掛ける。
新たに解禁になったのは5点の場面写真。本物の役者になることを追求する喜久雄と俊介が、互いに熱い想いをぶつけ合う、ヒリヒリとしたにらみ合いのシーン。代役に決まり、半二郎の愛ある厳しい指導のもと、覚悟をもって全身で芸にぶつかっていく喜久雄。人間国宝、小野川万菊(田中)の一挙手一投足の動きを自分のものにしようと、真剣なまなざしで稽古に挑む俊介。さらに、未熟な喜久雄と俊介に厳しい稽古をつける、険しい表情の半二郎も。そして、喜久雄と俊介の2人で奏でる、可憐な「二人藤娘」の舞台。芸に人生を捧げた、美しく熱い姿がおさめられた場面写真となっている。
誰も見たことのない「歌舞伎」という禁断の世界で、運命に翻弄されながら激動の時代を生き抜き、“国の宝”となるまでの壮大な物語。魂を震わすほどの熱狂は、ぜひ劇場で体感してほしい。
文/サンクレイオ翼