カンヌで監督デビューも!不思議な色気をまとう“It Boy”な俳優『ベイビーガール』ハリス・ディキンソンから目が離せない

コラム

カンヌで監督デビューも!不思議な色気をまとう“It Boy”な俳優『ベイビーガール』ハリス・ディキンソンから目が離せない

学生っぽさが抜けないのに支配的に振る舞う『ベイビーガール』のギャップ

ベイビーガール』の監督、ハリナ・ラインによると、劇中で主人公を調教する青年役のキャスティングに苦労していた頃、友人から薦められて『逆転のトライアングル』を観たあと、続けて『ブルックリンの片隅で』もチェックした結果、「この役にはハリスしかいない」と確信したという。

監督が「女性にとってファンタジーのような存在」とも表現する、ハリス・ディキンソン演じるサミュエル(『ベイビーガール』)
監督が「女性にとってファンタジーのような存在」とも表現する、ハリス・ディキンソン演じるサミュエル(『ベイビーガール』)[c]Everett Collection/AFLO

サミュエルの前で犬のように跪くロミー(『ベイビーガール』)
サミュエルの前で犬のように跪くロミー(『ベイビーガール』)[c] 2024 MISS GABLER RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

その理由は、“少年と男性が一体になった人物”だからだった。たしかに、映画を観るとよくわかる。見た目はネクタイを無造作に結び、デイパックがお似合いの学生風でありながら、ニコールの前ではまるで支配者のように振る舞う、そのギャップは、ディキンソンならではのものだと感じるからだ。

主導権をサミュエルに握られてしまう(『ベイビーガール』)
主導権をサミュエルに握られてしまう(『ベイビーガール』)[c] 2024 MISS GABLER RIGHTS LLC. ALL RIGHTS RESERVED.


そうして、ハリウッドの新世代を代表するIt Boyとなったディキンソンは、長編監督デビュー作が控えている。『Urchin』と題されたその作品は、ロンドンに住むホームレスの男性が自己破壊の連鎖から抜けだそうと格闘する姿を描くシリアスドラマなのだとか。さらに、2025年のカンヌ国際映画祭である視点部門に出品されることが発表されたばかり。弱冠28歳での監督デビューに加えてカンヌ入りというトピックからは、彼の並々ならぬ野心が感じられて、それはそれで震えてしまうのだ。

文/清藤秀人

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